【感想】アメリカ

橋爪大三郎, 大澤真幸 / 河出新書
(13件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Shu.M

    Shu.M

    「アメリカ」は宗教的な哲学的な解釈が難点である。あのような解釈が一般化しているとは思わないが、他の著者ではできないようなアプローチだ。その考え方は正しいのだろうかとケチをつけたくなるが、しかも結果も出している。そしてまたそれは日本論にまで波及している。考え方の流れを理解するには好著であった。どこまでが正しいかどうか、しかし悩める日本人の置かれている精神的土壌を理解する一助以上になる。続きを読む

    投稿日:2020.05.10

  • kojirok1222

    kojirok1222

    米国の文化的風土をキリスト教や哲学?の切り口から掘り下げようとする議論は興味深かったが、3章の日本との関わりというか日本からみた米国との関わり方の議論が白井聡の「永続敗戦論」そのものであることに驚く。(文中でも同書が参照されている)

    本邦が米国に盲目的に、かつ米国や欧州からみて異常なほど服従している(のに自覚していない)とする立場から書かれた米国論にどこまで説得力があるのか。

    結局、全共闘世代は半世紀前の呪縛から逃れられないということか。
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    投稿日:2019.08.09

  • shyamazaki69

    shyamazaki69

    いや、このお2人の対談だけあって、その辺の底の浅いアメリカ論と違い深い。しかし、私のレベルでは消化不良…特にプラグマティズムに関する箇所。ただ、アメリカの何たるかを知るために…特にその宗教面から見た生い立ちについて概略を知るために読んでおいて損はない内容だったかと。続きを読む

    投稿日:2019.07.27

  • kantamrt

    kantamrt

    そもそもアメリカは、プロテスタントであるピューリタンがメイフラワー号に乗って、理想の国の建設を目的として米国はマサチューセッツ州プリマスに到着し、メイフラワー契約に基づき建国された、という前提から出発し、その歴史の中でキリスト教がどのように変遷、分派し、人々の心性に影響を与えていったかが、社会学者である二人の対話の中で語られていきます。

    アメリカ独自の宗派、教会として、長老派(プレスビテリアン)、会衆派(コングリゲーショナル)、メソジスト、クウェーカー、バプテスト、ユニタリアン、ユニバーサリスト、アドベンチスト、モルモン教、クリスチャン・サイエンス、エホバの証人、などが紹介されていますが、日本ではあまりこうした宗派の違いになじみがないように思います。理神論(神を信ずるも、自然科学を肯定する)を提唱するフリーメーソンの果たした役割にも触れられていました。

    聖書の言葉を神の言葉として重視する福音派が、トランプの支持地域である中西部に多い、という点は初めて知りました。

    アメリカ、という主題から遡って、近代的啓蒙主義にも触れられていますが、デカルト(演繹法)とベーコン(帰納法)の対比は、アメリカという主題とは別に、演繹のフランス哲学と帰納の英国哲学、という観点から興味深かったです。

    また、アメリカで発展を遂げたプラグマティズム哲学の提唱するアブダクションというアプローチが、アメリカの発明、起業といった個人の達成に対する考え方を裏打ちしているのではないかと言います。そこに予定説(神の救済はあらかじめ決定されている)の側面から、神が「見えざる手」を通して資本主義市場を支配している、という考え方も加わり、アメリカの資本主義を称揚するメンタリティーが醸成されているのでは、ないかと。

    アメリカでソーシャリズムが嫌われるのは、自分の主体性を他人に預けることを良しとしない個人主義的考え方が根底にあり、それはカルヴァン派の考え方に近いと語られています。学者の研究では、再配分率が高いのはルター派、逆に低いのはカルヴァン派の地域で、カトリックがその中間という結果であったようです。

    アメリカ人の精神の底流にこうしたキリスト教やプラグマティズム哲学があることは、なかなか読む機会がなく、大変興味深い一冊でした。
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    投稿日:2019.06.08

  • shimu2

    shimu2

    【未知満ちた国の成り立ち】『不思議なキリスト教』でも対談を行った東京工業大学名誉教授の橋爪大三郎と社会学者の大澤真幸が,ずばりアメリカをテーマとして対談した作品。知っているようで知らないその国の根幹を,キリスト教やプラグマティズムを軸として語り明かしていきます。

    あとがきに記されているとおり,アメリカの「急所」を知る上で大変参考になる一冊だと思います。目に見えないものとしてどうしても取っ付きづらさが伴う宗教・哲学面に光を当てることで,多くの方にとって新鮮なアメリカ像が浮かんでくるのではないかと思います。

    ~プラグマティズムは、宗教のことを考えている。さまざまなキリスト教の宗派(教会)と自然科学とを考え、これが調和し共存する、アメリカという空間をどう設計すればよいかと考えているのです。それは、宗教であって宗教でなく、哲学であって哲学でなく、科学であって科学でない。ひとつのアメリカ的生き方の提案なんです。~

    対談ものは言葉が読みやすいのも☆5つ
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    投稿日:2019.05.29

  • mmssmm

    mmssmm

    アメリカについて、宗教(プロテスタント)とプラグマティズムという観点からの考察が深く書かれていました。
    平等主義を掲げながら黒人差別や奴隷制度などが残る矛盾についての考察が特に印象的でした。
    アメリカ人の思想について知らなかったことが多く、興味深かったです。続きを読む

    投稿日:2019.05.20

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