【感想】ある明治人の記録 改版 会津人柴五郎の遺書

石光真人 / 中公新書
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 4.6
8
6
0
0
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • kowaretai

    kowaretai

    幕末のことはほとんど知らないし、そこまで興味もない。なんのきっかけでこの本を知ったのかも忘れた。ただ、壮絶な環境を生き抜いた人の記録という点に興味を持った。

    自分自身いろいろ辛いことがあるが、他の人に比べれば、自分はまだまだ甘いのだろうと思っていた。実際読んで、さぞ大変だったろうと想像する。そんな言葉さえぬるいかもしれないが。家族が自害する、飢えと寒さに耐え犬肉さえ食べる、武士の子でありながら様々な人に下僕同然に仕える。その屈辱感は、計り知れない。それでも懸命に生き抜く。いつかは春が来る、生きて薩長に一矢報いると言い聞かせて。

    これだけの強さが自分にあるかどうか自信はない。振り返れば、自分には必死さがないのかもしれない。今日食べるものに困るとか、寒さを凌ぐことに苦労するとか、そういう差し迫った危機に直面していない。だから弱い、甘い。苦労が足りない。と同時に恵まれてもいる。今あるものに感謝し、苦労をいとわず生きることが大切だと感じた。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.10

  • katoetu

    katoetu

    明治前後の過酷な環境のもと、10歳にも満たない少年が様々に感じた絶望や理不尽や苦労、その中でも生き抜け!との父母の思いに挫けず生きた柴五郎さんの声が聞こえる本。

    投稿日:2024.01.12

  • はま

    はま

    この本を読みながら、次の二つのことを思い出した。1つは、国による暴力装置の独占。もう1つは、教育は社会移動の装置ということ。

    国による暴力装置の独占は、近代国家のあり方の基本だか、明治維新の時代は、暴力階層が過剰だったのではないかということである。武士階級は、江戸時代には、朱子学によって、何とか抑えられていたが、そこから解放されてしまい、暴力過多の状態が生まれ、それが、この本で語られる会津撲滅、西南戦争にも繋がったのかもしれないということ(意図したかどうかは別にして)。

    どん底に追いやられた柴五郎少年は、開設されたばかりの陸軍幼年学校に入り、そこから、立身出世を遂げる。まさに、恵まれない階層の、しかも、賊軍出身の少年が、教育を獲得することで、社会移動を実現する。明治日本には、このような社会移動装置としての教育が機能していたということ。ただ、この機能があまりにも上手く機能したことで、社会階層を固定化する装置になってしまったのが、今の状況なのかなということを感じた。

     
    続きを読む

    投稿日:2022.06.09

  • riodejaneiro

    riodejaneiro

    このレビューはネタバレを含みます

    義和団の乱で指揮を取り、この人ありと言われたと言われた柴五郎氏に興味を持って購入。

    文体が少々古いので文章にのめり込みづらいが、柴五郎氏が壮絶な人生を歩んできたことがわかる。そして清廉で高潔な人物だったんだなということがよくわかる。中国に関してはそれほど記載はないが、公平公正であり続けたのか、乱最中でも中国人から色々とサポートを受け、その人々の名前を墓場まで持ってくみたいな行があって、そういうところがまた信頼を生んだのかなと思った。明治時代の人々はこんな人々がたくさんいたのだろうか。。台湾を統治した日本人達のいわゆる日本精神を見た気がした。

    著者の想いは、会津側からみた日本の明治維新の記録といったところでしょうか。これはこれで正史とは別の流れで敗者となってしまった会津藩がどういう境遇であったか、必ずしも薩長土肥が言ってきたことが真実を語っているわけではないぞということを主張している。

    最後に柴五郎氏が幼い頃に土佐で暮らしたが、言葉が分からなくて馬鹿にされたり、なんとか入り込んだ士官学校では、フランス人の先生がひたすらフランス語でフランスの地理やら歴史やらを教え込んでいたというあたりが興味深い。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.05.28

  • Akira Naito

    Akira Naito

    僕にとって格別な一冊になりました。

    常日頃、

    大切なことは得手して伝わらない、
    と痛感していますが、

    これほどの偉人と、それが形成された背景(歴史)を知らないことは日本人にとって、

    元来の日本持ちうる理想を逸しているようで、

    今回、柴五郎翁を知れた喜びと同時に、少し残念な気持ちする抱きました。

    兎にも角にも、僕の憧れの人に出会えた気持ち。
    続きを読む

    投稿日:2022.01.26

  • トシノリ

    トシノリ

    メチャクチャ面白かったし、現代の自分の生活の幸福を感じる事ができた。そして祖先に誇りを持つ事ができた。とても感動した。全ての日本人に読んでほしい。

    投稿日:2022.01.06

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。