変半身(かわりみ)

村田沙耶香 / 筑摩書房
(33件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
7
10
8
3
1

ブクログレビュー

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  • 松阪

    松阪

    このレビューはネタバレを含みます

    久しぶりの村田さん作品。これまで生きてきた世界でためた知識や経験を脳からひっぺがされて、得体の知れないものを植え付けられるこの感覚!最高!大好き!
    「取り替えられるだけの存在」としての蟻が久しぶりに登場。嬉しかった。
    「ニンゲン」は信仰を入れる箱。今ある「当たり前」を信仰することでしか生きていけない。「当たり前」は常に誰か、何かによって、時には適当に更新され続け、生きていくためには必死にそれを飲み込んでいかないといけない。コロナ禍を生きる今、それを実感しています。
    『満潮』は今までとはテイストが少し違うような気がしました。「性」は誰のものか。フェミニズム的な考えなのか?別で読んでいる本がフェミニズムを扱っているので余計にそう思うのかも知れないけど、確かに女性の「性」って男性から語られることが多いような気がする。それが「性的に消費される」ということにつながるのか?自分で探求する「性」は汚れていなくて、他人に扱われた「性」は汚れている、ということ?「潮」という言葉に惑わされて面白半分で読んでいたけど、これまであまりなかった感じで新鮮な読後感でした。

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    投稿日:2021.01.03

  • あやこ

    あやこ

    このレビューはネタバレを含みます

    『変半身』
     いつもと感じが違う、なんかドラスティック、と思ったら劇作家との共作だった。信じ込まされてるもの、信じてないけど信じてるフリをした方が都合が良いもの。読むほどに足元がぐらつく。

    『満潮』
     こっちは村田沙耶香っぽさが詰まってた。コンビニ人間売れて読者増えたはずなのに、この迎合しなさが良い。
     でも読後感は全然良くない。性別の垣根のない性行為、決して男女どちらかが貶められていたりしないのに、何故か不快感が伴う。自分が持ってる性への認識に強い疑問符を投げかけられてるからかも。

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    投稿日:2020.11.18

  • tomosaku

    tomosaku

    もうなんだろうこの、体内をざらついた指で撫でられたような気持ち悪さ。著者の割には抑えめの表現ではあるのだが、性と生をこねくり回す展開は、様々なものを突きつけてくる。

    表題作は、過疎の島の異様な風習と歴史が実は……という物語。‬作中で書き換えられる「真実」、捏造とも言える伝説の改変、そして「この世の全てはプロデューサーが操っている!」という叫び。これって情報に踊らされる現代の我々の姿だよな、と思う。自覚的だろうが、無自覚だろうが、人は情報の前におぞましい姿に変質していく。その“かわりみ”が恐ろしい。‬

    もう一編の「満潮」。いわゆる“潮を吹く”ことを、こんな形で突きつけられるとは思わなかった。だがそれ自体は本質ではない。快楽のために人が取り得る身勝手な姿を描き、合わせてストイックな態度を描くことで、性とは何かを考えさせられた。‬ ‪最後は不思議な展開でワシの理解を超えたけど。‬
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    投稿日:2020.10.23

  • ぱとり

    ぱとり

    『僕たちはそういう生き物なんだ。信仰の入れ物なんだ。そういう風に作られてる。僕たちは遺伝子の家畜なんだよ』―『変半身』

    このところ村田沙耶香を立て続けに読んでいる。その中で表題作は少しだけ毛色の変わった作品という印象を受ける。他の作品に比べて、ほんの少しだが、中立的な立場から書いているように見えるからだ。あるいは学術的、と言ってもいいのかも知れないが、理解してもらいたいという気持ちが他の作品に比べて強いように思う。

    とはいえ主張(?)していることそのものは他の作品と大きな違いがある訳ではない。他人が当たり前と思っていることは本当に当たり前のことなのか、という疑義の提示。ファンタジーを描いているつもりはないのだろうな、ということは伝わってくるけれど、相変わらず言葉の描く先が普通の人々が想定している範囲から逸脱するのでディストピア風の世界が立ち上がる。けれど、その妙な律儀さとでも言ったら良いような態度と主張していることの常識からの乖離が諧謔的で面白い。繰り返すけれど、もちろんそれを意図している訳ではないだろうとは思う。

    『夢の中で、私は下半身を洗濯機に入れて立っていた。洗濯機の水がぐるぐる回転し、泡に包まれているうちに爪先が心地よい痺れに包まれ、這い上がってきた快楽が脚の間でぱちんと破裂した』―『満潮』

    村田沙耶香の多くの作品はどこか性的な感覚に通じるものがあるように思うが、これほどに直接的な表現で埋め尽くされているものは初めて読む。性的と言えば淫靡なものを想像しがちだが、淫靡さとは正反対であり、かと言って伊藤比呂美のようなあっけらかんとした性の解放的表現とも違う。語られていることは性的であり具体的でありながら、場違いな言明であるかのように俯瞰的なのだ。この作家の思い描く性はジェンダーという狭い枠を常に超えていて、いわゆる官能小説のように一方の立場から他方を貶めて性を描くことがないからこのような雰囲気になるのかも知れない、などとぼんやりと考えてみる。とはいえ、どこか正体不明なものを頭の中だけで解決しようと試みているような印象もまたつきまとうのではあるけれど。

    松岡正剛との対談で、村田沙耶香は性に対する目覚めは早かった、と述べている。そして、身体的な目覚めが知識による刷り込みに先行していたためか、後年映像などで覚えた興奮がどこか後付けのように感じる、とも言っている。その為か、肉体的なものに対しては肯定的で、羞恥心を覚えるようなものとは思っていない、とも。これは淫靡という言葉が醸し出す「隠されたものを想像して感じる」類の興奮が、身体主導の自然な興奮とは異なり、「大人の」知識によって整理あるいは強制されたものであるということを訴えているのかも知れない。もしかすると、彼女はその自身の身体感覚と世間一般の性的なものに対する暗黙の了解のずれを違和感として作品に還元しているのか。どこか危うさを感じる作家であることを再認識する。
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    投稿日:2020.10.09

  • acobooklog

    acobooklog

    村田氏最新作。劇作家の松井周氏との共作とのことだけど、これは村田作品の中で1番いただけなかった。田舎の土着の風習と、観光プロデュースによる演出のあざとさ、それに翻弄される人間を描いているのだろうけど、あまりに「俗っぽさ」を表現する描写や言葉の選択が邪魔して読んでいてイライラした。おかげでキャラの描き方も描いてるテーマ自体も薄くて浅い印象しか残らず。続きを読む

    投稿日:2020.09.29

  • 奈良ヒロキヒロキ

    奈良ヒロキヒロキ

    変半身
    「だって、この島の連中は、皆、家畜を見る目で私たちを見るじゃない。メスはたくさん子供を産めそうな腰をしているか、乳の出はよさそうか、オスは力仕事に使えそうか、いい遺伝子を持っていて繁殖力がありそうか、誰と誰を交配したら質のいい新しい家畜が生まれるか。大人たちってそんなことばっかり」

    「みんな、自分に都合のいい嘘を信じるんだ。人間ってそういう仕組みなのかな」

    「僕たちはそういう生き物なんだ。信仰の入れ物なんだ。そういう風に作られてる。僕たちは遺伝子の家畜なんだよ」

    満潮
    『私は夫のために絶頂を引き受けようと思った。夫と違ってら私なら証拠を身体から出す必要はない。体が有利だと思った。自分のほうが、達する役に向いているなら、自分が背負おうと思った。』
    続きを読む

    投稿日:2020.09.18

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