日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実

吉田裕 / 中公新書
(72件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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ブクログレビュー

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  • ritzcheese1

    ritzcheese1

    読んでよかったと思える本。右寄りだった自分の考え方が変わったと思える。
    戦争を体験した当事者の生に近い声が入っており、悲惨な体験の数々は考えさせられるものだった。

    いまの日本の働き方も、この頃の考え方と根は同じであることが感じられ、いまだに悪癖が変えられないことに残念な思いになった。続きを読む

    投稿日:2020.10.14

  • ippoisan

    ippoisan

     文化を外国人にほめてもらう、海外での日本人の活躍ぶりを紹介するメディアが増えている中、このタイトルの本を読んでみようと思ったのは日本軍兵士の勇ましさエピソードに期待したから。筆者はそういう人こそ日本軍兵士の凄惨な現実を直視する必要があると思ってこの本を書いたそう。

     この本はアジア・太平洋戦争で日本が敗戦濃厚となってからの兵士の健康・疫病問題や、軍が思想や指導のあり方で現場にどのような負荷をかけてきたかを多くのデータと手記を交えて説明したもの。

     日本の戦没者の多くが敗戦濃厚となった1944.8-1945.8に集中しているそう。要因も餓死を中心にした病気によるものが多く、海没、自殺や傷病兵の殺害など、戦死でないものが多い。
     兵士の平均体重も装備の質も軍紀もみるみる落ちていく様が示される。
     それらの要因となった歴史的背景も思想や政府といった目線から解説してくれる。

    学ぶことが多かったんだけど、下の階級の兵士が文献として日本軍の問題点を多く残していることに1番驚いた。下が問題を認識しているのに上は解決しようと動かないのは現代でもよくあること。

     戦争がらみの本の中には固有名詞や専門用語が多く、読んでられないものが多い中、この本はめちゃくちゃ読みやすい。だいたいの章の最後に一言結論を書いてくれるのも頭の中がまとまっていい。おすすめ。
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    投稿日:2020.08.13

  • 板橋区民

    板橋区民

    主観や感情を極力交えずに、客観的事実のみ淡々と描かれている。その方が戦争の悲惨さが生々しく伝わるとの発想からだが、その試みは成功しているといえよう。
    戦記は往々にして手柄話か、”悲惨自慢”になりがちなのだが、こういうファクトベースの戦争記録も非常に重要である。
    徴兵の実態や兵士の体格の変化など初めて知ることも多かった。良書。
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    投稿日:2020.07.07

  • TAKUBO Shihou

    TAKUBO Shihou

    兵士のさまざまな死因(自殺や「処分」も含む)や兵士が悩まされた栄養失調、精神疲労、被服・装備の劣悪化など、兵士の目線から描き出された戦争の真実に迫る著作でした。また、大日本帝国憲法が抱えていた欠陥や工業、通信、土木の近代化の遅れといった、敗戦の歴史的背景についても詳細に著述されております。兵士の補充や武器・弾薬・糧食の補給がままならなかったことや、玉砕、特攻といった作戦と呼べないような戦いについてはよく知られているところですが、この本を読んで以上のような戦地の実態がよくわかりました。
    8月は、自然と先の戦争について思いを寄せるとともに、現在・未来の平和について考えます。「戦争はダメだ」で終わるような思考停止ではなく、「なぜダメなのか」「どうして戦争が起こるのか」「どうすれば戦争を食い止められるのか」…過去と現在の事実に正面から向き合うことが大切だと感じています。
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    投稿日:2020.05.11

  • run

    run

    著者は、戦争を賛美する風潮に反発したことや、兵士たちの手記を読むことで、この悲惨な記憶を風化させてはならないと思ったことからこの本を書いたようである。
    実際、悲惨の一言に尽きる。日本軍は近代化に失敗した軍隊で、虫歯や栄養失調で弱った身体にマラリヤなどの病気が蔓延し、戦死と言えないような死に方をした兵士も多かった。また、戦争末期にはまともな装備も与えられず訓練もろくに出来ていない老年や少年たちが招集されている。
    通信機器が遅れていて有線にこだわった為、結局は徒歩の伝令や伝書鳩に頼ることになったとか、日本製の機械や自動車が未熟で、末期にはものすごい重さの荷物を背負って運ぶことになった為、効率が悪かったとか、日本軍あるあるが沢山書かれていて、兵隊はつらいなぁ、と感じた。
    弱いものいじめが横行した為、自殺者や敵軍に走る兵士が出てきたなども、全体を見る人が足りなかったからか、と思った。
    これでもか、と書かれた日本軍の有様を読むと、戦争は絶対にしてはいけないと痛感する。日本人として読む価値はある。
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    投稿日:2020.05.07

  • Ogawa Koichi

    Ogawa Koichi

    もう既に戦争終結から75年。
    当時、戦地に行き体験した人も、段々と年老い、亡くなる方も増えてきた。
    太平洋戦争について、正確に論じることが困難になってきている中で、次の世代に何を残していくのか。
    非常に大事なことなのではないだろうか。
    私の祖父(父の父)は、ラバウルの戦地に行き亡くなっている。
    当然に生まれる前の話だ。父からも祖父の話はほとんど聞いたことがない。
    父すらも祖父と過ごした時間は短く、あまり記憶にないようだ。
    祖父はラバウルで勇敢に戦えたのだろうか?
    しかし本書を読む限り、ほとんどの兵隊が戦う前に、病気や飢餓、精神障害、上官の暴力などで亡くなっている。
    戦って死ねるのは兵隊としては本望かもしれない。
    しかし命が粗末に扱われ、結果死んだのであれば、文字通りの犬死だ。
    これではあまりにも報われない。
    なぜ日本人は、こんなに空気を読んで勝手な行動をせず、規律正しく出来るのに、仲間に対して優しくなれないのだろうか?
    リーダー不在論はよく話として出てくるが、本質的には75年前の戦争も、今も実はあまり変わってない。
    日本人という特性なのだろうか?
    かつて体験したことのない極限状態の中で、状況に応じて常に最適解を見つけ、実行しなければいけない状況。
    ビジネスの世界だって同じだし、今のこの未曾有のコロナウイルス騒動は、極限状態という意味では特に酷似している。
    リーダーの不在も状況が似ているが、そもそも集団の雰囲気としてなぜ犬死が放っておかれるのか?
    周囲の人は、なぜ見て見ぬふりが出来るのか。
    逆らえない雰囲気のせいなのか?
    なぜ諦めてしまうのか?
    リーダーも不在は確かだが、一般人の自立性も相当に乏しいと思うのだ。
    これは、学校教育の問題も大きい。
    アメリカでは子供の頃から自立心を高める教え、その延長上にリーダー教育がある。
    競争の中でリーダーになれなかった人たちはいても、彼らは自分一人でもきちんと判断して行動が出来る要素を持っているのだ。
    しかし日本の教育はそんな風にはなっていない。
    一般の人は「誰かがやってくれるだろう」という風に思っており、「自ら行動しよう」とは決して思わない。
    これは子供の頃からそうなのだ。
    リーダーになりたがる人すら少ないのは嘆かわしい。
    今になって当時の日本軍を称賛する声も出て来ていると聞く。
    太平洋戦争は侵略戦争ではなかった。
    アジア諸国が戦後独立解放に向かえたのも、日本が死ぬ気で戦争してくれたおかげだ。
    日本が侵攻した国々ではインフラ整備や教育改革が進み、それらが独立開放後の国家の礎となった。
    云々の話が再評価されているが、反面本書では現地人への略奪や度胸試しの捕虜殺害なども事実としてあったようだ。
    戦争は人を狂わせる。
    だが、狂っているから許される、ということは決してない。
    大事なのは「なぜ?」の問いだ。
    なぜあんなに悲惨な戦争が起こったのか?
    なぜあんな武力で勝てると思ったのか?
    なぜリーダーは自分のプライドを優先し、前線の兵士を粗末にしたのか?
    なぜ兵站を重要視しなかったのか?
    なぜ特攻隊のようなものが出来たのか?
    なぜあんなにボロボロになるまで戦争を止められなかったのか?
    75年経った今、正確な答えは誰も教えてくれない。
    ただ歴史を学び、当時の資料を読んで考えることで、「自分だったらどうするだろう?」と思考することはできる。
    生き残りたかったら真剣に考えるしかない。
    特にこれからの時代は絶対に必要だ。
    (2020/4/24)
    続きを読む

    投稿日:2020.04.25

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