【感想】笑いの哲学

木村覚 / 講談社選書メチエ
(10件のレビュー)

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  • しんしんしん

    しんしんしん

    笑いとは平穏な日常の破裂である。

    芸人が産み出している笑いの原理を知ることができて面白い内容だった。

    投稿日:2023.08.26

  • h-nagisa

    h-nagisa

    ハリウッドザコシショウがなんで面白いのか、正確にはザコシの何が面白くて私は笑っているのか?

    それが解明できただけでも読んだ価値がありました。

    「笑い」というものを、特に日本社会における「笑い」を解析していきます。
    優越的な笑い
    不一致の笑い
    ユーモアとしての笑い
    各章立てで著者なりの解析・分析がなされていて面白く読むことができました。


    何年か前に脳科学者といわれる茂木健一郎が、
    「日本のお笑いはオワコンだ」
    といった発言をして物議となりましたが、その裏付けにもなるような内容と言えるかもしれません。

    ただし、著者は(茂木健一郎みたいに狭い範囲での)日本のお笑いはオワコンっていう立場ではなく、もっと広い意味で、日本にユーモアの文化が根付かないのは我々の社会の価値観や風土に原因があるようでさみしい、以前世論に潰された、日清のO-BAKA'S大学の「もっと、バカやろう!時代にテメェを変えられないために!」みたいなノリが受け入れられる社会にならないかな…みたいな立場です。


    また、2024年年頭から日本のお笑い界は松本人志の一連のスキャンダルで大揺れしています。
    図らずも、この著書では松本人志が頂点となっている日本のお笑い界の限界を指摘しています。(本著は2020年の刊行です)

    自分なりに意訳すると
    松本人志を頂点とする日本のお笑いはペーソスを軸としており、そのペーソスの範囲内でお笑いを消化しているフシがある。本来笑いの力はそこから突き抜け、置かれている状況を疑い、揺さぶる機能があるはずなのにそこまで達していない。
    なので、「もっとバカやろう!時代にテメェを変えられないために!」の精神が大切なんじゃない?
    といった感じです。


    現在の日本のお笑いのレベルが高いのか?という問いに対しては、
    技能的レベルは高い
    意識的レベルはもうひとつ、といったところでしょうか。
    松本人志の出現は、お笑いがある種の競技になっていったキッカケになったのかもしれない。
    そうしてみると、志村けん、ビートたけし、タモリ、さんま、萩本欽一って松本人志とは種目が違うのかな、と思ったりします。


    なんて、いろいろ考えるキッカケをくれたこの著書は、私にとってはとても良い本となりました。
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    投稿日:2023.07.01

  • あかた

    あかた

    笑われるものは出来合いの枠が不恰好なものであり恥ずかしきものととらえ、認知の歪みである。また笑うものと笑われるものという関係から弱者に対する世間のもの笑いである。昔は笑いにできていたものも今では社会問題となる。これらには松本人志、明石家さんま、バカリズム、スギちゃん、ヨシタケシンスケ、日清のCMなど、多量の検証を行っている。ナイツの塙って改めてすごいんだな。
    126冊目読了。
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    投稿日:2023.05.05

  • きゃろ

    きゃろ

    「笑いの缶詰」のところがとても興味深かった。笑い声の効果音は、笑いのツボを明確にし、その笑いはなぜ面白いのかを視聴者が考えないようにする効果がある。
    「おかしさは私たちに、そのおかしみがわかるかと問うてくる。おかしみに触れた私たちにはこれに答える義務が生じる。」

    精神的疾患をかかえた人が集まる社会福祉施設べてるの家のところも学びがあった。
    「〜思ったことを言える治療の場をつくりたい。事実と現実と向きあえる、そんな場をつくりたい。そのために私たちは、ユーモアをとても大切にしてきました。現実のまえに、精神科医をはじめとして、みんなはたいへん弱い存在だと思います。(…)そして私たちは安心できる関係をなによりも大切にしてきました。〜」

    「今、日本に蔓延している『掟』ではなく、向台地の言う『弱いままで生き合える信頼』に寄り添えるのであれば、私たちに優越の笑いやペーソスの笑いとは別の、ユーモアの笑いで笑う隙間が生まれるかもしれない。」


    この本を読んで、私は笑うとき、何に対して笑っているのかを考え直したいと思った。最近、芸能界でも「痛みを伴う笑い」と言われ身体的、精神的に暴力的な笑いを止める取り組みが進められているが、それもなにを無くしたい目的があるのかを考えていくべきだと思った。
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    投稿日:2023.02.01

  • 嘆きのマートル

    嘆きのマートル

    ただただ面白いことが笑いであり、誰もが面白いことは笑うと思っていたが、社会的な問題や時代の変化によって、「笑う人」「笑わせる人」「笑えない人」など立場が様々である。
    そして改めて、お笑い芸人さんの方「笑いをどう切り取るか」という部分も奥が深いなと感じた。

    難しい考察が書かれた本ではあったが、笑いを通して人生を学ぶことにも繋がる。
    自分の弱さも受け入れて、笑って生きたい。
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    投稿日:2021.09.04

  • すぎもと

    すぎもと

    「笑いとは平穏な日常の破裂である。」という笑いの本質を軸に、様々な類型の「笑い」を哲学的に考察している。
    多くの日本の芸人が例として取り上げられており、クスクスと笑いながら楽しく読めた。哲学の入門としても、お笑い学の入門としても良い一冊だと感じた。続きを読む

    投稿日:2021.08.31

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