【感想】和泉式部日記

川瀬一馬 / 講談社文庫
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  • nakaizawa

    nakaizawa

    (2013.05.23読了)(2005.01.15購入)
    【5月のテーマ・[日本の古典を読む]その③】
    紀貫之の「土佐日記」は、土佐・高知での任期が終わり、送別会を開いてもらって、船で和歌山経由で、大阪に向かい川をさかのぼって京都へと移動する旅の様子を日記として綴ったものです。
    「和泉式部日記」は、「日記」と題名がついているのに、何月何日、なになにがありました、という形にはなっていません。内容は、和泉式部と帥の宮の和歌のやりとりで話が進められています。いわば、「源氏物語」の実話版といったところです。
    和泉式部は、為尊親王と付き合っていたけど、亡くなられたので、今度は、為尊親王の弟の敦道親王(帥の宮)が和泉式部に興味を持ち、文をよこして、お付き合いが始まります。
    和泉式部に言い寄る男はたくさんいるらしいという噂に、帥の宮の足が遠のいたり、せっかく帥の宮がやってきたのに、侍女や下男がなかなか起きないので、帰ってしまったり、と恋愛模様が綿々と続きます。最後には、帥の宮が和泉式部を自宅に引き取って、暮らし始めるのですが、・・・。
    翻訳を行い解説を書いている川瀬さんによると、この本は従来和泉式部の作とされてきたけれど、じつは、藤原俊成の作ではないかということです。
    各所に、和泉式部の歌をちりばめ、帥の宮の歌を代作して、書き上げたのではないだろうか、ということです。面白い説だと思います。
    前半が、原文と脚注、後半が現代語訳と解説という構成になっているので、一文ずつ原文と現代語訳を並行して読むのは煩わしいし、かといって、原文だけ一気に読んで、そのあと現代語訳だけ読む、というのも心もとない。
    ということで、原文を5頁ほど読み、現代語訳を10頁ほど読み、原文を10頁ほど読み、現代語訳を10頁ほど読み、という形で、原文と、現代語訳をオーバーラップさせながら読みました。

    【目次】
    口絵
    凡例
    和泉式部日記(付脚注)
    補注
    現代語訳
    解説
    一 はじめに―私と和泉式部日記―
    二 和泉式部日記の諸本
    三 和泉式部日記の作者
    四 和泉式部の生涯
    附記
    和泉式部家集抄
    日記歌(初句)索引

    ☆関連図書(既読)
    「土佐日記」紀貫之著、川瀬一馬訳、講談社文庫、1989.04.15
    「紫式部日記」紫式部著・山本淳子訳、角川ソフィア文庫、2009.04.25
    「楽しい古事記」阿刀田高著、角川文庫、2003.06.25
    「絵本 徒然草(上)」橋本治著・田中靖夫絵、河出文庫、2005.06.20
    (2013年5月24日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    ものおもへば沢の蛍もわが身よりあくがれいづる魂かとぞみる。愛する男を失った式部が、神の力によって悩める魂を鎮めるべく貴船神社に詣でた折の歌である。この日記は、多くの男性遍歴の中で、とりわけ深い愛情を捧げた帥の宮との恋愛生活を、宮との贈答歌を中心に叙述したもの。式部は恋の彷徨者であるとともに天性の詩人でもあった。
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    投稿日:2013.05.24

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