【感想】ブルボン朝 フランス王朝史3

佐藤賢一 / 講談社現代新書
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
5
6
1
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  • ヨーロッパ歴史上、最も王朝らしい王朝

    ヨーロッパ歴史上、最も王朝らしい王朝、典型的な王朝。小説、映画、TV、漫画 で繰り返し取り上げられているだけに一応わかったつもりにななっていたが、改めてこの作品を読むと色々と気付かされる点があった。何よりも王朝の始祖アンリ4世の偉大さ功績が日本ではあまり知られていないと思った。ルイ14世の華やかさに幻惑されてしまっている。
    語り口は例の佐藤賢一の本領発揮。グイグイ読みすすめることができる。
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    投稿日:2021.08.01

ブクログレビュー

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  • 板橋区民

    板橋区民

    王朝史であるからして王家の視線で語られていて、フランス革命の記述もルイ16世に同情的だ。こういう見方もあるのかと新鮮だった。
    フランス革命後もすんなりと共和制に移行しなかった史実を初めて知った。同時期日本でもペリーやフェートン号がやって来て国を開き、幕末に向かって大きく政治が変わっていった時代である。徳川幕府はフランスから軍事指導を受けたが、当時フランスが近代国家としてできたてホヤホヤの国だったとは知らなかった。幕末期の日本にた対する情勢判断において、フランスはイギリスほど正しく事態を見通せていなかったが、それも納得である。続きを読む

    投稿日:2023.02.20

  • だまし売りNo

    だまし売りNo

    ブルボン朝はフランス王家と言えばブルボン朝というくらい印象が強い。しかし、アンリ4世、ルイ13世、ルイ14世、ルイ15世、ルイ16世でフランス革命になっている。国王の数は少ない。ここにはルイ14世が72年というフランス史上最長の在位期間という事情がある。ルイ15世も治世が長かった。息子よりも長生きしており、孫がルイ16世になった。

    世界史ではアンリ4世のナントの勅令でフランスの宗教問題が解決した印象があったが、その後のルイ13世の時代も新教徒と旧教徒の対立は続いた。貴族の決闘を禁止し、城塞を破却した。この点は近世日本の喧嘩両成敗や一国一城令と重なる。

    フランス王国のルイ14世が絶対王政を確立できた要因として貴族が宮廷文化に骨抜きにされたことがある。
    「王家の側からみれば、反乱を起こしかねない危険分子が、自ら人質になりにきたようなものだ。しかも好んで散財する。蓄財され、武器を買われ、人を雇われれば恐ろしいものを、着たくもない服を着て、したくもない化粧をして、味わいたくもない美食を繰り返し、つい最近まで年に一度くらいだった贅沢を日常にしながら、多額の借金まで拵える始末なのだ」(佐藤賢一『ブルボン朝 フランス王朝史3』講談社現代新書、2019年)。
    これは現代の消費者にも勉強になる。自分が消費したいものを消費することが賢い消費者である。
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    投稿日:2022.01.27

  • なー

    なー

    事実は小説より奇なり、とよく言うが。所々、事実の羅列が怒濤のように続く箇所もあったけど、途中、事実関係や人物の繋がりを整理したい所や(なにせ同じ名前のヒトだらけ!)、少し立ち止まって考えたい所や派生事項をググって確認したい所やあったんだけど。とにかく続きが気になって気になって、先に先にと読み進めてしまった。ミステリじゃなくてこういうの、あまり経験ないかも…。

    特に面白かったのは、ルイ14世の第3章。鉄道も蒸気機関もない、地理的中央集権化の困難だった時代に、ナショナリズムを高揚させることが意識の中央集権化に繋がる…と本当にルイ14世が考えたかどうかは疑問だけど、結果として花開いたヴェルサイユ文化。江戸時代の参勤交代から犬公方への流れと、アプローチは違うけれども結果的には同じように機能してる…ってのは面白い切り口。時代も同じ17世紀ってのは、出来過ぎな感があるが。
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    投稿日:2021.08.12

  • smatoga

    smatoga

    フランスがフランスになる素を作り出した王朝ということがわかった。ソフトパワーをもって国をまとめる、首都に諸侯を呼び寄せ、金を使わせてキバを抜くという手法、江戸幕府にも通じるところがあって興味深い。
    前、リベラル派はリベラルを進めることでリベラルの担い手を減らしてしまうことを否定しない(子どもを産まない選択肢を肯定する側面があるため)という記事を読んだことがあって、ブルボン朝もまた啓蒙主義を保護することで、最終的に啓蒙主義に飲まれてしまったということか。
    カペー朝、ヴァロア朝と読んできて今イメージするフランス貴族、王家なるものがやっとブルボン朝で作り出されたのだなということに改めて驚いた。意外と歴史が浅いように思う。

    しかし、どの時代も戦争に次ぐ戦争なのだなと実感した。
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    投稿日:2021.04.03

  • さぬきうどん人

    さぬきうどん人

    作家、佐藤賢一によるフランス王朝史。歴史学者ではない小説家ならではの表現が連発の「楽しんで読むフランス史」といった感じ。どこまで史実なのか混乱するが、新書といえど小説家が書いているのだから、全て事実のはずがないと知ったうえで読むべきだ。

    アンリ4世から始まったフランス王家ブルボン朝はおなじみのルイ一族が登場。太陽王ルイ14世で全盛期を迎える。一族はフランス革命、ナポレオン皇帝誕生を経て滅亡したかと思いきや、意外にも亡命先でしぶとく生き残り、復活のチャンスを待つ。ナポレオン失脚後、奇跡的にルイ18世は王として復活し、彼を含めた3人の王を経て、フランスは共和制へ移行。ブルボン朝はフランス最後の王朝となった。

    本書に登場するブルボン王はギロチンで処刑されるルイ16世までで5名。5名とも長寿を保ち、それなりの在任期間があり、それぞれの個性が発揮されているので、列伝として読み応え十分。しかし、王自身に政治力や決断力があるとは思えず、フランスを動かしていたのは、主に王の取り巻きたち。存在するが統治せず。その意味では、フランス王朝は日本の天皇家によく似ている。
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    投稿日:2020.03.16

  • BlackCatJiji

    BlackCatJiji

    歴史の単語としては知っていた「サンバルテミーの大虐殺」「ナントの勅令」の事情がわかり、面白かった。この時代、「絶対王政」って言葉からでるイメージから、さぞかし強力な支配体制とおもいきや、逆で、イメージで「フランス」という意識を演出していたとの説に、「そうだったのか!」と驚いた。臣下に丸投げする王様。戦争ばかりしていて、かつアメリカ独立を支援したばかりに借金が重なり、数々の増税。革命が起きたのも、もっと増税するには、民の承認が必要となり、全国三部会が開かれて、結果、第三身分の政治意識の高まりに打倒されてしまった。不思議な綾を感じた。続きを読む

    投稿日:2020.03.07

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