【感想】うたかたの日々

ヴィアン, 野崎歓 / 光文社古典新訳文庫
(31件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
8
8
10
0
1
  • 恋愛のバイブル

    これまで何度か読み返していますが、学生時代に別の出版社から出たハードカバーを読んだのが最初です。当時はフランスの新しい作家が書いたSFラブストーリーだと勘違いしていましたが、数年後、1947年に出版されたものだと知りとても驚いたことを覚えています。コランとクロエの恋愛を通して人間の良い面悪い面が赤裸々に描かれ、幻想的で美しいストーリーに胸が切なくなりますが、ずっと手元に置いて読み返したくなるとても良い作品です。今回読んだ新訳は読みやすくなり更にストーリーに集中できるので、これから読む方には他の出版社より少し高めでも新訳で読むことをお勧めします!続きを読む

    投稿日:2014.07.01

  • 読むなら絶対新訳で!

    恋愛小説は非常に古いジャンルですので、太古の昔から好まれています。ですから、もちろんその数もそれこそ星の数ほどあると思います、たぶん。
    その大量の恋愛小説の中でベストワンを選ぶならば(もちろん私が読んだものなどごく一部ですが…)、断然このうたかたの日々です。
    ファンタジーとSFの間を揺れ動くような美しい世界観。若者特有の刹那的な、でも美しくきらめく儚い輝きをぜひ感じてもらいたいと。
    ただただそう思います。
    続きを読む

    投稿日:2014.07.08

ブクログレビュー

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  • 縹色

    縹色

    このレビューはネタバレを含みます

    最初はただただ不可思議な物語世界に混乱するばかりだったが、よく夢に見るような世界なんだと思うようにしたらだいぶ読みやすくなった。
    夢の中ならちょっとくらいおかしなことも起こるから。

    クロエが病気になって以降、ただの幸せな夢の中から、悪夢の中に入っていくようだった。私は悪夢パートの方が読みやすく感じた。そう考えると、現実は基本的に悪夢なのかもしれない。

    数年後に読むとまた感想が変わりそうな1冊。

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    投稿日:2024.01.13

  • みどりです

    みどりです

    このレビューはネタバレを含みます

    ずっと夢日記を読んでいる感覚だった。

    「コランは道を走っていた。 「きっとすばらしい結婚式になるぞ……。明日、明日の朝だ。友だちはみんなきてくれる……」  クロエに通じる道だった。 「クロエ、あなたの唇はやわらかい。あなたの顔は果物のようにつやつやだ。あなたの目はしっかりとものを見ている。そしてあなたの体はぼくを熱くしてくれる……」  ビー玉が道を転がり、子どもたちがそのあとを追いかけてきた。 「あなたに十分キスしたという気持ちになるまでには、何カ月も、何カ月もかかるだろう。あなたに、あなたの手に、あなたの髪に、あなたの目に、あなたの首にキスしたいというぼくの想いが尽きるまでには、何カ月も、何年もかかるだろう……」  小さな女の子が三人いた。まん丸の輪舞曲を歌いながら三角を作って踊っていた。」

    こんなふうに人を想えたら素敵だなーと思う

    「明日は一緒に森に行こう、またあのベンチを訪れるんだ、彼女の手はぼくの手の中に、彼女の髪はぼくの髪のそばにあって、枕には彼女の匂いがして。ぼくはいつでも彼女の枕を取り上げる、夜は決まって枕の取り合いになるんだ、ぼくの枕は詰め物をしすぎだと彼女はいう、頭を載せてもまん丸なままだって。そこでぼくは自分の枕を取り戻す、そこには彼女の髪の匂いが移っている。ぼくが彼女の髪の甘い匂いをかぐことはもう二度とないだろう。」

    「あの人、岸辺にいるのよ」ハツカネズミはいった。「じっと待っているの。そして時間になると、板を渡っていって真ん中で立ち止まる。水の中をのぞきこむの。何か見えるんだわ」
    「たいしたものは見えないだろう」猫はいった。「睡蓮の花くらいかな」
    「そうよ」ハツカネズミはいった。「あの人は睡蓮が水面まできて自分を殺してくれるのを待っているの」

    由希さんのオススメは全部良いな

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    投稿日:2023.09.12

  • itsuji

    itsuji

    視覚的・感覚的な面白さを追求しているように感じた。
    最初は読みにくく感じたが、クロエが倒れたあたりから一気に読みやすくなった。
    情景と感情が同化した世界なのだ。
    作中には皮肉な視線もちりばめられていた
    ハツカネズミがの存在がずっと温かかった。
    小さくて穏やかで優しく美しい存在だった。
    続きを読む

    投稿日:2023.04.02

  • iszka

    iszka

    幻想的な表現も助長し、
    前半は兎にも角にも甘ったるい場面や描写が多く、カロリー高めであったが、
    後半の落ち方に容赦がなく、ひたすら悲しい気持ちに。

    とはいえ、思い返せば前半から容赦なく人が死んでゆく世界だった。
    その世界に入り込むことへの準備さえできれば、
    マジックリアリズムの面白さは跳ね上がる。

    ハツカネズミの自殺で締めるのが印象的。

    ーーーー

    大切なことは二つだけ。きれいな女の子相手の恋愛。そしてデュ-ク・エリントンの音楽。他のものは消えていい。なぜなら醜いから。

    ーーーー

    あらかじめ失われた恋人たち

    コランの日々には魔法がかけられます。
    それは同時に、甘い罠でもあります。
    夢見心地のうちに過ごすひとときはすでにして、何もかも根こそぎ奪っていく破壊的な力の到来をはらんでいます。

    うたかたの幸福を追い求めるぼくらの日々は、いつだって危うい。
    愉快な青春の季節の果てに訪れる、荒廃と喪失の光景を前にして立ち尽くす者の姿を、ヴィアンはこのうえなく悲痛に、美しく描き切りました。

    ーーーー
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    投稿日:2022.12.21

  • akihirokubo

    akihirokubo

    ◇ミシェル・ゴンドリーの映画「ムード・インディゴ」原作としても知られるボリス・ヴィアンの傑作。幻想と実存的問いの交錯。

    投稿日:2022.07.22

  • yoshi2013

    yoshi2013

    なんとも珍妙な逸品。物語の筋は若者たちの恋愛と友情、そして悲劇の物語だが、表現がほぼナンセンスな表現で読み手の許容力を試される。
    うまく物語に入り込めることができれば恋愛、仕事、お金、趣味と価値観(シックの収集)などに共感出来る。
    クロエが亡くなり葬式を頼む場面以降がぶっ飛んでいる。悲しい場面のはずがかなりの可笑しみが伴う。最早悲しみに暮れるコラン目線は放棄され、貧乏人の出す葬式のパロディと化している。
    物語の冒頭から時折登場するハツカネズミと猫の会話で終わるシーンがひたすらシュール。
    なぜデュークエリントンが持ち上げられるのかと思えば、あとがきによると作者と知り合いだったんですね。
    続きを読む

    投稿日:2020.07.23

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