【感想】感染地図 歴史を変えた未知の病原体

スティーヴン・ジョンソン, 矢野真千子 / 河出文庫
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
8
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1
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ブクログレビュー

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  • まふゆん

    まふゆん

    河出文庫さんのフェアでブックカバー目当てで購入した本。予想以上にミステリーで楽しかった!終始眉間に皺寄せて読んだし(笑)最後のスノーとホワイトヘッドとの友情は胸熱。エピローグでは作者の考え方にゾクゾクした。すごい本だわ。続きを読む

    投稿日:2022.04.24

  • imemuy

    imemuy

    コレラの感染源を突き止め、科学的データとしてまとめた感染地図。
    コレラが1845年に大流行するまでの、ロンドンの都市として成長した理由、当時の下水システムや底辺層の暮らしぶり、菌の側からの生存戦略や遺伝的システムまで、ミクロにもマクロにも取り上げていて、ブロードストリートの悲劇が起きたのが都市成長した末に必然的で、社会学的生物学的背景から、そして人類の発見の端緒に繋がったことが、とてもよくわかり、そしてスノーが何を考え、どのような根拠に基づいて感染源を突き止めていくか、感心しながら面白く、犯人を追い詰めるドキュメンタリーとしてあっという間に読めた。信仰の強さと感染は別物だと信じる。瘴気説。居住地と高度の偽相関。地道に回ること。川底さらい、泥ひばり。アルコールと乳糖耐性と人類淘汰。戸籍と死因の統計。子供と水汲み。
    解決した後の、今後の展望は歴史に基づいてない分、少しだけ余計に感じた。

    コレラが小腸で増殖するもので、飲水から感染し、水を大量に飲めば治るという今から見れば当然なことを信じない当時の人の思い込み。天然痘などは空気感染するし、悪臭はもちろん病気の元だし、煙を火と思い込む。結果がわかっているので、偏見のある人々対スノーとホワイトヘッドの図式になるけど、きちんとした科学統計を取ればいつかは答えがわかる、つまり病原菌対人間の図式。試行錯誤し、偏見なく緻密なデータをだし、視覚的に分からせる地図を作る。菌を科学的に知覚できないビクトリア時代の、それでも迷信や思い込みに惑わされず原因を突き止めていった人々の強さ。

    新型コロナが話題となっている昨今。マスクだの感染源だの持続力だの経路だの、情報が錯綜して人々が右往左往しているけど、100年後の人々からすれば、簡単で唯一の解決策や感染源が分かっているのに、直感で行動していた未開な人たち、と思われるのかもしれない。

    p75 彼が疫病大流行の初期に不潔さと発症率が一致しないことに気づいたのも、以前からどの家の衛生状態がよくて、どの区画が不潔かを詳しく知っていたからだ。
    p63 コレラは数千年のあいだひっそりと暮らしていた。繁栄の障害となったのは、他人の排泄物をあえて食べる人はいないという点と、たとえそうしためったにない機会があったとしても、つぎに同じ機会がいつめぐってくるかわからないという点だった。
    水洗トイレを使うことや私企業の水道会社から高い水を買うことをおぼえたロンドン市民は、より快適で贅沢な生活を享受できるようになったが、知らないうちにコレラ菌のDNAをより危険なとのに組み換えていたのだ。

    p125 この街全体を覆っていたある種の逃れられない疑念のことを心に留めておかなければならない。それは、この街ににはひびが入りはじめているという程度のものではなく、こんな大それた都市を作ってしまったことがそもそもの間違いで、近いうちにその罰が下されるのではないかという疑念だ。
    続きを読む

    投稿日:2020.10.19

  • mickeymeguj

    mickeymeguj

    はじめに
    下肥屋
    眼はくぼみ、唇は濃い青色に
    探偵、現る
    肥大化する怪物都市
    あらゆる「におい」は病気である
    証拠固め
    井戸を閉鎖せよ
    感染地図
    エピローグ
    著者注
    謝辞
    付録 推薦図書
    訳者あとがき
    文庫版 訳者あとがき
    書誌
    原注 
    続きを読む

    投稿日:2020.08.27

  • ジュンヤ

    ジュンヤ

    150年前にロンドンの一画で起きたコレラ感染について、具体的な事実を追い、原因を突き止めた二人の人間のドキュメンタリー。少数の人間であっても、地道で真摯な行動によって多くの人間を救いうることを示してくれた。当たり前のように生活している都市基盤も、こういう地道で大胆な積み重ねによって成り立ってるのだと知れた。続きを読む

    投稿日:2020.08.02

  • 重度積読症

    重度積読症

    はじめに、にあるように、本書には、致死的な細菌と、超成長する都市、そして天賦の才をもった2人の男という四つの主役が登場する。
    舞台となるのは、1854年8月末から一週間のロンドンはブロードストリート、このエリアをコレラが襲う。と言っても、コレラ菌が発見される30年も前のことであり、原因も治療法も分からない中、人がバタバタと死んでいく。
     原因を探り当てていく過程は大変スリリングであり、特に井戸水のポンプを外させる場面などドラマチックで、読み応え抜群である。

     
     ところでということになるが、主役の一人、ジョン・スノーは、1854年以前においてもコレラ禍の被害について様々な調査分析、考察を行っており、原因は飲料水の汚染を媒介としているのであろうとの結論に至る。しかしながら、当時はほとんどの専門家が瘴気説を採っていた。においのせいで人が死んでいるわけではないことを示す科学、統計、逸話が十分あったにもかかわらず、瘴気説が専門家の通説となっていたことについて、著者はその理由、背景等を説明する。

     特定のドグマに囚われてしまうと、その中でモノを見てしまいがちであることの怖さを、歴史的事実として教えられた。



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    投稿日:2020.07.20

  • nao

    nao

    これは面白い!
    疫学、科学、社会学、歴史学、どこにカテゴライズすればいいのかわからないけど、知的好奇心を掻き立てられるというのはこういうことか!と思う。
    面白い!!

    投稿日:2020.07.13

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