【感想】メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故

大鹿靖明 / 講談社文庫
(26件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
11
9
4
1
0
  • 事故の全体像をまとめたドキュメンタリー

    福島第一原発事故の後,おそらくもっとも早く出版された,事故の全体像をまとめたドキュメンタリー.
    私はこの本で,あの事故がどういう進展を辿っていて,東電,政府などの関係者がどう動いていたかの概要を知りました.

    なお私が読んだのは,2012年に出版された,同じ著者による同名の電子書籍の方で,表紙のレイアウトは同じですが色がグレーでした.
    気づいたらSony Reader Store からその本がなくなっていて,替わりにこの本(表紙が水色)になっていました.
    ひょっとしたら私が読んだ方とは内容が変わっているかもしれません.

    非常に深刻な事故なのに,思わず失笑してしまう箇所がありました.
    東電の説明を「こんにゃく問答」と揶揄したり,対応の遅い東電を「尻を叩かれないと動かない」と批判したり,
    もちろん笑っていられる状況ではありません.
    あの時も,2年半以上たった今も.
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    投稿日:2013.09.27

  • まさに衝撃的

    あの震災以降、F1で起こったこと全てが赤裸々、かつ衝撃的に描かれている。
    吉田元所長は亡くなってしまったが、氏の奮闘と、周辺のあまりの当事者意識の無さとの懸隔に愕然としてしまいます。
    人の命が係っているのだから、周辺もぜひとも利他心をもって取り組んでもらいたい。
    もちろん私も自分なりにできることを考えないといけませんが...。
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    投稿日:2013.09.29

  • 福島原発と官邸のメルトダウン

    前半では福島第一のメルトダウンへの過程が、後半では東電と管内閣のメルトダウンの様子が生々しく描かれている。

    管総理が海水注入中止を指示したと言われる件については、管「海水を入れて再臨界をしないのか?」班目「再臨界の可能性はゼロとはいえない」・・・と言う有名なやり取りの中、官邸につめていた武黒フェローが吉田所長とのやり取りの中で「管の了解を得られていない段階で海水注入を続けることはできない」と「場の空気」を読んで「一旦停止した方がいい」と命じたと言うことらしい。東電の責任は当然ながら他の報告所を見ても管内閣の危機管理体制がまともに機能していたとは言えないが。

    後半では延々、経産省、東電、官邸がそれぞれ主導権を奪いどれだけ自分の主張を通すかの争いが続く。本書の批判は主に経産省と電力業界が一体となった原発推進体制に向かい管総理はむしろ争いの敗者の様な書かれ方だがちょっと官邸側への追求は緩い気がする。それにしても取材量は多くインタビューの出典も巻末にきちんとまとめられている。

    衆院選の結果を見る限り早い時期の原発ゼロが支持されたとは言いがたい。多分無くせる物なら無くしたいが一方で電気料金が大きく上がるのも困る、電気料金がいくらまでなら上がっても良いと言うのも個人差が多いだろうし原発を減らす方向は一致しても時期と負担については幅が大きいのだろう。一方で原発内の断層については疑わしければアウトでしょう、電力会社が何を言ってももはや信用はされてないので。いくつかの原発はこのまま動かせなくなり、動かせると判断した物については長く使うと言う方向になると思う。
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    投稿日:2014.01.01

  • 当時の官邸での雰囲気は伝わってくる

    朝日新聞記者によるドキュメント。前半が事故当時の官邸を中心とした状況で、後半がそれに続く東電救済、原子力政策を巡る駆け引きを描いています。全般に抜きがたい朝日臭のようなものがたちこめて、いちいち仄めかされる価値判断に個人的には辟易してしまうのですが、直接の関係者に多く聞き取りをしていて当時の雰囲気(特に官邸の)が何がしか伝わってくるところは良かったです。

    それら証言のなかで最も「おおっ」と思ったのは、少し本筋から離れますが、管首相(当時)のある人物評です。

    「菅さんは何でも自分でやりたがる人に見られるのですが、実は以外に他人にゆだねる人です。それで、菅さんから見て良い判断を、その人が主体的にしてくれることと期待する。だからギリギリまで任せきりで。ところが自分のまったく想定外のものを、任された人が持ってくると、菅さんは『違うだろう』とひっくり返してしまう。それで相手を怒らせてしまう。怒って離れていく人は、だいたいこのパターンなんです。」

    なるほどって感じで、こういう生の発言が面白い本です。
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    投稿日:2013.11.12

ブクログレビュー

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  • タンジ男

    タンジ男

    東日本大震災当時の福島原発に関わる当時の状況が伝わる。現場で指揮しながら命掛けでメルトダウンを食い止めようとしていた東京電力の職員がいる一方で全く役に立つ事もなく、責任逃ればかり考える役員連中、そしてその後の銀行や政府、マスコミの対応に、今の日本がどれ程堕落しているのか、そして、あれから数年たった今、また核廃棄物無問題で揺れている状況を見た時に、喉元過ぎれば…と言われるような事態になっている事を考えると、また同じ過ちが繰り返されていく事を懸念する。本自体は、あまりに長く難しいので途中でやめてしまったが、過去の出来事にしっかり触れていく事は大事だなと改めて感じた。続きを読む

    投稿日:2021.03.08

  • よし

    よし

    第34回講談社ノンフィクション賞受賞作。電力会社に電気代を払っている日本国民、そして電気代が高いと嘆く日本国民にぜひ一読をお勧めしたい作品。東電だけにかかわらず、独占事業行ってる大企業に共通するものを感じる。続きを読む

    投稿日:2020.08.25

  • eisaku0330

    eisaku0330

    原子力発電所の危機管理能力は日本に不在
    結局「米国頼り」独立国のレベルではない(148)
    これで原子力発電が国策とはおこがましい
    無責任極まりない

    莫大な国家予算をつぎ込み、原子力の権威・権勢をほしいままにしてきた「専門家」の誰1人責任を取ろうとしない
    1945年の敗戦と全く変わらない構図

    いま「コロナ」でも同じことが繰り返されようとしている
    日本国内の「専門家」というガラパゴスでしか通用しない「専門性」を振りかざして権威を見せかけて済むのは平時だけ。非常時・戦時に求められる「危機対応力」は皆無。
    そのお粗末さを見せつけられ、最後の帳尻は国民に。

    説明責任が皆無
    何かを隠しているか、判断が出来ないんだ(菅首相100)
    日本の人事システム(2年ローテーション)が専門家の育成を妨げ、素人集団の無責任指導体制にしてしまった
    安倍政権の内閣府集中体制はそれを加速
    もはや江戸幕府の末期か、サイパン陥落後の日本政府状態としか言いようがない
    続きを読む

    投稿日:2020.05.01

  • しゅうへい

    しゅうへい

    原発の現場の話は最初の方だけで、後は東電や官邸や役所の誰が何したというのが詳細に書かれている。これまで縁のなかった政治の世界の雰囲気がなんとなく感じられて面白かった。どこの高校大学を出てどう、というのが本に書かれて官僚もなかなか大変。被災地の話はほとんどない。続きを読む

    投稿日:2016.02.24

  • ajiro080775

    ajiro080775

    面白かったが、長すぎてつかれました。
    津波の後の福島第一原発の章はかなりの緊張感で
    よかったですね。
    今現実におきていることと錯覚しながらよんでいました。
    それから、枝野さんと東電のせめぎあいも
    読み応えがありました。
    ただ、全体としては仕方がないとおもいますが、
    興味がやや薄れるところは中だるみして流してしまいました。
    でも、とてもやかりやすく説明されていて読んでよかったですね。
    続きを読む

    投稿日:2014.10.21

  • shinshu

    shinshu

    ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB11883051

    投稿日:2014.09.25

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