【感想】沼の王の娘

カレン・ディオンヌ, 林啓恵 / ハーパーBOOKS
(16件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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ブクログレビュー

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  • まるまるまるこ

    まるまるまるこ

    拉致監禁犯の男とその被害者の間にできた子供の話。男から逃げ、大人になり、結婚し子供ができた後、父が脱獄してきた。
    ヘレナと父との心理戦。ヘレナが父を追い詰める様子、沼での暮らしが交互に描かれ、緊迫した状況を作り出す。沼での子供時代を通して、ヘレナがどうして今のヘレナになったかが、わかる。
    父の行動を読む娘、娘の行動を読む父、追い詰めるところ、追い詰められるところはかなり白熱していて、ハラハラしっぱなしだった。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.21

  • ありんこゆういち

    ありんこゆういち

    ジャングルの中で異能親子がバトルを繰り広げるのかと思いましたが、沈み込むような心象風景を主に描いているので、思いのほか地味でしたが、その分読み応えありました。
    母を誘拐して自分を産ませた父への愛憎と、沼地への憧憬と親しみ、家族への愛。普通とは何ぞや。続きを読む

    投稿日:2023.09.28

  • ぱー

    ぱー

    独特の一冊だった。あまり没入できなかったが
    個人的には、父親を主人公にした話を読んでみたかった。もっと深く知りたいと思ってしまった。
    読み終わった後も、特に何か残ったとかもなかった。

    投稿日:2023.08.11

  • sakura-garden

    sakura-garden

    このレビューはネタバレを含みます

    被害者のその後を描いた作品(ルームとか、棺の女とか)が好きで結構読んでるのですが、少し毛色が違って、被害者の娘さんのお話。ややオオカミに育てられた子ども系の要素あり。

    ヘレンがリアリティがあって、本当に存在するこんな背景を持つ人かと思うほど。両親に対する冷静な評価と、拭いきれないこもごもが丁寧に描かれていて、キリキリしながら読みました。
    父親が母親を(逆も同じだけど)軽んじている家庭で子どもが育つことの怖さがさらっと描かれていてゾワっとしました。それでも幼いヘレンが良いと思うことをしようとする逃走の場面がとても良い。クライマックスよりも心に残る。

    それにしてもこれは、もはや犬小説。。自然とかあまり関心ない私ですが動物は好きです。犬は好きです。犬小説としても読めます。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.08.01

  • kemukemu

    kemukemu

    挿入話のアンデルセン童話「沼の王の娘」は、アンデルセンらしく一癖も二癖も読みようによって変わる、およそ“童話”らしくない物語。
    その物語を副旋律として作家は現代の問題点を「束縛という最強の暴力の中から生まれた娘」の話を創作した。
    ネイティブアメリカンのような生活を描き、あたかもアイデンティティの相違を理由としているように見えても、実は一人の男のエゴから生まれた悲劇であることを描き忘れてはいない。
    生まれた娘は、与えられた環境の中でしか判断できないことから当然に善悪の理解は世間と相違する。前半の「ふりかえり」は、そういった意味からとても重要な悲劇の描写。

    物語の後半に入り、大切な家族を持ったことで新たな感情が生まれ、父に対して毅然として対峙するさまが、前半とのギャップを生み出して、読者に深い感情を覚えさせる。

    自らの出生の境遇に対し、周囲の目と自らの感情を消化し、社会で自立していくことがいかに難しい事か。
    人が人を束縛するという現代社会の問題が加わったことで、「ジャングルブック」など異質の世界で育った子供の社会への順応を描いた物語などとは、一線を隔すことになった。

    これは、すぐれたテーマを持った作品だと、私は思う。
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    投稿日:2022.06.17

  • solala06

    solala06

    内容のハードさとは裏腹に淡々と展開され、感情の動きも厳かで
    命がけのサバイバルゲーム…とはかけ離れた空気感なのが不思議
    恐らくそれほどに、”普通”からかけ離れてしまった父娘のやり取りだからなのだろうな
    父と”娘”ってのも珍しいよね
    続きを読む

    投稿日:2021.02.11

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