【感想】ペスト

ダニエル・デフォー, 平井正穂 / 中公文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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4
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ブクログレビュー

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  • 本の虫

    本の虫

    このレビューはネタバレを含みます

    コロナ禍に買った一冊。
    読んでいて私には衝撃的な事が多かった。腫張ができて、最後には走り回って亡くなる人。先程まで元気だったのに、急に倒れてそのまま亡くなる人。子どもを身ごもったまま亡くなる人。現在は医療が進化しているため、想像もできない苦しみが昔にはあったのだと感じた。 
    特にp203あたりの信心深い男の人と作者の話が好きだった。

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    投稿日:2024.02.12

  • 黒猫

    黒猫

    思ってたよりずーっと読みやすかった!
    実際に体験したわけではない(大流行時は5歳)のに、取材してさも体験したかのように描けるのはすごいな。
    酒場・遊興所の閉鎖・往来禁止…今とまったく一緒。
    ただ行政はしっかりしてたようで、それは感心というか、うらやましいというか。続きを読む

    投稿日:2022.07.10

  • nuhuaueo0

    nuhuaueo0

    ”コロナ禍”で注目された本書。意外と読みづらいところが多く、思いのほか時間がかかってしまった。17世紀末のイギリスで実際にあったペストのパンデミックを描いたノンフィクション小説。著者は18世紀に活躍した「ロビンソン・クルーソー」で有名な小説家。本書で最も印象的なのはこの時代のヨーロッパでも”ロックダウンは無意味”と認識されていたこと。今から三百年前に無意味と断定された政策を現代でもやってしまったのは、まさに”歴史は繰り返す”という皮肉を感じた。 続きを読む

    投稿日:2022.03.04

  • えだまめ

    えだまめ

    感染者地域からやってきた人への差別。
    感染地域における隔離とロックダウン。
    日々の死者数を数字で追う人。
    感染地域を脱出する金持ち。
    デマ。
    科学的根拠のない療法で一儲けする人たち。
    17世紀も21世紀も何も変わらないとは。続きを読む

    投稿日:2021.06.29

  • mieux

    mieux

    冒頭の一文のおかげでロンドンにペストが入ってきたのは1665年だったことを忘れることはないだろう。章立てがなく改行もほとんどないのは今でいえばツイッターで日々の出来事をアップしているTLをまとめて読んでいるような印象。コロナ禍だから同じ世界にいる感覚で読み続けられたこともあるだろう。原題に"Journal ..."とあるように、架空の人物を設定し通も内容は詳細なルポルタージュ。日に日に増加する死亡週報の数字が昨年から毎日報道で見る患者数のよう。原因などが解明されずワクチンもない中、日々恐怖に怯える人々がどのように行動するか、さまざまな姿が見てとれる。イカサマ香具師等、ロンドンから逃げ出す人々、死を前に我を失う人々。当時は街のロックダウンでなく家を閉鎖していた。その閉鎖された家を監視する監視人の仕事ぶり。死体運搬の様子。概ねロンドン当局の仕事には好意的。文章から宗教観、理性への敬意が感じられる。あちこちの感想を見ると現代の人々には訳が不評なようだけど、1973年の訳としては現代的でこなれていると思うし、ロンドンの地名の表記が今と違っていて初め戸惑ったことを除けば私には読み応えのある訳だった。
    それにしてもロンドンはこの後大火に見舞われ、散々な年月だったのね。
    続きを読む

    投稿日:2021.06.29

  • 酒井高太郎sakaikotaro

    酒井高太郎sakaikotaro

    (01)
    筆者は,感染と蔓延とその結果としてもたらされる市民の死を克明に(*02)綴っていく.デフォーは幼児にこの1665年のロンドンでのペストの流行と惨事を経験しているが,彼が本書を上梓したのは1722年頃とされ,半世紀以上前の出来事を叔父の遺した記録を通じて生々しく再現しており,その文筆家としての手腕には驚くべきものがある.

    (02)
    政治的な情況としては,ロンドン市の救恤策も示されるものの,感染者が確認された家屋に,感染の有無にかかわらず家族や同居する使用人などの接触者をまるごと閉鎖する対策が凄まじい.筆者はこの施策を批判しているが,監視人のもとで閉鎖状態が管理されるものの,その家屋を脱出しようと試みる市民たちの描写まで行き届き,また,その閉鎖家屋から街路に漏れ出る死の咆哮までが伝えられる.経済的には,貧困層と富裕層との感染対策の格差をレポートしており,疎開する上層と市内に留まらざるを得ない下層(*03)をそれぞれに報告している.風俗面でも,治療や防疫として行われていたこと,あるいは予言や薬効などの民間のデマのような俗信(*04)から怪しいビジネスの流行まで,都市的なすったもんだにも事欠かない.

    (03)
    愉快な挿話として後半には市内の職人たちの郊外への避難が戯曲のような文体で報告されている.そのキャンプや機転には,ロビンソン・クルーソーのサバイバルに通じる実用性を持つハウツーの要素も混ざっているようで,一編の書物が綴られ,後世に伝世されることの意味を考えさせられる.tテムズ川での船上生活によって感染から自らを逆に隔離しようという行動があったことも痛快に感じられる.

    (04)
    新旧の宗派の対立がペスト蔓延の混乱の中で一時的に調停された様子も面白い.また,この渦中にあって神や信仰の問題を取沙汰する筆者の態度には,中世的な時代錯誤よりも,普遍的な神の存在が示されているように感じられる.
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    投稿日:2021.01.23

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