【感想】メイド イン 十四歳

石川宏千花 / 講談社
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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ブクログレビュー

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  • kuritanu

    kuritanu

    個人的にナンセンスな設定が大好きなので期待して読んだ。
    実際にはあり得ないこと(病気、機械、生き物など)が出てきても、物語の中でリアリティがあったり、確かな役割をしたりするなら、ホントに好きだ。ソーンダースが好きなんだから。安部公房も、藤枝静男も。(ハードル高すぎたか…)
    でも、これは、その必要あったのかな、と思ったし、設定が生きてないし、薄っぺらい印象。
    まあ、自己をさらしたくないという気持ちと、目立ちたいという思春期らしい特徴があの姿と病気になったのではあろう。
    しかし、もう少し掘り下げるなり広げるなりしても良かったのでは。大人たちもステレオタイプだし。
    一番よくないのは、これだけの設定をしておきながら大して面白くないこと。ソーンダースくらいこころをゆさぶって欲しかったよ。
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    投稿日:2023.07.17

  • わたりどり

    わたりどり

    見えているものが真実なのか、そこに疑問を持つことから、世界の見え方は変わってくる。主人公の素直な視点が、クラスの混乱に歯止めをかける。プラス方向の展開に、最後まで心地よく読めました。

    投稿日:2023.04.30

  • 淳水堂

    淳水堂

    新年度中学生くらいの年齢にお勧めの本を探して。

    中学二年生の吉留藍堂(よしどめ らんどう…伽藍堂の「らんどう」だー)は、自他共に認めるナチュラルボーン優等生。スマホには興味ないし、ワイワイ騒ぐ女子は苦手、勉強漬けは全く苦ではないし、<おっとり屋>と言われるほど悪い感情は浮かばないし、誰とでも同じ距離をもって接することができる。
    唯一の秘密は毎週金曜日に「兎屋」という釣り堀にかっきり1時間通うこと。そこでの顔見知りのみなさんとちょっとした交流もある。最近の楽しみは、大好きな小説『ユーアーユー?』『サニーの黙示録』の個人的続編(二次創作?)を顔見知りさんから読ませてもらうこと。

    そんな藍堂くんだから、先生からアメリカから転入してくる帰国子女のお世話を頼まれることになった。転校生の名前は浅窪沙斗(あさくぼ さと)くん。なにやら厄介な病気を抱えているらしい。
    待ち合わせのバス停で浅窪くんをみた藍堂は驚いた。彼は顔も手も包帯で覆われていたのだ。「他の人には、ぼくの姿は見えないんだよ」そう言って浅窪くんは手首の包帯をちょっとずらして中身をみせた。…そこに見えたのは反対側の包帯の裏側、そう、手が見えない!
    でもナチュラルボーン優等生の藍堂は気にしない。だってどんな表情をしているかはわからないけれど、浅窪くんはとてもいいやつだって思えるんだ。

    しかし学校のみんなはそうはいかなかった。なにこいつ、透明人間?だったら俺の生活覗かれたり、物を盗まれたりするかもしれないじゃん!?
    その雰囲気は、いままで「中立国」としてみんなと仲良く接して、いじられることさえなかった藍堂にも飛び火する。そう、みんなは藍堂に対してもあからさまに態度を変えてきたのだ…。

    ==
    <おっり屋>であっても心のざわつきはある。そんな14歳の藍堂くんの日々に、彼の愛読書『サニーの黙示録』の物語が入ってくる。
    釣り堀「兎屋」の大人たちや、「ゴマフアザラシのゴマちゃん先生」と呼ばれる学校の先生との関わり方もとても良い。
    ということで前半大変面白くて!読んだことのない感じで!

    その分後半に浅窪くんとのことがまあありがちな展開になってしまってちょいと残念だったなあ。あくまでも個人的にあまり…、ってことですが。
    大人たちとの関わり、<おっとり屋>の藍堂くんが更に精神的に一歩進むことはとても良かったです。
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    投稿日:2023.02.11

  • あいちゃん

    あいちゃん

    ナチュラルボーン優等生の儖堂ほど勉強はできなかったけれど、差別やいじめや人権を踏みにじるような行為を、「子どもだから仕方ない」と思えなかった点は一緒だなぁ。同級生を「みんなと違うから」というだけで揶揄ったり、暴言を吐いたり、見下したりする人間を当時も今でも軽蔑します。
    「おっとり屋さん」というところ、私も反省する点がある気がする。私もマンハッタン行ってみたい。

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    投稿日:2022.08.31

  • なお

    なお

    インパクトのある表紙が気になって読んでみたけど、中身もよかった。
    ナチュラルボーン優等生の藍堂くん、すごく好感のもてる性格だな。周りを俯瞰的に見てて大人びてる。兎屋で相談したときは、あぁやっぱり中学生なんだなあと思ったりもしたけれど。
    彼にとっての浅窪くんは、透明人間でもステルスくんでもなくて、ただの浅窪くん。そう心から思うのも意外と難しいと思う。人は無意識に比べて区別してしまうものだから。
    友達になりたいと伝えたい浅窪くん、アメリカまで会いに行った藍堂くん。二人とも素敵だった。
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    投稿日:2022.08.10

  • 百子

    百子

    宝物のような物語。

    美談でも、教育的な逃げもない。架空の物語だけど、ここまでリアルな心情にに寄り添ったヤング・アダルト小説があるだろうか。

    クラスの中立国でナチュラル・ボーン優等生の吉留藍堂は、自然体で誰ともそれなりにうまくやれていた。可視化不全症候群の“見えない”転入生がやってきた時、クラスの調和が乱れ始める。

    自分は変わっていないのに、周りが変わってしまう恐さ。いや、変わっていないのかもしれないけれど、様々な要因が作用し合ってあの恐ろしい事態を引き起こしてしまった。

    自分は後悔ばかりしている、とクラスで話した藍堂。クラスの一員として発言した彼の一言は多くのクラスメイトに届いたはず。

    「おっとり屋」の彼は人からの悪意にも好意にも鈍感で、きっと昔仲の良かった優等生の子は逆に人の機微に敏感な子だったんだろうな。

    果たして沙斗は本当に可視化不全症候群だったのかは分からない。自分さえやるべきことをやっていればいい、というのは通用しなくなってきた非常事態の時、自分ならどう行動するだろうか。

    他の登場人物たちもそれぞれスピンオフが作れるんじゃないかというくらい深掘り出来そうなキャラクターばかりだった。
    担任の先生も、気持ち分かるんだよなぁ…。

    偏見がなく、一貫した態度を取り続けた藍堂は、ヒーローのようだった。
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    投稿日:2022.04.07

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