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京極夏彦 / 講談社 (18件のレビュー)
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総合評価:
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ますたぁ
自らを「ヒトでなし」と自称する投げやりに見える男と関わって救われた(と思っている)人たちのお話 以下、公式のあらすじ -------------------------- 「死にたいん──です」「な…ら死ねよ」。娘を亡くし、妻だった人に去られ、十五年勤めた会社を解雇された。全てを失い彷徨していた尾田慎吾は、雨の夜、自殺を図る見知らぬ女にそう告げた。同日、旧友荻野と再会する。彼は、情、欲望、執着を持たぬ慎吾を見込んで、宗教を仕事にしないかと持ちかける。謎めいた荒れ寺に集いし破綻者たち。仏も神も人間ではない。超・宗教エンタテインメント。 -------------------------- 800ページ近くある厚さで、最初に出会った女性が再び現れて物語が動き出すまで200ページ 物語の進まなさがやはり京極だよなーw 同じ内容の表現を少しずつ変えて繰り返されるのもそう 尾田慎吾が自らをヒトでなしと自覚したのは、元妻にそう罵られたから だとすると、それまでは普通に暮らしていたのか? まぁ、普通に会社勤めしてたし、上の娘共々家族に支障をきたすことなく生活してたのであればそうなのかもしれない 同じく京極夏彦の「死ねばいいのに」に近しいものを感じる あっちも聞き手はあくまで変わることなく同じスタンスで、話す方が勝手に変貌していく物語だからね まぁ、その変わり方がこっちとは方向が違うわけで 「人でなし」という言葉は、通常であればネガティブな意味でで使われる でも、人を救うという観点で言えば、神も仏も「ヒト」ではない 「人を救えるのは人ではないものだけだ」 「仏様だって神様だって人じゃねぇだろうが。人でなしだよ。大体な。ヒトの言葉なんかじゃ人は救われた気にならねぇよ」 「人が人を救うなんて、とんだ傲りだ。救ってくれるのは人じゃあない。だから神だの仏だのが要るのじゃないか。仏に救われようと思ったら仏の道をてめえで歩くしかねえのさ」 人間らしさを捨てたヒトでなしが、本人の意図しないところで人々を救っていく というか、救われたと人々が思っていくという表現の方が近いか 遺産問題で人を信じられなくなって自殺しようとした女、お金を増やすことに囚われ挙げ句に借金で首が回らなくなった旧友、キレて兄貴分を刺殺してしまったチンピラの若者、リストカットを繰り返す少女、人殺しの欲求から逃れられない坊主、そして…… 彼ら彼女らが、何故救われたと思ったのかがよくわからない 読んでいるときな納得しながら読み進めていたはずなのに、読み終わってしまえば薄らぼんやりとした「あたりまえ」の常識がゆらぐ 尾田は冷淡であるし、言っている内容の倫理的な是非はともかく、一定の筋が通っている それを繰り返す事で、悩める者たちの常識をぶっ壊すダイアローグとなっているのはわかる 死にたいやつは死ねばいいし、人を殺したやつはどうあっても人殺しで違いはない そこに人としての倫理があるかどうかの違いか? 俗世間の柵を切り捨て、あらゆるものに執着しないのが悟りであるのならば 尾田は悟っているのでしょうね 離婚をきっかけとした投げやりな態度がそこに至った道筋であるならば、頓悟であって漸悟ではない 生老病死愛別離苦 というし 愛という執着を捨てた(?)失ったからこその悟りなのかね? そもそもの名前からして、「慎吾」というのは真の悟りを意識したネーミングなのか? 途中まではともかく、愛娘を殺した犯人かもしれない相手にもそれまでと同じ態度を貫けるのは普通ではないわなぁ…… 色々とありつつも、読み終わってしまえばいつもの京極 何も残らない 続編というか、新選組の土方を主人公とした続編「ヒトごろし」があるようなので、そのうち読むかな続きを読む
投稿日:2023.09.26
ring-3
このレビューはネタバレを含みます
途中まではすこしテンポが遅いな…と感じてしまった部分もあるが、最後の日野・鍋谷・かくゆうの乱闘(?)シーンにおける一連の問答と、最後の「俺」の出した答えはザ・京極夏彦!というようなカタルシスを感じた。 読み終えてみると、この小説はエンタメやミステリという土俵とはそもそも違って、元人間の尾田という主人公を通じて日頃作者が感じている人の道のくだらなさとか滑稽さとか頭の悪さとかそれもひっくるめた愛おしさとかをこれでもか!と書き殴っているような感じがした。それがむしろこの小説の面白さだと思う。 この、手加減なしの、人の「俺は俺は理論」をスパスパ切りまくる様は、言うなればアントニオ猪木の強烈なビンタのような…。 そしてその書き殴りをここまでグイグイ読ませてしまうのも、まさに圧巻の筆力のなせる技
投稿日:2023.07.19
小生
「読書体験」って、意外とできることが稀なのかなと思います。特に読書好きの方は慣れてしまうところもあり「面白かった」などの読書感想で終わることが往々にしてあるかと思います。(それを否定するつもりはありま…せん。自分も楽しんでいます) 京極夏彦さんの「ヒトでなし 金剛界の章」はかなり読書経験を積んだ自分でも、まさに「読書体験」をさせてもらった、凄い本でした。 ここまでくると筆力ではなく魔力です。 「悟り」の意味を説明できる人は少ないと思います。言語化が難しいからこそ会得も難しいのかも知れません。 仏教や悟りに興味がない人でも、物語を読み終わると自然に「悟りってそういうことか!」と悟りの概念そのものが体に染み込んできます。(悟りの境地に至る訳ではありません) 仏教や悟りについての講釈はなく、稀代のストーリーテラーが紡ぐ物語を読むだけですので、お勉強は面倒だな、という人でも問題なく楽しめます。 自分はそういう本だとは知らず、単に京極夏彦さんがすきなので新刊を手に取ったという出会いだったので、読み終わった時は凄い衝撃でした。一気に世界が開けたような気分を味わえました。 是非この「読書体験」を共有したく、おすすめします。 〜〜〜本の紹介〜〜〜 「死にたいん──です」「なら死ねよ」。娘を亡くし、妻だった人に去られ、十五年勤めた会社を解雇された。全てを失い彷徨していた尾田慎吾は、雨の夜、自殺を図る見知らぬ女にそう告げた。同日、旧友荻野と再会する。彼は、情、欲望、執着を持たぬ慎吾を見込んで、宗教を仕事にしないかと持ちかける。謎めいた荒れ寺に集いし破綻者たち。仏も神も人間ではない。超・宗教エンタテインメント 私の本棚を紹介します。#ブクログ https://booklog.jp/users/Gekokujyou続きを読む
投稿日:2023.05.20
あるちゃん
「死にたいなら死ねよ」 「殺したいなら殺せよ」 と悪辣な言葉を放つこの男、人でなしである。 いやー、期待を裏切らない面白さ!さすが京極夏彦。 尾田慎吾は幼い娘を事故で亡くしてしまい妻とも離婚、職…も追われ、財産も失い、何もかもなくしてしまう。妻には「人でなし」と言われ、自分が人でなしと気づいてしまう。もう人生詰んでるようにしか見えないのだがここからの超展開ときたら...。 なんとこの男、人を救っていくのである。遺産問題で人を信用できなくなった女、多額の借金を抱え回らなくなった旧友、キレるに任せて恩人を刺殺したチンピラ、生きるのが辛くてリストカットを繰り返す少女...。なぜか尾田の周りには救いを求める人が集まってくるのだ。言っておくが上記のように尾田はそれぞれにただただ悪辣な言葉をぶちまけるだけなのだが何故かみんな救われた気持ちになるのだ。 人ならば人を救うことはできず、人ならば仏道を歩むことはできず...しかし人ではない人でなしなら...?と人でなしロジックがどんどん展開されていく。これが超面白い。人でなしって悪いイメージしかないのに、尾田は誰も救う気もなく、誰にも興味を持ってないのに...。救われる方は勝手に救われる。人でなしロジックは人でなしマジックになっていく。 京極さんの操る言葉は魔術だ...。続きを読む
投稿日:2022.04.30
kaminaritarou
この作者にありがちだが 最初は読みにくい。 話が進むと引き込まれどんどん進む。 理屈っぽいが、面白い。
投稿日:2021.11.27
如月 はるか
仏様までヒトデナシとは恐れ入りました。 しかし、ここまで突き抜けたくはないな。 続きがあるようなので、そちらも楽しみに読みます。
投稿日:2021.06.29
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