鉄路の果てに

清水潔 / マガジンハウス
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ko2ba

    ko2ba

    ジャーナリスト清水氏が終戦後にシベリア抑留されていた父親の足跡を追って,イルクーツクまで旅をする.わが国がかつて満州で中国の人のみならず自国民ををどんなに痛めつけたか,をたどる旅であり,その過程で日露戦争から第二次大戦におけるソ連参戦までの日露関係の意味を明らかにしてゆく.続きを読む

    投稿日:2020.12.24

  • こうのすけ

    こうのすけ

    第二次世界大戦中の日本軍とソ連軍の戦い、両国民のおかれた状況、またシベリア鉄道のことや道中に通る街並みや人柄など様々な情景を語った一冊。
    戦争後の日本軍におかれた立場や、日本軍がもたらした災いも含めて全て理解できる一冊ではなかろうか。続きを読む

    投稿日:2020.10.17

  • ucym100

    ucym100

    p47 南満州鉄道株式会社 満鉄
    満鉄はただの鉄道会社ではありません。鉄鋼生産、炭鉱開発、教育、医療、観光業。あらゆる分野に手を伸ばし、膨大な収益をあげて企業集団

    p73 日ソ中立条約は1945年の四月にソ連から不延長を通告されていたが、それでも条約そのものは後1年間有効だと日本政府は都合よく受け止めていた

    p35 三八式歩兵銃 1905 明治38年採用の日露戦争時のシロモノ

    p103 ボストーク BosToKとはロシア語で東方という意味

    p154 標高203メートルの高台 旅順港が直接見える
    28インチ榴弾砲 旅順港のロシア軍艦を攻撃  のべ 2930発
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    投稿日:2020.10.02

  • 臥煙

    臥煙

    亡き父の戦争体験を追って。釜山からイルクーツクへ。朝鮮半島から満州、シベリアを辿る旅。

    亡くなった父の残したメモ。多くを語らなかったシベリア抑留を追体験するため筆者は旅に出る。

    父は鉄道連隊に所属し満州へ。終戦直前のソ連軍の突然のしんこう。捕虜となりシベリアへ送られていた。

    日本から大陸を渡る筆者。ちょうど明治維新後の日本が日本が大陸に進出していく道と重なる。複雑な歴史を筆者は簡潔にまとめて描写している。特に鉄道の占める役割が強調されている。

    南京大虐殺であったり政府の姿勢を追求する筆者。日本政府の暴走により名も無き庶民が犠牲となるという構図。もちろん父もその犠牲者。本書で終始変わらぬ視点。満州やソ連の人々から見た残虐な日本の軍人。逆に進行したソ連軍による略奪行為。被害者目線が強い。昔も今も政府が悪く民衆が正しいという一方的な視点が多い。筆者の父も当時の中国人から見れば残酷な日本軍人の一人であったと思うのだがそのような視点はない。

    筆者の紀行にはセンセイという同行者がいる。重いテーマの紀行に余計な挿話が雑音となっている。スジの通った内容が阻害されており残念。被害者、加害者の視点は個々の思想もあるので許容範囲だが、こちらは気になる。

    日本人として知っておくべき歴史。戦争という大きなテーマを史実もコンパクトに解説しつつも、見事にまとめた紀行でした。
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    投稿日:2020.10.02

  • spica2015

    spica2015

    清水潔さんの本を初めて読んだ。「桶川ストーカー殺人事件」や「殺人犯はそこにいる」を読みたいと思っているのだが未読。
    暗く重いものを想像して読み始めたが、思っていたより軽いタッチ(と言ってしまっていいのか)だった。ユーモアを感じさせ、クスリと笑える部分と現実の歴史の厳しさ、戦争の残酷さ、国家の薄情さを描く部分が共存していた。ご自身の父親の足跡を辿る旅なので、情緒的になりそうだが、そんなことは一切なかった。暗く重く描かれなかったからこそ、実際の苦難を想像し、考え、感じる力を発揮すべきなのだろう。
    旅に出られない今、著者と青木さんと西へ西へ向かうシベリア鉄道の旅に同行させてもらった気分で、それはそれで今読んで良かった本であった。
    続きを読む

    投稿日:2020.08.10

  • 澤田拓也

    澤田拓也

    『桶川ストーカー殺人事件―遺言』、『殺人犯はそこにいる』という調査報道における金字塔とも言える二本の名作によりその名を高めた清水潔。帯には「気鋭のジャーナリスト」と評されているが、この二本については、その表現ではまったく不足している。現在の「ジャーナリスト」の枠からははみ出した、特異なる成果であると言っても言い過ぎではない。そして、この二本のスクープ報道の取材体験から、警察への不信、司法への不信、官僚への不信、マスコミへの不信がさらに募ったことは間違いない。それはシステムに埋没する個人への不信感であったはずだし、それに抗って自らリスクを負って義に寄って立ってきたという自負があるだろう。

    その後の日本テレビに移籍後の『「南京事件」を調査せよ』では、過去に遡ってかつての官僚的システムの最大のもののひとつであった日本軍とその行状について糾弾した。果たして、この企画が、清水潔の企図したことが実現されたのかは不明だ。しかし、清水潔の思考の傾向が、具体的な出来事に基づく反警察・反司法から、より大きな「反政府」に傾いているように思われた。

    本書は、かつて自分の父が戦時に朝鮮半島から満州・ロシアにかけて兵士として陸軍鉄道聯隊に従軍し、そして終戦を満州で迎えてイルクーツクまで捕虜として移送された鉄路の旅を、息子である著者が75年の時を超えて再体験したものを記録したものである。あの戦争を考えるにおいて、満州を抜いて考えることはおそらくできない。その意味では父に導かれて「近代史」というものを改めてきちんと考える時間であったのではないだろうか。それは、『南京事件』プロジェクトをリードしたジャーナリストとしては、魅力的な題材であったはずだ。その点で残念なのは、 友人の元記者で小説家でもある青木俊さんと同行したことかもしれない。テレビ東京の北京支局長を務め、大学でロシア語を専攻しており、何度もロシアへ足を運んだことがあるという理由もあって同行しているのだが、酒飲みであり、また気心の知れた友人ということからどうしてもコミカルな描写を入れがちとなるのである。単身で乗り込むのか、もしくはロシア語はできなくとも日本近代史にとても詳しい誰かと一緒に足跡を辿っていれば、この本のトーンも大きく違ったのではないかと思う。それは好みの問題かもしれないが、大切な問題だ。

    「鉄道」に着目したいくつかのエピソードは確かに興味深い。軌道の幅が違うこととそのための苦労、バイカル湖を迂回する鉄道建設に至った話などは具体性、すわち歴史性があって面白い。その当時の戦争において、物資補給のための鉄道の重要性は死活問題でもあるから、おそらく色々な語られるべきエピソードはあっただろう。しかし、どうもすっきりと最後に置かれた次のメッセージに結びついてこない、どこかもどかしい読後感を持った。

    「同じあやまちを繰り返さないために。
    すべては、やはり「知る」ことから始まるのだと思う。
    戦争は、なぜ始まるのか――。
    知ろうとしないことは、罪なのだ。
    何かを学び、何かを知る旅。
    必要であれば、私はいつでもその地へ出かけていくだろう。
    たとえ、それが遥かなる鉄路の果てでも。」

    そういえば、村上春樹も中国に従軍した亡き父の話を書いた。あのころ、多くの人が多くの物語を抱えていただろうし、それはそれを引き継ぐべき世代にはどこか重くまた想像力の果てにあることであり、存命のときにはうまく消化しきることができる物語ではなかった。その物語の中に、自ら物語ることなく死んでいった多くのものたちが含まれる場合には特にそうだ。どこか感傷的で、そうしたくないであろうにも関わらず、どこか私的な、不思議な本。


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    『桶川ストーカー殺人事件―遺言』(清水潔)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4101492212
    『殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(清水潔)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4104405027
    『「南京事件」を調査せよ』(清水潔)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4163905146
    『猫を棄てる 父親について語るとき』(村上春樹)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sa
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    投稿日:2020.08.04

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