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浅田次郎 / 講談社 (28件のレビュー)
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muushikamiishika
ずっと読み繋いでいる蒼穹の昴シリーズの第六作。前回から間が空いてしまったので、作中で触れられる前作以前の登場人物やエピソードを思い出しながら読みすすめた。 語られていたことは、少し難しかった。ただ、以…前に作者がどこかで書かれていた「歴史に成功と失敗はあっても、善悪はない。」との姿勢は貫かれていたように思う。それぞれが、置かれた時代の中で、考え抜き、自らの信義に従って生ききったのだろうことは、心の真ん中にまっすぐ伝わってきた。 それにしても、浅田次郎さんの紡ぐ文そのものの、なんと心地よいこと。この芳醇な世界に浸る時間に、純粋に心が悦んでいた。次回作が待ち遠しい。続きを読む
投稿日:2024.02.27
tm
蒼穹の昴シリーズ第六部。1936年に日本と中国で起きた二つの事件、二・二六事件と西安事件。法廷での証言などをもとに、日米ジャーナリストの視点で事件の真相を読み解く。またしても、今まで歴史をちゃんと学ん…でなかったことを痛感した。 蒼穹の昴から50年ほど経った時代。だいぶ世代が入れ替わっているが、過去の登場人物との繋がりがある分、読者としては思い入れが強くなる。続きが読みたい。続きを読む
投稿日:2024.02.19
kimikokumiken
今 老齢化社会になり、団塊世代が、平均寿命を伸ばしている。 そんな団塊世代も、戦争を知らずに育って来た。 その時の社会科、日本史において、授業は、弥生時代から江戸時代には、詳しく習うが、明治から昭和前…期時代は、本の1か月にもならない位でしか、教えて貰っていない。 第二次世界大戦勃発も、同盟国、そして、その起因など…本の中に書いてあるのを読むに終えただけである? その当時は、教師達も、教えないように指示されていたのかも? この本では、1936年の事柄が、描かれている。 張学良においても、昔は、本にも掲載されていたかどうか?記憶にない。 30年程前に 我が子の社会科を学習指導しようと、手にしてこの人物を知った位である。 西安事件も、…… そして、日米の情報が、どのようにして、伝えて言ったのか? 今のような誰でも使用出来る通信網など、夢にも無かった事態である。 最初から読まずに、この本を手にしたのは、「兵諫」という題名である。 どのような意味なのか?と、思いながら、そして、近代史を何も知らずに長年過ごしていたから、読み出した次第である。 浅田次郎氏の本は、鉄道員から、お腹召しませ、壬生義士伝など、拝読していたけど…蒼穹の昴シリーズを読んだ事は無かった。 これから、もう少し、何も知らずに、過ごしていた近代史を読まなくては……と思わせる本であった。続きを読む
投稿日:2024.01.17
クルテク
昨年から読み始めたシリーズも、ついに最新作に到達。 この時代には詳しくないのだが、いわゆる「通説」とは全然違う所が興味深い。もっとこの時代に関連する本を読んでみようと思った。
投稿日:2024.01.06
がまこ
このレビューはネタバレを含みます
規模、登場人物の多さに苦慮したが、シリーズならではの纏まりがあってなんとか整理できた。 嫌な予感が当たってしまって悲しくなったが…。 シリーズ15冊目、どれも悲しくも面白い。浅田先生の見識と表現の深さに脱帽します。
投稿日:2023.09.16
わちこ
筋書きのために。すなわち尊敬する魂のために。正義と良識を持って見届けよ。何を生きる柱とするのか、何を大切に思うのか、目の前の人は何を考えているのか思慮しなさいという話でした。 蒼穹の昴シリーズ、2023年9月現在の最新刊までとうとう辿り着きました。辿り着いて本当に良かったです。こんなにすいすい読めた長編シリーズは初めてかもしれません。まあタイトル通りヘビーな内容なのですが。 二・二六事件から影響を受けた張学良が蒋介石に国共合作と抗日戦線を迫った西安事件が中心となる今作。東北を追われた東北軍の、張作霖が育てた最後の魂が終わる軍事法廷ミステリーでした。 今作を含めて15巻の長編を読んできたからこそ、重苦しい軍事法廷でありながらその意図、その根底に隠されている仁義だったり信念だったりするものの、人の血の通った体温を感じ取れるような、そうしたお話でした。 ええ。うまく感想がまとまっていないのはシリーズの中でも屈指の推しキャラ陳一豆大佐が死刑に処されたからです。剪髪のあだ名を持つ彼は、張学良の罪を被って銃殺刑に処されました。蒋介石を殺そうとしてまでも国共合作と対日抗戦を始めようとした張学良を庇い、西安事件の主犯は自分だと嘘をつきました。そしてその嘘の証言が真実とされ、文字通り命を張って今度こそ張学良を守りました。 張作霖も宋教仁も革命家たちも守れなかった剪髪が、いよいよ張学良を命懸けで守り、馬賊としての誇りのもとに死んでいったことを私は馬鹿にすることができません。彼が成し遂げたこそ兵諌だったのです。 ニューヨークタイムズの記者であるジムは当初その剪髪の行動論理を理解できませんでしたが、大先輩にあたるトム・バートンの魂に諭されて理解します。この行動指針と論理を解明するときの浅田先生の文体の見事なこと。思えば宋教仁を守ろうとして守れず亡くなったトムと護衛の役目を果たせず生き延びた剪髪の魂が交錯した日だったのかもしれません。 こんなに読みやすい小説家に出会えて幸せ者だなと思いました。 まあ軍事法廷に剪髪が立った時は全てを察して「浅田先生の鬼」と思いましたがね。勿論褒め言葉です。 龍玉の物語もいよいよ一つの到達点に辿りつきそうです。天命には具体がある。そのこと自体が果たしてどんな意味を持つのか。次の巻が待ち遠しくてなりません。一刻も早く続きが読みたいです。 ぶっちぎりで面白かったです。どうか早くこの巻まで一人でも多くの読者がたどり着けますように。 そうか……剪髪は馬賊として死にたかったか……総攬把の最後の子分として死にたかった……剪髪に生きて欲しかったと心から思うけれどその気持ちが間違っているとも下卑ているとも私は言えない……馬賊の剪髪の一生だったよ……
投稿日:2023.09.01
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