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池澤夏樹 / 中公文庫 (30件のレビュー)
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総合評価:
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ヒロボブ
ぐいぐい引き込まれるストーリーとは言いにくく、主人公の思索が多いため、ページ数のわりに読み進める時間を要したが、非常に充実した読後感であった。 物語を排除して見つめるということは、科学に携わる者にと…っても実はかなり難しい。文庫の解説が素晴らしい。 しかし、紹介文がすごいネタバレであることよ。ストーリーとしてはそう書かなければならなかったのだろうけど。続きを読む
投稿日:2024.03.31
megmix
著者の作品をこれまでに数冊読んだ中で、最も心に残っている。昨今、人類にとっての神話、物語、ナラティブの重要性があちこちで聞かれる気がする。けれども本作は、神話に眼を曇らされて世界をじかに見ようとしな…い態度は、偽りの生き方にもなりかねないと伝えてくる。しかも途中で登場する易者の言葉は、科学的なアプローチさえ、真に世界を受け止めようとすることをスルーしかねないものがあることを仄めかす。 物語でも科学でも同じことで、私たちは何かと、説明ばかりつけようとしていないだろうか。ほんとうに世界を知るとはどういうことなのか。目に見えない問いがすごく心に刺さる。 そのうえで改めて、主人公がバイオリズムに委ねて手紙を書くくだりを思い返すと、ふつうはこういう手紙の送り方はあまりしないわけだから、もしかしたら人間は生き物の感覚を忘れすぎているのかもしれなくて、なんてものごとを複雑にしないと生きられないんだろうと思う。続きを読む
投稿日:2022.11.19
もこもこしたねずみ
池澤夏樹3作目。 火山という自然現象を軸に、過去と未来を行き来し、科学の力とそれを超える超自然現象と交感し、物語と神話について考察しながら作品が進んでいく。 どうしたらここまで人間総体を遠くから眺める…ような視点を持つことができるに至ったのか分からないのだけれど、本当にすごい作家だなと思った。 科学的な素養を持ちながら超自然的(精霊とか)な視点を取り入れて、鳥瞰図的な世界を描写する能力。そして、それでいて、あくまでストーリードリブンであり続ける。そしてなによりも説教臭くない。ジブリがそれに近いものがあると思うのだけれど、ジブリって高度な技術とストーリーテリングは上手いけれど、いつも説教を聞かされているみたいな気になって鼻白んでしまうのだけれど、彼の作品にはそれが無い。続きを読む
投稿日:2020.08.01
minuan_m
うさぎは、分かっているのに不思議と罠に つかまってしまう。 文中に出てくるこの一つのエピソードが、 まさに、説明の付かない人間の「衝動」を うまく表していると感じます。 身の危険を以っても…鎮められない自身の 内なる衝動に身を任せる主人公の姿は、 読者にも同じような高揚感を抱かせます。 きっと読者の経験に呼応する何かがあるのだと思う。 クライマックス、最高峰に登りつめるような、 数学の「極限値」とも言うべき数行で 沸騰です。続きを読む
投稿日:2019.10.08
Miyabi *.
生きる、という感覚と他者 生の実感を持てないものは 持つものに憧れる それを愛だ恋だと錯覚する 物語ることへの疑問 消費社会への根本的な嫌悪感と 人間の生のように熱い火山たち そして恋人 欠けてい…たピースが徐々に揃う 結末は書いてないけれど。続きを読む
投稿日:2019.04.21
蝸牛文庫
【いちぶん】 とてもとても恐ろしかったけれども、そこに書かれた以上には恐ろしくなかった。そういうことが言えると思います。
投稿日:2018.03.22
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