【感想】クリスマスのフロスト

R・D・ウィングフィールド, 芹澤恵 / 創元推理文庫
(106件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
37
36
23
1
0
  • ダメダメなのに憎めない人。フロスト警部登場

    クリスマス直前。仕事の合間に立ち寄ったブックオフで、なんとな~く買った1冊。これが大当たりでした。
     1994年が初版で、私の買った2004年には32刷を重ねている。売れているんですねえ。
     
     読み始めたら、売れる理由も納得。主人公のフロスト警部のキャラクターが実にいいのだ。
     人の家に行っても、勝手にティーカップを灰皿にしたり、上司に言われた大事な用件のメモも、人からもらったまずいクッキーも、何でもかんでもポケットに突っ込んでしまったりする、なんともだらしない人。で、オフィスのデスクの上には未処理の書類が山をなしていたり、上司には悪態をついたり、同僚のお尻に子供のように「かんちょー」をしたり。
     しかしなぜか、同僚には人気。若い女性警官も、フロスト警部の下ねたには不思議と寛容。
     魅力ある、ダメ人間。
     ん?

     こんなキャラクター、確かほかにも?
     そう「刑事コロンボ」!
     
     でもコロンボとは大きく違う点がひとつ。それはフロスト警部が下品だと言うこと。
     死体を前に、不謹慎なジョークを放つのなんてへっちゃら。そんな人なのです。

     次々と起こる事件を、その直感と、強引な違法すれすれの捜査方法で引っ掻き回すフロスト。
    ところが、最後には、ジグソーパズルのピースがぴたっとはまるように、事件は解決する。
    キャラクターの魅力でぐんぐん読めるミステリ。
    続編もおすすめです。
    続きを読む

    投稿日:2014.01.10

  • 適当親父の魅力満載

    デントン警察の名物警部フロスト。
    けちで下品でツキがなくて役立たずな直感を持ち、更に事務仕事、特に数字が苦手で人の期待を裏切ることにかけては天下一品。
    そんな男が織り成す警察小説。
    最新刊を読んだら最初から読み返したくなって何度目かの再読。やっぱり面白い。
    立続けに起こる事件に悪態をつきながらも一応解決に向けて奔走するフロスト。仕事中毒かと思わせるその姿は、まさに”間抜けな勤勉者”そのもの。
    己の精度の低い直感に従い、無駄足を果てしなく踏みがら、時には運に恵まれて、でも大半は空振りで、上に疎まれ、下に呆れられながら、適当に捜査に邁進する。
    その姿はイギリスの無責任男。
    作を進めるにしたがって適当度が上がっていくのだけれど、第1作でも既に十分適当だ。
    派手で捻った謎はないけれど、ページを捲る手が止まらない。
    何度読んでも面白い。そして本作はラストが秀逸。
    続きを読む

    投稿日:2013.12.23

  • むさくるしいおじさん刑事

    見事なページターナーな作品です。終わりまで読まないと寝られません。
    毎日事件がいっぱい起こり、フロスト刑事が事件関係者に聞きにだけで一日があっという間に過ぎてしまい、そして警察組織で待っている人が大勢いるフロスト刑事の書類は・・・あとあとになってしまう。邪魔くさい事をとことんやらずに過ごす腕はさすが。そのたくさんの事件をうまく全てを終結に持っていく書き方はよく考えてあります。
    妻に先立たれて、むさくるしいおじさん刑事ですが、最後の犯人への心の寄せ方は泣けてきますよ。

    続きを読む

    投稿日:2013.12.27

  • おじさん警部は下ネタがお好き

    噂には聞いていましたが……たしかに下品ですね。性的なネタから「小学生か!」とツッコミたくなるようなネタまで、フロスト警部(主人公)の台詞は下ネタの宝庫といっていいでしょう。訳者(女性です)もきわどい内容を違和感なく翻訳していて、読んでいて海外作品という感じがしませんでした。
    フロストは死体ネタを聞かせたがったり、片づけ嫌いだったりと、なにかとお騒がせな警部です。こういう人物にはたいてい、ほかに好ましい面があったりするものですが、フロストには長所らしい長所がありません。それでいて憎めないところが、最大の長所なのかも。
    そんな力の抜けまくったおじさん警部が走り回るうちに、いくつもの事件が解決してしまう。読者はフロストの言動に振り回されるうちに、いつの間にか本書を読み終えてしまっている。フロストの性格は決して褒められたものではありませんが、なぜか気になってしまう……そんな癖になる読み心地でした。
    続きを読む

    投稿日:2014.02.02

  • う~ん!困るよなァ

    こんな人物が身近にいたら ましてや上司だったりしたら 困るよなァ。で、小説上のその身近な部下達が結構優秀でフロフト自身彼らに助けられている事が本当に分かっているのかどうか?(現実よくありがちな話)
    も、なぜか憎めない性格(雑だけど)と変についてるような ついてないような展開で結局難事件を解決してしまう。 う~ん!このシリーズ買うべきかどうか!困るよなァ続きを読む

    投稿日:2014.04.17

  • いきもつかず一気に読んでしまいました

    フロスト警部のキャラクターがめちゃめちゃユニーク。だらしなくて下品で困ったちゃんだけれど読んでいくうちにほのぼのとしてくる~読み終えたころにはファンになってしまい~クスクス笑いながら~味方になってしまう。現実にいるとすこぶる迷惑かも~話の筋立てはテンポがはやく入り組んでいるけれどだまされた気はしない。よくできている。とにかく退屈はしないですよ。久々におもしろかった。次もすぐかいますね。続きを読む

    投稿日:2015.04.05

Loading...

ブクログレビュー

"powered by"

  • 2020925番目の読書家

    2020925番目の読書家

    原書も読みたい。
    フロスト警部が好かれる理由がわかる。
    事件がいくつか起こっていくので、より忙しさを感じた。

    投稿日:2024.01.28

  • kamiyajin

    kamiyajin

    すでに30年近く前に発表された作品とのこと。
    携帯の代わりに無線機が活躍してるのも時代を感じる。

    冴えない、よれよれコートの警部というと、コロンボを思い浮かべてしまう。
    本作を読んでいる最中、つい、ピーター・フォークの顔を思い浮かべてしまい、違う、違う!と別の顔、例えば表紙絵イラストの顔にしようと意識もしたが、やはりピーター・フォークが頭に登場してしまうのには困った。
    まあ、これは、シリーズ続編を読むにつれ、もう少しはフロストにふさわしいイメージができるかな?と思うが。

    真面目に仕事はせず、自分のカンに基づいて捜査をする。発言、行動は、口汚く卑猥?でもあり、めちゃくちゃなキャラクターだが、同僚たちからは慕われていて、登場人物たちとのやり取りが楽しく、飽きる事はなく読了できた。

    シリーズ2作目以降も、とても楽しみ。

    続きを読む

    投稿日:2023.05.28

  • xan8823

    xan8823

    このレビューはネタバレを含みます

    個性的な人々にあふれたデントン警察。

    事件を引き寄せるフロスト警部
    行方不明になった少女を探していたら、
    浮浪者の凍死みつけるわ
    最近増えてた強盗の犯人みつけるわ
    便乗するやつ出てくるわ
    30年位前の事件で失踪したと思われていた人物の骨みつけるわ

    マレット署長やら、アレン警部やら、
    上のもの受けがあまりよろしくないのは、
    なんだかんだで、事件解決しちゃうからなんですかね。
    他の皆さんは、存外、嫌いじゃない、いや、むしろ、好きだよね?
    確かに、ちょっと、小汚いし、昔話がグロかったりするし、下品だけれど、案外、正論言ってるし、状況よく見ているし、人間もよく見てるから。

    30年前の事件は、良く考えてるなー
    なんて、ずるがしこいんだ・・・
    しかし、ちょっとした事が鍵となって、計画は失敗し、殺害されてしまったわけだが。
    息子の為とはいえ、やっちゃいけない事をやって、それがバレてゆすられて。
    ゆするヤツもゆするヤツだから、自業自得だけど、
    巻き込まれた挙句殺害された人は、不運としか言えないな・・・

    子供というのは、時に、非常に残酷で。
    今回の事件に発展してしまった誘因は、その子供が行った行為だった。

    やっちゃいけないことってあるよね。
    人として。
    人の家に石投げたり、動物に石投げたりは
    やっちゃいかん。

    行方不明の少女の方は、犯人捕まえて解決したけど
    30年前の方、かなり強行突破だから不法侵入だから
    フロストも悪いんだけど
    生死をさまよいながら終了・・・

    でもまぁ、最後の言葉が、答えですよね。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.04.02

  • じゅう

    じゅう

    イギリスの作家「R・D・ウィングフィールド」の長篇ミステリ作品『クリスマスのフロスト(原題:Frost at Christmas)』を読みました。

    『東西ミステリーベスト100』で海外篇の43位として紹介されていた作品、、、

    「オリヴァー・ハリス」、「ジム・ケリー」、「P・D・ジェイムズ」に続き、イギリスのミステリ作品です。

    -----story-------------
    ここ田舎町のデントンでは、もうクリスマスだというのに大小さまざまな難問が持ちあがる。
    日曜学校からの帰途、突然姿を消した少女、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物。
    続発する難事件を前に、不屈の仕事中毒にして下品きわまる名物警部の「フロスト」が一大奮闘を繰り広げる。
    構成抜群、不敵な笑い横溢するシリーズ第1弾!

    *英国ITVで1992年よりTVドラマ・シリーズ化

    *第1位『週刊文春』1994年ミステリーベスト10/海外部門
    *第4位『このミステリーがすごい! 1995年版』海外編ベスト10
    *第8位『日本推理作家協会全会員ミステリー通大アンケート 20世紀傑作ミステリーベスト10』海外部門
    -----------------------

    イギリスの架空の地方都市デントン市を舞台にした警察小説… 1984年(昭和59年)に発表された作品で、名物警部「ジャック・フロスト」を主人公としたシリーズの第1作目にあたる作品です、、、

    よれよれのレインコートにえび茶色のマフラーがトレード・マークで、権威と規律が重んじられるデントン署内では異質の存在である「フロスト」… きわどい冗談を連発し、服務規定を守らず、地道な捜査と書類仕事が大の苦手、上司の命令を平気で忘れ、叱責されれば空とぼけ、同僚に馬鹿にされればふてくされ、食らいついた相手にはしつこくつきまとい、ひとり暴走してはへまをしでかし、それをごまかそうと冷や汗をかきながら奔走する という、なんとも不器用で、恰好の悪い主人公なんですが、その、とても人間臭いところに惹かれ、そして、その格好悪さが、格好良く感じる、不思議な魅力を持った主人公でしたね。


    12月21日、日曜日、ロンドンから70マイル離れた田舎町デントンに、「クライヴ・バーナード」が降り立った… 彼はこれからデントン警察に刑事として赴任するのだ、、、

    ところが彼を迎えに来たパトカーに「「トレーシー・アップヒル」8歳が日曜学校から戻らず、消息不明」と無線連絡が入り、制服警官と一緒に通報した母親「ジョーン・アップヒル」のもとに向かうはめになる… 結局、その日は「トレーシー」は見つからず、日曜学校の周辺に怪しい人物が出没していたという情報もあったため、翌月曜日に警察署で改めて捜査会議が持たれた。

    「ところで、巡査部長。会議室の方で「フロスト警部」の姿を見かけなかったかね?」

    「いいえ、署長。見ていません」

    「では、彼抜きで会議を始めることにしよう」

    同じ月曜日、午前9時、「クライヴ」は颯爽と初当庁する… 「マレット署長」の手が空くのをロビーで待っているとき、薄汚れたレインコートを着た男が駆け込んできた、、、

    えび茶のマフラー、よれよれのレインコートとスーツ、だらしない恰好の40代後半の男… どうやら「マレット署長」の新車のブルーのジャガーに車をぶつけてしまったらしい。

    その男に巡査部長が言う、

    「署長が、あんたのことを捜していたぞ」

    「そうだった、捜査会議があったんだ。なんとまあ、すっかり忘れてたよ」

    この胡散臭い男こそが「ジャック・フロスト警部」だと聞いた「クライヴ」は、あんな冴えない男でさえ警部になれるデントン警察署のレベルに思いを馳せるのであった… しかし、このときまだ「クライヴ」は、自分が「フロスト警部」の指揮下に入るとは夢にも思っていなかった、、、

    田舎町でも事件は待ってくれない… 消息不明の「トレーシー」は見つからず、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物出没したり、「フロスト警部」の小銭が紛失したり、ホームレスの「サム」が死体で発見されたり、「トレーシー」の誘拐犯を名乗る男から電話があったり、バスキン・エレクトロニクス社の小型電子計算機の連続盗難事件の捜査を優先的に進めるように指示されたり、手錠をはめた白骨死体が発見されたり、そして、署員の残業手当の申請漏れの対応――と、もうクリスマスだというのに大小様々な難問が持ちあがる。

    おりしも、「フロスト警部」と同じ警部職の「アレン警部」が体調を崩し病欠となり人出が足りない… ワーカーホリックの「フロスト警部」は殆ど休憩も取らず、慌ただしく複数の事件の陣頭指揮を執ることになる、、、

    「マレット署長」の嫌味をジョークと下ネタでかわし、滞る書類は必ず提出するからと言って待たせ、「トレーシー」捜索のために大雪をラッセルして捜し、捜査をしている同僚に背後から迫り指でカンチョーをお見舞い… 捜査は混迷、迷走、真面目な「クライヴ」は翻弄され続ける。

    徹夜にも負けず、空腹にも負けず、12月のデントンを駆け回る「フロスト警部」は、全ての事件を解決することができるのか!?

    ある事件を捜査していたら新たな事件がみつかり、新たな事件を捜査していたら別な事件の容疑者を逮捕できたり… と、ドタバタ的な展開ですが、、、

    「フロスト警部」は、幸運にも救われながら、一つひとつの事件を解決に導き… そして、白骨死体発見を契機として捜査を始めた、30年以上前の1951年に発生したベニントン銀行デントン支店の出納係「ティモシー・フォーカス」が行方不明となり、二万ポンドの現金が奪われた事件の真相に辿り着くことで、命の危険に晒される。

    第1作目でシリーズが終わっちゃうんじゃないか… と思わせるようなエンディングでしたが、、、

    続篇が出ているので、「フロスト警部」は一命を取り留めたんでしょうね… 面白かった、500ページを超える大作でしたが、長くは感じませんでしたね。

    長篇6作品が発表されているようなので、他の作品も読みたいです。



    以下、主な登場人物です。

    「ジャック・フロスト」
     警部。主人公

    「アレン」
     警部

    「ジョニー・ジョンスン」
     巡査部長

    「ビル・ウェルズ」
     巡査部長

    「アーサー・ハンロン」
     部長刑事

    「ジョージ・マーティン」
     部長刑事

    「マレット」
     警視。署長

    「クライヴ・バーナード」
     巡査

    「キース・ストリンガー」
     巡査

    「ヘイゼル・ペイジ」
     婦人警官

    「ジョーン・アップヒル」
     娼婦

    「トレーシー・アップヒル」
     ジョーンの娘。八歳

    「スタンレィ・ファーナム」
     英語教員

    「ミッキー・ホスキンズ」
     前科者

    「マーサ・ウェンデル」
     霊媒

    「オードリー・ハーディング」
     トレーシーの友人

    「サンディ・レイン」
     記者

    「サム」
     浮浪者

    「ジェームズ・ベル」
     教会区司祭

    「ティモシー・フォーカス」
     銀行の出納担当者

    「ルーパート・ガーウッド」
     ティモシーの部下

    「サミー・ジェイコブズ」
     投資コンサルタント
    続きを読む

    投稿日:2023.02.15

  • akiquetto

    akiquetto

    長い。
    複雑なプロット。
    キャラには今のところあんまり惹かれない。
    クリスマスミステリ(ってジャンルないっけ?)で
    ロマンチックというか切ない感じがもっとあるのかな、と勝手に期待してしまった。

    投稿日:2022.12.29

  • highriver

    highriver

    どうしてもフロスト警部を昔の刑事コロンボの外見を想像しながら読んでしまう。言葉の汚さとダメっぷりはコロンボとは比較にならないが、そこがまた最高に面白い。

    投稿日:2022.03.18

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。