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阿部和重 / 講談社文庫 (61件のレビュー)
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総合評価:
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PANDA-MAN
純文学というものをあまり読んだことがないし、どう読めば良いのか戸惑いながら読み進めた。 まず、短編集であることを知らなかった。 本書のタイトルになっている「グランド・フィナーレ」はメインの短編となっ…ている。 きっと、物語のあらすじをまとめることにあまり意味はないのだろうと思う。 たしかに、読み進めるうちに、この言葉は、この構成は、何かを表現するための仕掛けなのだろう、と度々感じさせられる瞬間はあるが、それがなんであるのか、見立てをたてることすら難しかった。 もう少し批評について勉強してから、再度読んでみてもよいのかもしれない。続きを読む
投稿日:2023.06.16
たけ
もうすぐクリスマスですね。 ー 二〇〇一年のクリスマスを境に、我が家の紐帯は解れ… 芥川賞受賞の表題作は、ロリコン趣味が露呈して、妻と最愛の娘に去られた男の再生の物語。 とは言え、反省はしてるんだろ…うけど、主人公はきっと変態なままだ。 気持ち悪いまま読み終えた。 阿部和重さんは、そんな病んでいる男を一人称でドライに描き上げる。 村上龍さんは芥川賞の選評の中で「少女に対する偏愛という、いろいろな意味で危険なモチーフについて、作者が踏み込んで書いていないのが最大の不満だった」と言っているが、そこがこの小説をかえって不気味にしている、と思った。 主人公の内面については薄っぺらく描かれてるので、引き起こした事象から主人公のヤバさを読者は受け止める。なんかね、もういや〜なもやもやが残るんですよ。 人にあまりおすすめはしたくないが、僕はこの短編にかなりやられました。 そして、meguyamaさんもレビューでおっしゃってたけど、収録された最後の短編の「20世紀」と「グランド・フィナーレ」がループしているように思えて… 読み終えて、さーっと全身に鳥肌が立ちました。 人生って、ほんとにコワイ… あと、「グランド・フィナーレ」の作中に登場するジャズ曲、アーチー・シェップの「Quiet Dawn」は危なっかしい少女のヴォーカルが心をすごく不穏にさせます。 くれぐれも、この曲を聴きながら「グランド・フィナーレ」を読まないように。 おかしくなります。続きを読む
投稿日:2022.12.10
駿・クリーム
読書開始日:2021年10月13日 読書終了日:2021年10月17日 所感 台詞がかなり好み。 表現方法も多彩。 でも内容としてはあまり好みではない。 台詞や言い回し図鑑のような作品だった。 半導…体技術はもはや何の手助けにもなってくれず 置いてけ堀 期待が大きいほど外れくじを引きやすい うすばかげろう 彼なりの動物愛護精神 どう転んでも原物とは一致し得ないまやかし=磁気的記録 不道徳の匂い 今現在は露悪趣味に走って自身であえて貶めることにより逆説的に自らを際立たせた気になって悦に入る ちっぽけでぼやけたデジタルの像を見つめることによって感受されるのは、やはりどうにも埋め難い、被写体との距離だった 沢見さんは、田舎に帰って、こっちにいる人たちの顔を見ないで暮らしていけば何もかも忘れ去られるんだろうけど 古典的メロドラマ デジタルの象を守るあまり変え難い現実を手放す羽目になった後悔を抱く 都市化の推進とは一方で、新市街地の周囲に無数の小さな田舎を同時に生み出してゆく 素寒貧 少々てれ気味に腹を立てていた わたしの中に巣食うナルシシステイックなセンチメンタリズム 無責任を玩味しながら孤独に酔っていたかったのだ。完全から孤独を恐れながら 子供たちの社会は、大人のそれよりも遥かに人間関係の変化に富んでおり、濃密な時間が流れているものだ。 死にゆくものから託されたねがいは、それを受け止めたものに対して絶対的な命令のごとき強制力を及ぼしてしまう 貫徹は美徳 イエローベースの春の肌色 ブルーベースの冬の肌色 馬小屋の乙女 素性もわからぬものに対してこうもあっさり明け透けになれるのは、きっと本心ではそれなりに不満が鬱積しており、自身の現状についてだれでもいいから話して聞かせてみたかったのだろう シャブもしくはスミ子の名器 しんじゅくよどばしかめら 新宿のなにもかもが鬱陶しく、わたしたちを逆説的に惹きつけてやまない。 渋谷=どこもかしこも広告の一部として存在するだけであって、ただ消費者のみが交通を許される 新宿=人情味の排除=ヨドバシの罪 姿見ずを克服するためにカメラは、あえて「淀」の中へレンズを向けねばならないという逆説 20世紀 ダゲレオタイプの登場により、存在という概念が明確化。観測可能なものだけが存在。 心霊写真がいい例 人間が観測技術よってしか存在を認めなくなると、無神論が蔓延る。そのため神は存在の刻印を世界中に残し続ける。続きを読む
投稿日:2021.11.06
脇 草太郎
終わり、それとも始まり……神町を巡る物語「グランドフィナーレ」という名の終わりの始まり。毎日出版文化賞、伊藤整賞W受賞作「シンセミア」に続く、二人の少女と一人の男を巡る新たなる神町の物語。 自分の過…去をまるで他人事のように小さく語る主人公。刑事事件になっていないからなのか、それとも思考を停止しているだけなのか。クライマックスもこじんまりしていてサイコパス感が出ていて良かった。阿部小説は文体にかなり特徴があるらしい。とある芥川賞作家は、この作品についてこう書いていた。「多くの読者は疲れるだろう」と。だけどグランドフィナーレを読み終えた直後の感想は「普通に読めるし面白い」だった。続きを読む
投稿日:2021.09.20
19880327
このレビューはネタバレを含みます
度し難いクズのお話。なにかおかしいと読み進めると、徐々に明らかにされるクズのクズたる由縁がおもしろかった。最後はなー、きっとこの主人公は変わらないだろうなとも読めて、評判悪いのもわかるが個人的にはかなり読ませる小説で面白かったです。この2ヶ月くらい、芥川賞受賞作を10作近く読んだけれど、『推し燃ゆ』の次くらいに面白かった。
投稿日:2021.09.08
aokikenichi
現代を描いたものはすべて『コンビニ人間』と比較してしまう。 取って付けたような犯罪歴や自殺の匂わせなどは『コンビニ人間』と比べると「人間が描けていない」と思えてしまう。
投稿日:2021.05.01
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