大元帥 昭和天皇

山田朗 / ちくま学芸文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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  • ゴンチャロフ

    ゴンチャロフ

    新日本出版社から1994年に出版された同名書の文庫版。陸海軍統帥部から昭和天皇への上奏記録をはじめ諸資料を猟歩し、昭和天皇による戦争指導の実態を明らかにした労作である。昭和天皇への戦況報告は、自軍の損害についてはほぼ正確であり、戦果については(意図的でないにせよ)しばしば過大であった。その中で、昭和天皇は激動する世界情勢に配視しつつ、大元帥として戦争に勝利するため腐心し、大本営の作戦方針にも度々容喙した。その「判断・行動どれをとっても、大元帥としての自覚と軍人としての豊富な知識に支えられていたものであった」が、最終的には国力の伸張を旨とし他国への侵略を容認した点において、著者はあくまで昭和天皇の戦争責任を追及する立場をとる。しかし、私とて昭和天皇の戦争責任を全く否定するものではないが、帝国憲法第3条(天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス)に基づく天皇無答責論まで「歴史学的見地」から退けるのは行き過ぎだろう。法解釈論は「法学的見地」から行うべきであり、憲法起草者である伊藤博文が同条について「法律は天皇を責問するの力を有せず(略)指斥言議の外に在る者とす」(『憲法義解』)と解説している点は重要である。また、戦前においても同条をもって「公務に関する無答責」「刑法上の無答責」と解するのが通説であった(美濃部達吉『憲法提要』)。天皇の戦争責任については、もちろん事実は事実として、当時の法解釈は法解釈として認めた上で論ずべきであろう。続きを読む

    投稿日:2020.09.27

  • モリゾウ

    モリゾウ

    「君臨すれども統治せず」の立憲君主としての天皇や「四方の海皆同胞と思う世の〜」と明治天皇の御製を引用して開戦を再考させた平和主義者としての天皇…。これら戦後の天皇免責論者が形成してきた昭和天皇像が、本書を読めば音をたてて崩れること請け合いである。
    その名も「天皇と戦争責任」などと名乗りながら大元帥としての天皇が統帥部の輔弼を前提としてた、等と帝国憲法さえまともに目を通していない記述が満載の児島襄の著書等は、本書が出版された以上もう絶版にすべきではないか?
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    投稿日:2020.09.07

  • きのさん

    きのさん

    大元帥としての昭和天皇の振舞いは、若い頃から軍事の英才教育を受けてきただけあって、視野が広く、軍の統率者として能力の持ち主だった。
    ただ、当時の教育が積極的攻勢に基づくものであり、昭和天皇もそれに固執してしまったのではないか。それが為に終戦の判断が遅くなってしまい、悲惨な敗戦を味わってしまった感は拭えない。
    日本国天皇と大元帥の2通りの顔の使い分けの難しさ、どうしても戦中は大元帥としての面が表に出すぎてしまい、考え方が偏ってしまったのではないか。
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    投稿日:2020.07.21

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