【感想】雇用、利子、お金の一般理論

ジョン・メイナード・ケインズ, 山形浩生, ジョン・リチャード・ヒックス, ポール・クルーグマン / 講談社学術文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • bookkeeper2012

    bookkeeper2012

    なかなか頭に入ってこない。こちらの力不足もあるし、100年を隔てて文脈が完全にわからないせいもあるだろう。もっと山形浩生が注記を入れてくれても良かったくらい。まさに読む睡眠薬であった。

    とはいえ、「ああ、付加価値の話をしているのか」とか「IRRをこんなにイチから一生懸命考えている」とか「意外と動学動学しているじゃないか」とか、読んでいて面白いところはあり。流動性選好のところも真打登場といった感じで盛り上がる。

    結語のところでケインズは、資本の希少性には(土地の希少性と違って)本質的な理由などなく、投資のリターンがすごく低くなるまで資本ストックをふやすことはむずかしくないはずなので、資本主義の金利生活者的側面はいずれ消え失せると予想している。この予想は外れているよなあ。なぜだろうか?
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    投稿日:2023.04.08

  • fuyuu26

    fuyuu26

    個人の努力が適切になるのは、適切な計算がアニマルスピリットに補填支持される場合だけ

    そして世の中を動かすのは、人々の生得的な活動の衝動であり

    12章のこの一文を読むだけでも価値があると思う。

    投稿日:2022.10.29

  • Shark3284

    Shark3284

    経済学史における三大古典一つであるが、
    既存の日本語訳が難解あるいは不正確であるという山形氏の判断で、
    ネット上に全訳・要約した文章を書籍化したもの
    でもケインズ自体が悪文家なので結局難解

    投稿日:2020.07.12

  • lacuo

    lacuo

    山形浩生の解説が分かりやすかった。

    以下、引用。

    本書は経済学という分野を震撼させた、革命的な本だ。

    本書は失業というものが一時的な過渡期の現象などではなく、定常的に存在し得ることを説明し、そしてそれが金利を通じてお金の市場(つまりはお金の量)に左右されることを、まとまった形でほぼ初めて示した。


    それまでの経済学はこの状況に対して答えを持っていなかった。それまでの経済学は、失業は変な規制や不合理な抵抗さえなければ、だまっていてもなくなる、と述べていた。

    需要と供給は市場メカニズムを通じて価格によって均衡する。失業なんてのは、価格による調整が完了するまでの一時的で些末な現象でしかない、と。

    そして恐ろしいことだが、もはやケインズ『一般理論』など過去の遺物と思われつつあった 2008 年になって、サブプライム問題とリーマンショックに端を発する世界金融危機が発生し、世界的に急激な景気停滞と失業増加が見られた。そのときも、ケインズから70 年にわたり進歩と洗練をとげてきたはずの新しい経済学は、有効な診断も処方箋も出せなかった。そして危機に対してきちんと対処を行ったあらゆる国(つまり日本以外のほぼすべての国)は、この古くさいケインズの基本的な処方箋どおりの対応を(不十分ながらも)実施し、最悪の事態を回避している。

    この本は
    「美人投票」         2箇所に出てくる?
    「アニマルスピリット」    6箇所に出てくる?
    「穴を掘って埋める公共事業」 2箇所に出てくる?
    といった、印象的で有名な比喩やフレーズがたくさん登場する。

    一部のケインズ解説書などでは、『一般理論』の英語は格調高い美文なのでわかりにくいなどと書かれているがまったくのウソで、関係節に関係節がぶら下がり、そこにいくつもの条件節が並置されて延々と引き延ばされた典型的な古くさい悪文だ(むろん古くさいわかりにくい書きぶりこそが格調高いのだ、という価値観はあり得るが)。


    純粋ケインズ左派の立場からすれば、IS-LM などというのは経済学の数理的な処理を明白に否定していたケインズの理論を、中途半端に数式化して後退させてしまったということになる。厳密すぎるからダメ、というわけだ。それどころかこのヒックス論文は、こともあろうにケインズがあれほど批判した古典派の理論を、ケインズ経済学と野合させている。おかげでサミュエルソンが、両者を統合した新古典派総合なんかをでっちあげることになったではないか、と。

    IS-LM がなければケインズ理論が戦後の世界経済を席巻できたかどうか。この
    モデルの異様な使いやすさは比類がない。この図を一つ描けば、ほとんどの場合には経済政策の基本的な方向性は見極められる。
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    投稿日:2016.09.11

  • takeshinakanishi

    takeshinakanishi

    内容はともかく、山形新訳はわかりやすいのだろうか。現代的言葉使いにすれば、むしろわけがわからなくなってしまう典型では。

    投稿日:2016.09.03

  • nt

    nt

    基礎解析以上の数学と経済学は、私の最も苦手とする分野で、これまでも果敢に入門書・解説書に取り組みながら、その都度多少は理解を深めつつも、私のシナプス回路が苦手な知識を葬り去ろうと自動的に機能するのか、たちまち記憶からきれいさっぱり消えてしまい、もはや何も覚えていないのである。
    ケインズは以前小文集を読んだことがあるが、主著とされるこの本は今回初めて読んだ。
    とりわけ難解とされる本ではあるものの、実際に読んでみると、全部は理解できなくても何となく面白く、少なくとも経済というものが「わけのわからん用語と数式で記述された、おっそろしく複雑で奇怪なロジックのシステムで、誰もコントロールしきれないようなシロモノ」だということを体得できる。山形浩生氏による翻訳は口語体も混ざる平易なもので、この訳書はおすすめできる。恐れることはない。わからん部分はわからんままでいいのだ。
    1936年、大恐慌により失業者が20%以上も出た時代に書かれた本書は、その後のマクロ経済学の祖型であり、ポール・クルーグマン氏も「この本のあとに経済学が新たに獲得した知なんて微々たるものだ」と断言している。
    雇用の情勢に「利子」が直接的に影響しているという指摘は、さすが、わけのわからん複雑系=経済だなと思う。
    古典派経済学が生産者(労働者)側のダイナミズムばかり記述していたのに対し、私は、いまや「超」消費社会なのだから、需要と供給のバランスというより、問題なのは選択消費のベクトルを左右する欲望生成装置なんじゃないの、と考えている。
    ケインズもこの本で「消費性向」のコントロール不能なパワーの重要性を指摘していた。
    斬新な欲望を惹起するパッケージの創造こそが企業の利益を生み、市場を活性化すると思うのだが、日本の企業はみんなノークリエイティビティで、何かが売れ出したと気づいてから必死に「需要」に「供給」を合わせようとするばかり。いつまでも亜流・二流のメーカーである。
    クルーグマンさんの言うとおり、ケインズを超える新たなケインズの登場が待ち望まれているのかもしれないが、そうそう簡単に、この巨大な複雑系をコントロールはできないだろうという気がする。
    なにしろ絶え間なく揺れ動く人びとの「こころ」の動向がカギを握っているのだ。
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    投稿日:2014.08.03

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