【感想】ハンニバル戦争

佐藤賢一 / 中公文庫
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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1
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  • 壮絶!カルタゴとローマとの熱き戦い!

    世界史を学ばなかった私にとっては名前しか知らない人物。ハンニバル・レクターの方を先に知ったぐらい(笑)。天才的軍略を発揮するカルタゴの将軍ハンニバル。それに対抗するローマの若き司令官スキピオ。相手の虚を突き、裏をかき、布陣を駆使して知略軍略の限りを尽くした戦いはまさに名勝負。終始スキピオ視点で語られるため、ハンニバルの人物像や思考もすべてスキピオの憶測に過ぎず、結局ハンニバルの実像はよく分からないままだが、かえってそれが不気味さと恐怖心を増幅させる絶妙な効果をもたらしている。続きを読む

    投稿日:2019.04.17

ブクログレビュー

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  • makabe38

    makabe38

    ヨーロッパの歴史を題材にした小説を発表している、佐藤賢一。

    長いこと、この作家さんの作品から遠ざかっていたのですが、その間に、魅力的な作品の数々を発表していることを知りました。

    「久しぶりに、佐藤賢一の作品世界に触れてみよう」と思い立ち、文庫化されている作品の中から、特に時代が古いと思われるこの作品を、読んでみることにしました。

    時は紀元前219年。
    名門貴族の家に生まれたスキピオが17歳のシーンから、物語が始まります。

    スキピオは同名で共和政ローマの最高職、執政官である父親から、出征を命じられます。
    戦争の相手は、地中海を挟んでローマと対峙する、カルタゴ。

    20年以上続いた戦争(第一次ポエニ戦争)で、ローマが勝利した相手ですが、19年の時を経て再び、大国となったローマに挑んできます。

    そのカルタゴを率いるのが、ハンニバル。

    戦地に赴いたスキピオは、ローマ軍が容易に勝てる相手と考えていたカルタゴ軍に、圧倒されてしまいます。

    どこを目指して行軍しているのかも、どのような戦術でローマ軍と戦うのかもわからない、カルタゴ軍。
    ハンニバル率いるカルタゴ軍の不気味さと、若きスキピオの苦戦が、描かれていきます。

    自らを「凡夫」と定義するスキピオが、「天才」ハンニバルにどのように、立ち向かっていくのか。
    その展開を読むのが、本書の楽しみ方だと思います。

    ポエニ戦争については、ずいぶん前に読んだ『ローマ人の物語』で、おおよその流れを知っていました。
    その記憶を辿りながら読んだのですが、スキピオという個人の視点で描かれていることもあり、ポエニ戦争での戦闘の過酷さ、ハンニバルという武将の怖さを、いっしょに体験するような感覚を、味わわせてもらいました。

    作品の舞台は、紀元前のヨーロッパとアフリカ。
    登場人物たちの名前も、多くの日本人読者には馴染みのないものが多いと思います。
    そんな「遠い世界」の話ですが、スキピオをはじめとする登場人物に個性を持たせ、現代日本人が話しているような言葉で会話が進むので、理解に困ることなくすんなり、読み通すことができました。

    久しぶりに読んだ佐藤賢一作品は、やっぱり面白く、読み応えがありました。
    他にも未読の作品があるので、文庫化されているものを探して、読んでいきたいと思います。
     .
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    投稿日:2024.03.11

  • 天須次郎

    天須次郎

    読んだ本 ハンニバル戦争 佐藤賢一 20230802

     2020年に長期勤続の休暇と旅行券がもらえるってことで、パリに行こうと計画してました。気分を盛り上げるために、佐藤健一著の「フランス革命」を読み継いでたんですが、コロナでそれどころじゃない上に、「フランス革命」があんまり凄惨で。次々と登場人物がギロチンにかかっていく。読み終わる頃には、ちょっと気持ち悪くなってきて、パリに行きたくなくなってました。歴史というものに向き合うって意味では本当に面白かったんですけど。それ以来、いくつか佐藤健一の本を読んでたんですが、ナポレオンが発刊されてて、文庫化を楽しみにしてたんですが、やっと出たと思ったらめちゃくちゃ分厚いのが3冊。気軽に読み始めれない。もっと分けてよと思いつつ、あれ、「ハンニバル戦争」だと思って、買ってみました。なんか、フランス=佐藤健一、イタリア=塩野七生みたいな住み分けを個人的に持ってたんですが。
     内容としては、結局スキピオの話なんですが、ローマ最大の危機と言われるハンニバルの来襲に対して、史実を交えてスキピオがいかにハンニバル=カルタゴを破ったかを描いてるんですが、史実を追うだけでなく、スキピオの成長していくさまが丁寧に描かれています。前半結構長々と、ハンニバルに蹂躙されるスキピオが書き込まれ、そこからある戦術の完成形をスキピオが追い求めるっていう結構わかりやすさもあって、おもしろかったです。スキピオの悲しい晩年が少ししか描かれてなかったのが、ちょっと残念でしたが。スキピオ像がなんとなく固まった気がします。
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    投稿日:2023.08.02

  • minaemyu

    minaemyu

    久々に時間を忘れて1日で読了。
    凡夫だからこそ学べる、謙虚に勉強するしかないのだ。潔く余人の模倣に励めるからだ。ならば凡夫に徹しよう。偉大なる凡夫になろう。なるたけ多くを学びこの身いっぱいに先人たちの知恵を蓄えるのである。
    指揮官が優れた作戦を考えれば兵士は楽ができる。
    与えられた屈辱に耐えながら我らカルタゴ人は再び剣をとるまで19年もの間、苦しまなければならなかった。だから同じだけの苦しみを味合わせる。
    結局のところこの世では凡夫が勝つ。選ばれた人間のひらめきとは無縁ながら、生きる力、あるいは生きようとする意志の力、その浅ましいばかりの意欲に溢れているから。凡夫として勝に執着し、最後まであきらめなかったこと。凡夫たちのよ。
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    投稿日:2023.02.03

  • bookstockyt

    bookstockyt

    ずっと前から読もうと思いながらも積んだままになっていた本。
    『(第二次)ポエニ戦争』とせずに『ハンニバル戦争』としているところがポイント。ローマがカルタゴを抑え込んだ凄さではなく、ローマを長く苦しめたハンニバルの脅威を強調して描いている。ホントにもうしつこいくらいに。
    物語の視点はスキピオの方。ハンニバルとの直接対決が最後の方で、しかも序盤は敗けが続くのでなかなか盛り上がらない。その辺りは仕方のない部分ではあるけれど。
    ともあれ歴史物は面白い。他のも読みます。
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    投稿日:2021.05.23

  • すう

    すう

    500頁超の大作であるが、1章ずつが寝床で読むにはちょうどいい分量で、毎晩楽しみに読んだ。
    カルタゴのハンニバルが、どれほど大きな脅威をローマ帝国に与えていたかということも、よくわかった。

    投稿日:2019.07.23

  • nyan0620

    nyan0620

    戦記物には、人を惹きつけるものがある。
    人が殺される残虐さはわかっていても、三国志やSFだと銀英伝とかに心躍らされる。
    特に非凡な才を感じさせる軍略の話は、やっぱり楽しい。

    ハンニバルと聞くと、あの大国ローマを脅かした天才的な将軍というイメージが浮かぶ。

    冒頭は、まだ若いスキピオの目からハンニバルが語られる。
    切れ者ってわけではないけど、育ちのよさからくる彼の素直さのおかげで、物語がとても近いものに感じられる。

    巻末の解説によると、あの項羽と劉邦と近い時代なのだとか。
    項羽と劉邦は、王同士の対決だけど、ハンニバルとスキピオは将同士の対決。その後の運命を考えると、項羽や劉邦よりも韓信に近いのか。

    和平交渉という形で二人が語り合うシーン、その後の最後の戦、そして、彼らの晩年、同じ年に世を去ったこと・・・やはり、そこが心に残る。
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    投稿日:2019.05.25

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