【感想】ことばは国家を超える ――日本語、ウラル・アルタイ語、ツラン主義

田中克彦 / ちくま新書
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • gakudaiprof

    gakudaiprof

    言語学を初めて学習する学生にとっても役に立つ本である。印欧語だけの言語学ではない、ウラルアルタイ語への視点を与えてくれる。そして、国語学、日本語額の学生にも新たな視点を与えてくれるであろう。
     はじめての言語学の本としてもお勧めである。卒論として基本書となるかどうかはわからないが、新しいテーマを探す手段のひとつとはなるであろう。続きを読む

    投稿日:2021.09.28

  • ちょっかん

    ちょっかん

    書店で見かけて、少し読んでみたら私が興味のあったトゥルベツコイについて書かれてあったので購入。
    著者は著名な言語学者であり、あとで読みたいと思っていたので、この4連休で読んでみた。

    本書は日本語の起源について、ウラル・アルタイ諸語との関連でいろいろ書いているのだが、個人的には誤字がいくつか見られ、話が途中で脱線し、著者の政治姿勢が垣間見られる箇所が随所にあり、集中して読むことができなかった。また、トゥルベツコイやマル、バイイ等、詳しい説明が欲しいところで次の話になることが多く、それなら名前を出さなくてよかったのでは?と思うときもしばしば。

    テーマや引用する学者については大変興味深いのだが、(私の知識不足もあり)読むことに集中できず、結局よくわからないままおわってしまった。
    続きを読む

    投稿日:2021.07.25

  • qingxiu

    qingxiu

    田中さんがウラル・アルタイ語について書いた本。田中さんは博識の人だから、話がどんどん広がっていく。ここをもう少しまとめを入れてくれた方がわかりやすかった気がする。藤岡勝二、大野晋さんたちのことは多少知っていた。服部四郎さんが言語とは音韵であり、言語学者はここから離れてよけいなことを研究してはいけないというのは意外だった。そこまで厳格だったということか。しかし、それでは言語研究は面白くない。後半でウラルアルタイ語には「もつ」という動詞がなく、「~に~がある」という動詞しかないという指摘は面白かった。これはまさに中国語の特徴でもあるからだ(これは英語研究者には不思議に思えるらしい)。続きを読む

    投稿日:2021.04.23

  • takeshishimizu

    takeshishimizu

    ハンガリー語やフィンランド語が、ヨーロッパの他の言語と大きく異なるということを知らなかった。聞いたことはあったのかもしれないが、意識にのぼっていなかった。僕が高校生のころアメリカの高校に1年間留学して、そのとき同じ高校にスェーデン人とオランダ人の留学生がいた。2人は当然のことのように最初から流暢に会話をしていた。これが、フィンランド人なら違っていたのだろうか。日本語はウラル・アルタイ語のグループに入る。ハンガリーやフィンランドも同じ。英語をはじめとする印欧語は屈折型で、goがwentになったりgoneになったりする。footがfeetになったりする。(なぜかbookはbeekにならなかった。)ウラル・アルタイ語は膠着(接着)型で、たとえば英語でいうと、過去形はedを付ける、複数形はsを付けるというようなもの。すべてがそういうルール(エスペラントがそう)だと簡単で合理的だが、そうならないところがやっかいなところ。be動詞にしても主語によって何種類も変化する。学生時代はフランス語を少しかじったが、男性名詞とか女性名詞とかの区別もあった。とにかく、覚えるべきことが多すぎる。日本語がやっかいなのは漢字と仮名がまざっているところだ。漢字がなければ外国人もよほど楽に日本語を習得するだろうし、漢字テストに悩まされる子どもたちもいなくなる。かといって、ひらがなだけでぶんしょうをかくととてもよみにくい。まあ、日本人はそういう頭になってしまっているのだろう。さて、著者の田中先生はよほどの思いがあって本書の執筆に当たられたのであろう。厳しいことばがあちらこちらに見受けられる。しかし、あとがきでことわられている。すでに亡くなられた方々に深い親しみを抱いた上でのことばであると。ところで、ウラル・アルタイ語では語頭にr音がこないという原則があるらしい。たしかにしりとりで困ることが多い。ならば令和はどうなのだろう。こういう指摘を本書ではじめて知った。大野晋先生の「日本語の起源」は家になかったようだ。読んでみないと。それと「差別からはいる言語学入門」も。続きを読む

    投稿日:2021.04.18

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