生存する意識――植物状態の患者と対話する

エイドリアン・オーウェン, 柴田裕之 / みすず書房
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • サマ

    サマ

    このレビューはネタバレを含みます

    面白かった。植物状態の人間に意識は、人格はあるのか?どうすればそれを証明できるのか?という謎にせまる研究者の本。なかば著者のエッセイのような趣で、植物状態となった患者の人となりにも触れ、家族の献身にも目を向ける。著者は子供の頃に生死をさまよう壮絶な闘病生活を経験しており、母親の脳腫瘍による死、元恋人の突然の植物人間化という個人的な事情にも突き動かされ、たくさんの患者との実験、ふれあい、科学技術の進歩を通して植物人間の隠された意識へと手を伸ばしていくのだ。
    意識があるのかないのか不明な「グレイ・ゾーン」と呼ばれる状態はまさに人の生と死のはざま。必然的に常にドラマティックになり、どうか実験でいい成果が出ますようにと思わず祈りたくなる場面も多い。植物状態の人でも明瞭に意識と感覚、記憶を保っている場合がある、というのは驚いた。救いの見えない状況でもわが身をなげうって懸命に介護を続ける家族たちの姿に心は痛むが、世界でどんどん進む研究や科学技術の進歩への信頼が著者の中で揺らがず存在しているため、この本はあくまで希望的な調子を崩さない。現代では人類の進歩というものに悲観的になることも多いけれど、それでもどこかで人類は進んでいると信じたくなる一冊だった。

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    投稿日:2022.08.28

  • 花梨

    花梨

    意識とはなにか、様々問いを立て、実際の症例と共に脳の仕組みを解き明かしていく非常に興味深い本だった。哲学的な問いや倫理的な問題もはらんでいるが、テクノロジーの進化に期待せずには居られない。著者の様々な問いを見て、改めて脳の不可思議さを感じた。まさに脳とは宇宙なのだと思う。続きを読む

    投稿日:2022.05.08

  • ことぶき28

    ことぶき28

    この本に出会ったのは、日本経済新聞の毎週土曜日に掲載される「リーダーの本棚」で日本医療研究開発機構センター長の浜口道成氏が取り上げておられたことがキッカケでした。

    fMRIという機器を使って脳の画像を検証することで、いわゆる植物状態にある人にもさまざまなレベルの意識があることを明らかにした画期的な本です。植物状態=脳死=人間の死だと勝手に思い込んでいた私にとってはまさに目から鱗の衝撃でした。

    テクノロジーの進化と新たな実験方法の開発により、生と死の狭間のいわゆるグレイの領域にいる植物状態の患者とのコミュニケーションが可能となり、そこに意識が存在することが明らかにされた。このことは人間にとって新たな希望をもたらすものではあるが、同時にとても重たい課題をも突きつけるものだと思う。AIや遺伝子、宇宙などの大変革時代の中にあって、この人間の意識についての新たな知見は最も根本的で重要なものだと思う。
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    投稿日:2022.04.29

  • はるや

    はるや

    いわゆる植物状態の患者の脳内はどうなっているのか?

    学術書のようでありながら、まるで小説のように読みやすく、興味をひかれる場面も多く、感動もする。
    植物状態にある人は、ドラマで見るようにあんなにきれいに眠ったままの姿なのか?少しは反射的に動いたりするのではないかな…というか実際に仕事で意識障害に陥った患者さんを何度も見かけるので、でもずっと看護したりしているわけでもなくチラッと見かける程度なので、きちんと知りたいな…という気持ちから手にとった書籍だったけど、多くのことを学べたし、考えさせられることも多く、繰り返して読みたいと感じた。
    延命するかどうかという選択、そこに意識の有無が深く関わっている。意識とは、その人をその人たらしめるもの。さらに、他人とも共有しうる集合意識と著者の考えが展開されるにつれ、なんだか泣きそうになった。感動した。読み応えのある一冊。
    それにしても、意識を確認するために様々な取り組みをして発見を重ねていくのは、すごいですね。
    続きを読む

    投稿日:2021.07.29

  • グアルデリコ

    グアルデリコ

    植物状態の患者に意識があるのかどうか、あるとすればどうやってコミュニケーションできるのか?身体からのアウトプットが全くできなくなった状態の人とのコミュニケーションの手法を開発した脳科学者の感動的な著作続きを読む

    投稿日:2020.09.30

  • Penguing

    Penguing

    最小意識状態、植物人間、閉じ込め症候群、さまざまな呼ばれ方がある「あの症状」について、認知科学者の人生をかけた挑戦をつづった濃厚な一冊でした。意識があるかをどうやったら確認できるのか、今では当たり前だと思われているような数々のテクニックをゼロから作り出していく、その手腕には感嘆です。テニス課題が生み出された経緯とかはとても面白かったなぁと。序盤に、著者個人の人間関係がつづられるのですが、それが最後にそうくるか、と。モーリンどうなるんやー!とハラハラしながら本を読み通しました。グレーゾーンの科学を「読み物」として楽しむことができるとても面白い書籍だったと思います続きを読む

    投稿日:2020.05.25

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