【感想】逆転の農業 技術・農地・人の三重苦を超える

吉田忠則 / 日本経済新聞出版
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • pippin幸せ

    pippin幸せ

    本書によれば、後継者がおらず農地を譲る人が増え、集約された土地で大規模農業を行う人が増えているという。
    農協の成功事例や、顧客に合わせて農作物をカスタマイズするサービスなどがレポートされており、農業の明るい未来が見えてくる。続きを読む

    投稿日:2021.03.27

  • touxia

    touxia

    いったい日本にどのような「逆転の農業」があるのだろうと思って、本を読んだ。
    日本人は農耕民族であるといいながら、農家は減少し、GNPの1%になっていると指摘する。まぁ。農耕民族だから、農業をやり続けなければならないという言い回しが、面白い。さすが日本経済新聞の論説委員である。
    現在の農業の衰退の問題は、「農協の問題らしい」ということである。農政に焦点を当てないところがあざとい。農業の収益性の低さ、兼業農家に依存するがゆえに、後継者が生まれない。全国農業協同組合連合会中央会(JA全中)が、2019年9月末で、一般社団法人になったという。農協は自民党の集票機関だった使命を終えたということだ。農協がピーク時には13314 あったのが、2019年3月には、649になったという。農協の減少と衰退が激しい。
    そういう中で農協の今後の生きていくべき方向性を探る。その地域において、地域の特徴を生かしながら、産地としての競争力を高めるという「産地づくり」を農協の役割とする。
    農業は、地域の気候風土に左右され、その前提のもとに食生活が形成されてきた。といっても、食生活は大きく変化し、ご飯を食べることが減少し、洋風化した。パン、ラーメン、パスタなどの小麦はほとんど海外からの輸入となっている。農協はそのような食の変化に全く対応できていない。
    しかし、いくつかの農協では、面白い取り組みがされている。茨城県のJA行方しおさいでは、白鳩食品と協力して、耕作放棄農地と廃校を活用してサツマイモをテーマパークとした。そしてサツマイモの生産を増やしている。サツマイモは、2005年487ヘクタールで14億5000万円の売り上げから、2015年700ヘクタールで、36億9000万円となっている。富山のJAとなみ野は、チューリップ生産の産地であるが、タマネギの生産にチャレンジして産地となった。タマネギは、淡路島、佐賀、北海道の産地があるが、その端境期に出荷する。2019年には200ヘクタールで1万トン出荷する。良食味品種の高品質栽培技術を確立させた。JA秋田ふるさとは、2018年度にコメの生産量の上限廃止を受けて、生産振興こそが農協の役割とコメの増産に踏み切った。2018年度は前年度19.1%増加した。
    これでかなり農協が面白い展開がしていくのではないかと思ったら、広く浅く日本の農業の様々な取り組みを取材している。ふーむ。やっぱり農協の行くべき道は閉ざされている。その発想は効率性と収量増という古い農業の延長線上にある。
    一体どこが逆転なのであろうか?と読み終わってから感じた。
    日本の農業はある意味で兼業農家が支えてきた。そういう中で経営者意識を持った農業法人が現れた。農業をビジネスとして捉える流れである。それは現実の農業に刺激を与えている。
    福島の「米造魂」は、カレーライスには粒が大きく、食感の良いコメ、チャーハンにはパラパラ感があるコメ、炊き込みご飯には、汁がしみやすくベチャッとしない、おにぎりには冷めても美味しいコメとコメのブレンド技術に磨きをかける。ベンチャー企業の「結わえる」は、アミロースの含量が少なく粘性の高いコメを選び、白米食より美味しい玄米食を提案する。モチクリームジャパンでは、乳製品アレルギーがある人に対して、コメで、チーズ風味の食品をつくる。農匠ナビ1000プロジェクトで、稲作の水管理の省力化を図る。ルートレックネットワークスは、養液土耕システムを開発し、使った水の量をAIでコントロールする。クボタは楽と快適を目指したコンバインを開発する。埼玉ヨーロッパ野菜研究所は、イタリアやフランスの目面しい野菜を栽培し、レストランと提携する。東京都農業会議のリーダーシップで東京で農業を始める若者たちにフォーカスを当てながら、貸し農園の経営など。
    日本の農業の大きな展開とはどうあるべきなのかと言うことについては、大上段に構えずぼつぼつと描く。結局どこが逆転かというのは、農業を人々が取り戻すとしている。まぁそれ以上のことができないのだろうね。著者の日本経済新聞論説委員の限界かもしれないね。農業の本質に全く踏み込まない、ふみ込めないと言うことで著者は文字を生産している。農業ジャーナリストも行き詰まってる。
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    投稿日:2021.02.26

  • naosunaya

    naosunaya

    日本の農業って、今GDPの1%に過ぎないんだな・・・
    もはや単独の産業としてカウントする意味があるのか、というレベル。
    第二種兼業農家。狭い土地。
    そして担い手の高齢化。

    いや、だからこそ、というか、実は近年農業の経営は大規模化している。やる気のある人や企業に土地が集まってきているのだ。

    データ不足なら、IT、AI。
    労働不足ならドローン、ロボティクス。
    食の安全への意識の高まり、なんだかんだ舌が肥えてきた消費者。
    工場なんかとの最大の違いは、産業の現場がそのまま「景観保全」になっていること。
    気候変動と収穫カ農作物の変動。

    なんていうか、論点全部入ってる未来産業じゃん!

    が、これをマネタイズするのは大変だ、というルポルタージュ。幸福な例外をいくらかき集めても産業としてのテイクオフを描いたことにはならない。

    が、ヒントは明らかにここにある。
    この産業はおもしろいはず。

    大学のゼミで魚沼の農家に宿泊学習に行ったっけな。盲目となった古老の語る「昔の村の話」。黒光りする大黒柱、大きな構えの邸宅。悶絶する位うまい夕飯をごちそうしていただいた。

    試行錯誤、反復をいとわない粘り強さがあれば報われる、それが本来の農業だったはず。
    農業で日本が勝負できないはずはないのである。

    そんなかすかな、しかし確かな希望を持てる本。
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    投稿日:2021.01.31

  • mfin

    mfin

    本の中で取り上げられている農家の数が多い。それだけの取材を積み重ねられた本。
    頑張っている農家もいることが分かったが、農業全体で見るとごく一部。

    投稿日:2020.07.25

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