【感想】光圀伝 電子特別版 (上)

冲方丁 / 角川書店単行本
(389件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
174
132
41
4
0
  • 「虎」の文人、その一生

    カバー絵の「虎」がまさしく主人公たる「光圀」の姿。猛り、吼え、満身にみなぎるエネルギーで、己の信じる道を爆進する。戦国終わりし「泰平の世」なれば、「武」ならぬ「文」の道を。電子特別版では、筋骨隆々のプロレスラーみたいなビジュアルで、さらに武芸にも秀でてる。無敵です「黄門」さま(笑)
    で、生涯に50人近い人間を殺してる。物語の最初である最晩年、49人目に殺した人間…自らホールドして脇差で刺殺した人間が誰で、いかなる理由だったのか、というミステリーが全編を締めている。
    作者の前著「天地明察」と同時進行であり、「虎」と算哲さんとの交流も、あらためて楽しめます。
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    投稿日:2013.10.23

  • 義を重んじ、熱く逞しく生きた光圀の全生涯

    私の中で水戸光圀といえば、ドラマ水戸黄門の穏やかなイメージがあまりにも強かったので、冒頭からの光圀の激しさに度肝を抜かれてしまいました・・・。
    主人公の光圀が活き活きと魅力的に描かれているのは当然ですが、他の登場人物も大変魅力的に描かれていて、物語を豊かなものにしています。
    長い作品ですが、登場人物の魅力でグイグイ引っ張っていく、そんな印象です。

    光圀は長く生きたため、何度も別れを経験しなければならなかったのですが、特に妻である泰姫との別れのシーンには、涙をしてしまいました。
    義に生きる、という光圀の変わらない生き方は、そんな辛い別れがあるからこそ、更に意味のあるものとして読者に印象付けられます。

    変わり行く時代の中で、数々の出会い・別れ、葛藤を経験しつつも、変わらず最期まで熱く逞しく生きた光圀の全生涯。
    読み応え十分の大作です。
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    投稿日:2013.11.11

  • 水戸光圀

    天地明察の著者によるものということで興味を持ち手に取りました。
    大変読みやすく、固い本が苦手な人でも問題ないと思います。

    常に自身の行動が義であるか照らし合わせ、大義を為そうと困難に立ち向かう光圀の姿に心を動かされました。
    また、自分に対してずけずけとものを言う者に対して多少むっとしながらも重用する人物像にも名君として好感が持てます。
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    投稿日:2013.10.12

  • 読み終えて

    水戸光圀というと、「水戸黄門」ぐらいの単純なイメージしかなかったですが、
    そんな浅はかなイメージが吹っ飛ぶ作品。
    鮮烈な出会いと別れを繰り返し、義を貫く熱い男がそこにいました。

    「普段は漫画しか読まん!」「活字はちょっと・・・」という人でも、大変読みやすい作品になっているのでオススメできます。続きを読む

    投稿日:2013.09.25

  • 「光圀伝 電子特別版(上)」、冲方 丁

     「天地明察」を読んで、著者の書籍を読んでみたいと思っていました。3巻セットの電子書籍を販売していたので、ソニーストアから購入して読みました。

     水戸光圀が子供のころからの話ではじまります。父親の義房や、兄の義重の関係の話が多くあります。最後は、兄弟がよい関係になっていくのが、心地いい内容です。

    話の途中に宮本武蔵が出てきましたが、すでに時代が武蔵のような刀の時代ではなくなり、必要とされる人が変わっている感じがします。個人の能力は高いが、必要とされる時代ではなくなっている。

     林読耕斎が出てきます。読耕斎は名前が独特な感じなので、以前も何かの物語で見かけたことがあるように感じます。この物語では、かなり癖のある人物で、主人公の光圀と関係が深まっていきます。

     「天地明察」よりも長い物語のため、「天地明察」のような展開の早さは感じられません。上巻では、比較的、ゆっくりとした感じで物語が進行している感じです。この物語の中では、光圀が世継ぎになったことが時々話にでてきます。この世継ぎが光圀に大きく関係していくことが感じられる雰囲気で書かれてあります。

     まだ、上巻を読んでも大きな変化はなく、最後では読耕斎の存在感が上がっていく感じです。
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    投稿日:2013.11.27

  • 天地明察の姉妹編?

    水戸黄門のテレビのイメージしかなかったので、天地明察の意外な描かれ方が気になって手にしました。本当にこんなに気性が激しかったのかなあ。世が天下大平に向かう中、最後まで武士であったということでしょう。

    投稿日:2013.10.04

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ブクログレビュー

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  • につ

    につ

    このレビューはネタバレを含みます

    感想
    光圀の己の存在意義から、友や妻、師など数々の死別を経て、史書編纂を成し遂げた思いが身に染みる。

    遂に、左近とは何もなかったのだろうか?心で支え合っていたからこそなのか。

    最後の死者の列に加わったという表現が印象的。

    良い作品だった。700ページを超える大作だが、スルッと読めた。

    あらすじ
    水戸光圀の一生。物語は光圀が67歳で家老を殺害するところから始まる。謎は明かされないまま、幼少期へ。第三子の自分が兄を差し置いて、嫡男となった疑問について、天然痘にかかったことをキッカケに考える。

    無事に快癒した光圀は大きくなり、江戸で傾奇者としてふらふらしている時に、仲間に囃し立てられ、無宿人を斬り殺してしまう。その時に、宮本武蔵と沢庵と出会い、モノの見方に変化が生じる。

    光圀もこれを機に、勉学を始める。ある居酒屋で坊主を論破して調子に乗っていたが、林羅山の息子の読耕斎に論破され、彼に勝つためにさらに猛勉強する。

    詩で天下を取る、という目標を掲げて精進する。

    京の冷泉為景とも親交を深める。叔父の義直が危篤になり、自分の出生の秘密と嫡男になった理由を聞かされる。光圀は嫡男ではない自分が義に従う行動をするためには、自分の子を成さず、兄から養子を取り、血を戻すことで義を貫こうとするが、京の近衛家より嫁取りの話が持ち上がる。

    光圀は義の話を婚姻の日に妻となった泰姫に話し、姫の持ち前の素直さで全てが受け入れられる。光圀は妻を同志を手に入れたかのような心持ちになり、安らかに時を過ごす。

    江戸大火と林家の史書の焼失を経て、光圀は史書編纂の決意をする。その後、泰姫や読耕斎との死別により、編纂事業への思いを強くする。

    やがて両親を亡くし、藩主になるに当たって、兄の子供を養子にして義を成すことを成し遂げる。その後、明国の朱舜水を師として招き入れ、様々な改革事業に着手する。

    光国から光圀へ改名。

    最後は、自分の秘蔵っ子の紋太夫の野望を阻止するため葬り去る。

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    投稿日:2024.01.24

  • hidefcafe

    hidefcafe

    二代目水戸藩主、水戸光圀の生涯を描いた超大作。
    辞書のような分厚い書籍だが、時間を掛けてでも読む価値のある一作だと思う。

    舞台は、戦国の世が終わり太平の世となった江戸初期。
    「学問」を極め、自分の義を求めて、それを見出し貫き通す彼の一生が綴られている。

    彼が義を見出すことを支える登場人物たちも個性豊かで、同じ志を持つ人との出会いや別れがストーリーに彩りを添えている。

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    投稿日:2023.12.09

  • fishbowl

    fishbowl

    今の子どもたちは知らないかもしれませんが、水戸黄門です。諸国漫遊はしません。スケさんやカクさん、ましてや弥七も飛猿もお銀も登場しません。ただ、光圀の武士としての矜持、文治政治の志は熱く伝わります。誰に刃を突き立てたのか?最後はグッときました。続きを読む

    投稿日:2023.10.31

  • のりのり

    のりのり

    かなり前に天地明察を読んで、読みたかったのになかなか読めず、今回ようやく読めました。これぞ大作と言う感じで、時代小説の枠の中に収まらない迫力も感じました。各キャラクターが立っていると言うは、こういう事を言うのですね。続きを読む

    投稿日:2023.07.14

  • pbh23864

    pbh23864

    某番組のお陰で、日本全国を旅しまくった老人のイメージが強い、二代水戸藩主の生涯を綴る。

    700ページを超えるボリュームのため、読むのに時間がかかってしまったが、丁寧に『義』という一つの信念を貫き通した男の人生を描ききっている物語は疲れを感じさせない。

    ストイックで、何とも烈しく、悲しい話であるが、読んで損はないと思う
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    投稿日:2022.09.14

  • ほくほくあーちゃん

    ほくほくあーちゃん

    紋太夫って、誰!?
    一体、何をしちゃったのー!?
    という疑問から、壮大な水戸光圀の一生を追わせていただきました。

    光圀って言うと、水戸黄門が思い浮かんで、
    印籠とか、スケさんカクさんのお供を連れてるおじいちゃん…
    ってイメージしかなかった。
    だけど、この話は若い光國から話が始まっており、
    思ってた水戸黄門がガラッと変わったよー。

    水戸徳川家の三男でありながら、世継ぎとなる。
    なぜ自分なのか。
    兄がいるのに、自分が世継ぎとなるのは「不義」である。
    なんとしても「義」を通すために、
    光國は兄の子を自分の養子にし、自分の血筋ではなく、
    兄の血筋を藩主にしようと考える。 

    結果、光圀は自分の大義を通すことができたが、
    その後、家臣の紋太夫が紋太夫なりの大義を
    通そうとしていることを知る。
    それは、水戸家から将軍を出して、政治を朝廷に還すこと。
    光圀の大義と紋太夫の大義。

    いやー、光圀がとにかく、カッコいいと思った。
    正直、「大義にそこまでこだわる?」と思ったけど、
    時代を考えたら、大義を貫いたことがカッコいい!!
    そして、何より登場人物が魅力的だった。
    妻の泰姫(たいひめ)、兄の頼重、友の読耕斎。
    天地明察と被る所もあるようで、そちらも読まねば(*・ω・)!!

    ただ、私の読解力のなさで分からないことがあります。
    光圀は紋太夫を殺める際に、「大義なり。」と言ってます。
    これの、意味が分からなくて…。
    光圀は、紋太夫の大義を知って、驚いているけど、
    この「大義なり」には、何の意味が含まれてるのか
    分からなかった。
    光圀の今からする紋太夫を殺めることが大義だったのか、
    それとも、紋太夫の考えていたことが光圀も大義だと思い、
    あえて、殺める際に「大義なり」と言ったのか…。
    それとも、別の意味合いが?
    どうしても、この言葉が分かりませんでした…( ノД`)…
    続きを読む

    投稿日:2022.07.05

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