【感想】小沼丹推理短篇集 古い画の家

小沼丹 / 中公文庫
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ラララライブラリ

    ラララライブラリ

    推理小説はあまり得意じゃないけど、これは面白く読めた。解説でも述べられているように、それは私小説や随筆と地続きの表現だからだと思う。あまり人が死なないし、死んでも「殺されて当然」じゃないところがよかった。続きを読む

    投稿日:2023.02.02

  • 69hach

    69hach

    このレビューはネタバレを含みます

    当時編集長であった江戸川乱歩からの誘いを受けて「宝石」誌に寄稿した小沼丹の推理短編をまとめた一冊。
    とは言え、ハラハラドキドキするようなものは殆どありません…ああ、小沼丹だなあという、読了後に少し暖かくなるようなものばかりでした。どこまでも優しくユーモラス。

    この短編集の素晴らしい所は、巻末に大寺さんシリーズのプロトタイプが収録されている事!解説にも指摘されていましたが、後の作品のネタになっている部分があるのと、シリーズとして描かれれている作品に比べて、表現が直截的に感じられる点はありますが、大寺さん大好きな方にはおすすめです。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.12.16

  • 中央公論新社

    中央公論新社

    「私小説の名手」が作家活動の初期に書き続けた、スリルとユーモアとペーソス溢れる物語の数々。巻末に全集未収録作品二篇所収。〈解説〉三上 延

    投稿日:2022.11.16

  • 馬南神空

    馬南神空

    人死にが出るような陰惨な筋でも、登場人物は善人ばかりのようだし、別人と取り違えられたお人好しが事件に巻き込まれるドタバタの定番的ストーリーでもお話はヒートアップしない。淡々と乾いて、どこか人ごとのようにお話が進む。古い邦画のコメディでも見ているような、ふわっとした味わい。巻末の解説にもあるが、それが持ち味の作家さんなのだろう。続きを読む

    投稿日:2022.11.08

  • みつき

    みつき

     どこかユーモアの漂うのんびりとしたミステリー短編集。ロアルド・ダールっぽい。表題作が一番好み。架空の国が舞台の『王様』も、ちょっと捻った童話みたいな味があって良い。

    投稿日:2022.11.06

  • 重度積読症

    重度積読症

     小沼丹。講談社文芸文庫で何冊か刊行されていて名前は知っているが、どちらかと言うと通好みの作家というイメージ。
     『黒いハンカチ』が創元推理文庫で出たときに読んだくらい。
     最近の中公文庫は、純推理作家ではない作家さんのミステリ的要素の強い短編作品を編集して刊行しているのが一つの特長だが、本作もそんな一冊。
     とは言っても、雑誌「宝石」立て直しのために乱歩が編集責任者になったのは有名な話だが、乱歩の慫慂を受けて小沼が同誌に掲載した作品が五作もあるとは、ちょっとした驚きだった。

     収録作の多くは、普通人がおかしな出来事に遭遇するという、いわゆる巻き込まれ型のもの。恐喝、窃盗、銀行強盗のような犯罪に絡むものもあれば、男女の出会い的なものなど様々だが、全体的にユーモアにくるんだ文章で、安心して展開を楽しむことができる。
     AはBを殺したく、BはCを殺したく、CはAを殺したいと思っている『赤と黒と白』でも、この三すくみがどうなるのだろうとの期待を高めつつ、結末はあっさりと描いている。

     ミステリー的要素が強いのは、表題作の『古い画の家』だろうか。カッパが棲むと言われる池の側にある古めかしい洋館。夏休みを利用して田舎の親戚に遊びにきた中学生だった語り手はその洋館に興味を持つ。そこに住んでいるのは、病人の男と手伝いの婆や。彼らは果たして何者なのだろう。好奇心に駆られた語り手は度々覗きに行く。そしてある時……。
     文体、内容共に推理的要素が強い作品で、とても面白い。

     『リャン王の明察』。似たような逸話があるようだが、リャン王と犯人?との知恵比べがこれまた面白い。


     〈付記〉
     解説にもあるが、妻を突然亡くした小沼は、作風を転換し、自らに準えた大寺さんシリーズを書き始めた(とのこと)。本書には単行本未収録の幻の第0作「花束
    」が収録されており、編集の妙、文庫オリジナルの良さがある。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.23

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