ニムロッド

上田岳弘 / 講談社
(58件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
7
15
20
5
2
  • これが今を生きる若者達の感覚なのかな?

     内容は全く違うのですが、「限りなく透明に近いブルー」を芥川賞受賞時に読んだときのような感覚に陥りました。話は全く違うのですけどね。
     すごくドライで、さめた感覚で、ストーリーが展開していきます。私自身も、大型コンピュータを使用したシステム管理部門に3年程いたことがあります。私の仕事自体は端末を操作して管理するモノでしたが、大元のコンピュータールームを見に行ったときは、不思議な感覚に陥ったものです。この小説の冒頭のとおり、「虫の音のように高く低く響く。」という表現は、まさにそのとおり。しかも室温は、いかなる時も一定に保たれ、チリ一つ落ちていないような無機質な部屋。これが究極の科学の行き着く先ならば、好きにはなれないなと思ったものです。
     物語では、バベルの塔、そして残念な生き物ならぬ、残念な飛行機が比喩的に示されていきます。これらを踏み台にして我々はどこへ向かっているのでしょうか?それでいて、ガールフレンド?いや、セックスフレンドとの関係は、あまりにドライです。女性の方は、ドライであるように見えてそうでもなかったみたいですけど、これは、ただの都合の良い関係ですね。
     そんな物語が、あまりに巧緻な文章表現で綴られていきます。文藝春秋の芥川賞選評もそこを評価したようですけど、正直、決して読後感がよい話ではありませんでした。
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    投稿日:2019.03.01

  • 第160回芥川賞受賞作

    序盤は面白いと感じたんだけど、惹き込まれるようなことはなかったな。
    自然と涙が流れることとか、細部にも良い点はあったけど。
    良い悪いではなく、少し村上春樹っぽいと感じた。

    投稿日:2019.04.11

ブクログレビュー

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  • 第160回芥川賞受賞作。

    それでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。
    あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。
    新時代の仮想通貨小説。

    +++
    仮想通貨をネット空間で「採掘」する僕・中本哲史。
    中絶と離婚のトラウマを抱えた外資系証券会社勤務の恋人・田久保紀子。
    小説家への夢に挫折した同僚・ニムロッドこと荷室仁。……
    やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。「すべては取り換え可能であった」という答えを残して。 ……
    +++

    仮想通貨、サーバー管理、過労鬱、などなど。現代社会の象徴のような要素が満載である。文字や数字で見ることはできるが、実際に手にすることはできないバーチャル世界の出来事は、のめり込めばのめり込むほど、現実感から遠ざかっていくような気がする。生まれては消えていき、その繰り返しがあちこちで起こる。真の意味での達成感は得られるのだろうか、と不安になる。そんな世界での人間の営みは、ほとんど進化していないようにも思われる。読めば読むほど、実態から遠ざかり、やり切れない倦怠感のようなものに包まれる印象である。わたしが古い人間だからなのだろうか。常に地表から5㎜くらい浮いて歩いているような心地の一冊だった。
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    投稿日:2019.04.05

  • 神話と現在の技術と、今のヒト。
    神話の時代から人間だけは変わってないのけど、技術がいきつくとこまでいけば人間も変わってしまうのかな?
    無から無を生み出す寂寥感よ。
    ビットコイン、いまいちわからなかったのだが勉強になりました。
    しかしそのようなものが価値を持つというのが本当に疑問。一回やってみればいいんだろうか。
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    投稿日:2019.04.02

  • このレビューはネタバレを含みます

    サーバーの管理や貸し出しをする会社に勤め、電子通貨の発掘を社長に命じられた中本。
    出産前の遺伝子検査で染色体異常が見つかり中絶、そして離婚の過去を持つ田久保紀子。
    以前は中本と同じ東京で働きながら小説家を目指し、今は名古屋に勤務する荷室(ニムロッド)。
    彼ら三人の物語。

    --------------------------------------

    田久保紀子と中本は結婚しないけど、時間を共有しつつ依存しない”大人のパートナー”なお付き合いをしていて、なんだかとてもアダルトだった。
    一方、小説家への夢を諦めたといいつつ、自身をサリンジャーに置き換えて誰が読むためでもない小説を書くニムロッドは、まだ自分を諦めきれない夢追い人、という印象で年は田久保紀子と中本より年上だけど、彼らより若いような感覚だった。

    「駄目な飛行機コレクション」を中本に送り続けたニムロッド。彼は、最大の富を得てとんでもなく高い塔を作り上げた人間の王の小説を書き続ける。すべてを手に入れたはずなのに虚しさからか太陽に向かって自殺的な飛行をする小説の主人公、ニムロッド。現実の彼は自身の願望と虚しさを同時に小説に投影していたように思える。

    中本よりも彼の彼女である田久保紀子がニムロッドの精神状態にマッチした、ということだと思う。まるで凸と凹みたいにぴったりと。
    田久保紀子とニムロッドはお互い通じ合い、心中でもしたのかもしれないし、傷を慰め合いながらどこかで生きていくのかもしれない。わからない。彼ら二人はもう中本の手に届かない。駄目な飛行機に乗って行ってしまった、ということだけが確かにわかる。

    --------------------------------------

    文体のリズムが抜群によくてスラスラ読めた。頭のいいひとが自分の頭の良さをわかった上で書いた小説、という感じ。
    自分の友達を別の友達に紹介して友達同士が仲良くなった結果、自分は彼らと疎遠になった、というのは何度か経験している。あれはなんという現象なんだろう。この小説の場合は恋人と友人だから、いわゆる”寝取られ”というふうに区分できるかな。でもニムロッドと田久保紀子は性とかそういう部分ではなく、精神的なコードが一致して共鳴したような感じだったから違うな。難しい。
    ビットコインの採掘と塔の建築、胎児の染色体異常とサーバーのシステムエラーなんかを比喩として使っていたような気もするし、違うような気もする。小説って難しい。
    ニムロッド、という言葉の語感が最高に良い。これは自信を持って言える。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.03.31

  • 仮想通貨をテーマにした小説ということで購入。
    仮想通貨はメインテーマではない印象でした。淡々と物語が始まり、わかりやすい文章ではなかったため、あまり深く文章を読み取ることができませんでした。ただ、今の時代にしか書けない物語であり、現代人における人間関係を仮想通貨というよりはネットを通じて垣間見たような印象でした。ネット用語がちらほら出てきて、つまづくところもありましたが、直木賞として新しい分野が生まれたなと思いました。続きを読む

    投稿日:2019.03.28

  • 仮想通貨というものの本を読んだりしても、自分で全く関わっていないのでどんなものなのか実感として分かりません。これが世の中に取り残されていくという状況なのでしょうか。まあ今まで生きてきて時流に乗れたことなんて一度も無かったけれども。

    無から生み出した価値がいつしか価値を産みはじめて、それを取り巻く人々が踊りまくっている。主人公は任務でビットコインの発掘に勤しみ、彼女は金融で幅を利かせるも虚業で生きていく事に倦んでしまっている。
    誰が誰でも構わない世界、人と人とを置き換えることが可能な世界に生きる事。何かを生み出す事よりも、世界中が共通の価値観を追う事によって発生した、架空の価値の中で生きる事。そんな世界で生きつつも、やはり人は何かを産みだしている人に惹かれるという事でしょうか。最後はそう感じました。
    続きを読む

    投稿日:2019.03.26

  • 仮想通貨というか、社長も田久保紀子もニムロッドも、まして僕satoshiでさえ仮想現実の存在に思える。小説なんだからそれも間違えじゃあないか。新時代小説と謳われると自分の居場所を失いそうだ。ドバイに行き、ブルジュ・ハリファの実像が観たい。続きを読む

    投稿日:2019.03.26

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