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道尾秀介 / 角川文庫 (149件のレビュー)
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総合評価:
naotan
4
すべてを呑み込んだ先に・・・
血のつながった家族以上に大切で、ずっと守りたいと思っていた関係が、修復不能なまでに壊れてしまう。誰かのためについた嘘が、他の誰かを傷つけ、やがてそれは自分の胸に突き刺さる。 読後感は人によって分かれる…と思いますが、重苦しさを感じながらも、先を急ぐように読み進めて迎えたラストには、一筋の明かりが指したように見えました。続きを読む
投稿日:2014.02.18
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九州男児
3
変態少年の回想録…
読み終えた後…よくよく考えれば、 単なる変態少年の回想録ですけどね。 うそも方便←といいますが、 作品中、誰が嘘ついたのか? 誰が真実を打ち明けたのか? …わからなくなってきました。 読み手が、「嘘」…と「真実」の部分を 逆にとれば、話しは変わると思う。 僕の好みのモヤモヤとは、別の モヤモヤ感が残る作品でした。 表紙絵と表題から、想像してた ものとはまるっきり違う内容でしたが モヤっとしながら、読み終えました。 何か引き込むものがあるのでしょう。 忘れた頃、再読すれば、あらたな 発見があるかもしれません。続きを読む
投稿日:2014.05.25
hazu-haya-yu
モノクローム写真みたいな
両親の離婚、幼馴染の家での共同生活、時間が前後しての、大切な人達の死。 日常と過去と青年期に差し掛かる少年の変化が、ある意味淡々と時に切なく語られていく。 多分形は変わるけれど、誰もがのどに刺さった骨…を持っている事を思い出させるような作品。 日常の一部を切り取ったように見せる表現力に、モノクローム写真を見たような気がする。 「人生のどっかで、生きるために生まれ直さなきゃいけない」…の中ほどの文章が、最後の「傘を買った」と結ばれた気がした。 続きを読む
投稿日:2014.09.14
くっちゃね村のねむり姫
2
切ない床下の青春
読み始めたときは、乱歩の「屋根裏の散歩者」の床下版かと思いました。でも、作品のコンセプトはまったく異なっていました。 憧れの人の情事の息づかいを床下で感じるというシチュエーションは、ドキドキするも…切ないですね。そして、家族というモノに対 する屈折した感情。人を殺してしまったかもしれないという鬱積した記憶。いくつかのエピソードがいつの間にか一つになってしまう 展開は、流石にうまいですね。ラストは、これハッピーエンドなのかなぁ。 それにしても、あの球体?からこのような物語を思いつくとは、作家のイマジネーション、恐るべしといった感じです。 ただ、私自身は、幼い子供二人をテントに残してドライブに行く勇気はないなぁ。今の親は平気なのだろうか?その設定だけがちょっと引っかかりました。 なお、いつまでかはわかりませんが、今Amazonで検索すると、文庫のページで、この小説のラジオドラマを配信してます。続きを読む
投稿日:2014.01.24
白皮オレンジ
恋心
主人公が小さい頃に憧れていた幼馴染の少女。少女の家族と行ったキャンプで起こった事故から物語は始まり、絡み合っていく。 登場人物は皆、自分の所為だと言うのだが・・・。 ラストの1ページで、すべてがひっく…り返されます。 私の考え到った答えは違うのかもしれない。けど、ほぼ確信しています。 もし、ひとつの異常が日常に溶け込んでいたとしたら・・・。続きを読む
投稿日:2014.01.29
豚山田
予想に反した悪くない読了感に作者が好きになる……かも
思い込み、欲望、すれ違い…人を傷つける切っ掛けなど誰かと関わっていれば無数に見つかるものですが、それがどう作用しどういう結果になったかなど、普通は知り得る事の方が少ないのでしょう。 当然物語ですので…、それらが偶然か誰かの意志か詳らかにされる所に面白みがある訳ですが、本作では更にもう一つ伝わって来た事が。 それは単純に「お互い様」という事。 一方的に他人を傷つけてきたのではなく、自らも同じだけ騙され、傷つけられてきたのだと思うことが、ここではどれだけ救いになった事か。 案外悪くない読了感。 氏の作品が好きになります。続きを読む
投稿日:2014.04.01
"powered by"
ウォーリー
皆嘘を内に抱えながら生きている。保身のための嘘もあれば救おうとしてついた嘘もある。嘘で作られたドームの中で、いつの日かやってくる救いを待っている。物語の終わりは雪で、まだ救いが来ていないことを示してい…るってことなのかな。。続きを読む
投稿日:2024.02.24
伊鈴
ひたすら「え?」の連続。誰のために口を閉ざしたのか。誰もが真実を見ていたような気もするし何も知らない気もする。最後、二人は本当に幸せなのか?それすらよくわからない。
投稿日:2023.08.20
ゆず太郎
なにが真実でなにが嘘なのか。分からないままだけど、それぞれの人生を生きていかなければならない。最後まで飽きることなく読めました。ただ、登場人物一人一人に共感はできなかった。
投稿日:2023.06.13
塔子
さすが道尾先生というか、このもどかしさとやりきれなさから更にずぷりと沈め込まれるような痛み、心グサグサやられてしまう。毎回しんどさのメーター振り切れるんじゃないかってくらいなんだけど、これがクセになる…んだっ。やめられない重痛の魅力。 主人公の床下の行動は乱歩作品みたいな変質っぷりだなぁと引いてしまいましたが(笑) タイトルへの繋がりが出てくるたびにいつも成程、と息が漏れます。こんな自分が嫌なのに、嫌だから更に上塗りしてまた嫌だなと嘆く。誤魔化しながら、言い訳しながら、欲に手を伸ばして。主人公のみならず、自分までグサグサ刺される。 重なる嘘は、どれがどこから何が嘘で真実だったのか。その明確な答えはないまま、曇天の心にずっと小さな痛みの塊を感じながらの終幕は重い余韻。 妊婦からゾウ、蛇、球体と表す流れが好き。主人公が球体の内部に感じたものに、ずっと包まれていたいか否か。やはりはっきりと答え難い。続きを読む
投稿日:2023.02.22
ヒボ
このレビューはネタバレを含みます
道尾作品、12冊目の読了となりました。 悪くない、悪くはないんですが、本作の読後評価も残念ながら☆3つ。 ミステリー作品に青春物と恋愛物をMIXしたような作品に仕上がっていました。 嘘、嘘、嘘、... 大切な人の為についた嘘、その結果が他の人を苦しめることになることを、嘘をついた時には気づかない。 それぞれが嘘をつくことで抱える苦悩。 それは見事に書き切ったと思います。 本作の主人公は17歳の高校生友彦、 説明 内容紹介 あなたが殺してくれたのね あの頃、幼なじみの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった……狡い嘘、幼い偽善、決して取り返すことのできないあやまち。矛盾と葛藤を抱えて生きる人間の悔恨と痛みを描く、人生の真実の物語。 内容(「BOOK」データベースより) 幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう―。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。 著者について ●道尾 秀介:1975年東京生まれ。2004年「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。05年『向日葵の咲かない夏』で注目を集める。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、10年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 道尾/秀介 1975年生まれ。2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。07年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞を受賞。09年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞。10年『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞、『光媒の花』で第23回山本周五郎賞を受賞。11年『月と蟹』で第144回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
投稿日:2022.12.25
涼野透
「月光」がよぎった。 何が嘘で何が本当なのか分からないけれど、嘘だろうが真実だろうが、吐いた相手と吐かれた相手が同じ気持ちになることはないよなぁ…。 終わり方には少しだけれども安心できた。
投稿日:2022.11.18
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