【感想】天才たちの日課

メイソン・カリー, 金原瑞人, 石田文子 / フィルムアート社
(82件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
7
25
23
4
4
  • 最高の仕事をするために、毎日どう時間をやりくりしていたのか

    同時代の天才を含む古今東西の偉人たちが「最高の仕事をするために、毎日どう時間をやりくりしていたのか」を調べた本。
    古今東西と書いたが、かなり片寄りがあり、アジア人は村上春樹のみで、意外にもジョブズは出てこない。
    分野は作家が圧倒的に多く、次いで音楽家と画家の順で、学者や起業家は少ない。
    1人当たりの紹介の分量もまちまちで、中には1パラグラフのみという気の毒な偉人もいる。
    取り上げる順番に脈絡はなく、あとがきにある矛盾や誤記(テオをゴッホの兄と紹介)を含め、とてもブログを「高い水準」の本に仕上げたとは思えない。

    意外だったのは、不規則な生活は送らず、毎日決まったスケジュールという天才が多いこと。
    決まった日課を守るのは、仕事に集中するためでもあり、集中力を維持するため、物音を立てるのを禁じたり、図書館通いやタバコ・コーヒーが手放せなかったりと、神経症的な一面も。
    怠惰なところを戒める強迫観念や、決まったスケジュールを守ることが毎日の創造的なリズムを作るという信仰も垣間見える。

    天才たちの家族は大変で、家事はからきしダメ、妻は「家政婦」扱い、物思いに耽ると邪魔せず待機など、周りの者はみな、彼らの創作の犠牲になっているんだなと同情を覚えた。
    食事はかわいそうになるくらい質素でしかも毎日、毎年、同じ物で、まるで「病人食」。
    独特の変わったやり方を手の込んだ儀式のように繰り返す奇行も目立つ。

    総じて、早朝もしくは午前中に仕事をする偉人が多く、インスピレーションを得るために散歩が励行されている。
    創造的なインスピレーションにとりつかれたときは、休むことなく働くため、規則正しい習慣も必要な時期と必要でない時期があるということか。習慣に縛られるのは身体で、精神までは縛られず、むしろそれによって解放されるということなのだろう。
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    投稿日:2018.12.10

ブクログレビュー

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  • がと

    がと

    作家、芸術家、音楽家など、創作活動を仕事にしている著名人たちの"日常"を、彼/彼女らのデイリールーティンから覗いてみる小伝風ノンフィクション。


    朝方の人、夜型の人、専業の人、兼業の人など、ライフスタイルはさまざま。規則正しい生活を保つためだけに別の仕事を続けている人もいたりする。
    夜型の人はやはり不眠や薬物依存に悩んでいることが多く、画家のフランシス・ベーコンが入眠時に古い料理本をくり返し読んでたというのは、心を穏やかにする方法として共感できるし、作風とのギャップで余計に切ない感じがした。「数学者はコーヒーを定理に変える機械だ」と言ったポール・エルデシュのように開き直る人もいたけど。
    ボーヴォワールとサルトルのようなパートナー関係にも注目せずにいられない。直近で読んだ『龍彦親王航海記』から、やはり澁澤と矢川澄子のことを連想してしまう。自分と同じく作曲家だった妻の仕事をやめさせたグスタフ・マーラーや、ともに作家志望の夫と「片方がフルタイムの仕事に就いて生活費を稼ぎ、片方は創作に専念する生活を一年ごとに交代する」と約束しながら、先に売れて専業作家になってしまったカーソン・マッカラーズなど、創作者夫婦の苦悩が印象に残った。
    「日課」とは違うんじゃないかと思いつつ、度肝を抜かれたのはマリーナ・アブラモヴィチ。博物館で座り続けるパフォーマンスのため、夜中に体内の水分をだしきるルーティンを守り、昼間トイレに行かなくてよい体を作り上げたという。パフォーマンスを習慣化し、自分の体を素材にして見せる人の異質さが光っていた。
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    投稿日:2024.01.26

  • hiyanger

    hiyanger

    その名の通り天才たちの日課がつらつらと書かれています。一人一人に対する文章は短く、とにかく人数が多いです。

    日課はもちろん人によって違うのですが、習慣化させてる人が多いなど、ある一定の傾向はあるようです。ただ結論言ってしまうと人それぞれという感じでした。

    私はどちらかという知らない偉人が多かったので、そのあたりだとイメージがわきにくく読み飛ばしました。もうちょっと読者よりの天才を集めてくれるとよかったなぁと思いました。
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    投稿日:2023.10.19

  • asadsexyimp

    asadsexyimp

    ベートーヴェン 夜明け起き コーヒー豆60粒 昼食事後散歩ポケットにメモ
    ベンジャミンフランクリン 毎週一つの徳
    村上春樹 午前四時起き 6時間通しで仕事 午後はランニングか水泳 九時就寝
    デイヴィッドリンチ 二時半にビックボーイでチョコレートシェイクなど砂糖を大量に取る 超瞑想一日二十分
    デカルト 午前中ベットの中で黙想 女王への講義午前五時から始まると1ヶ月で死去
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    投稿日:2023.10.17

  • 鈴木翼

    鈴木翼

    ベートーヴェンの1日のルーティン、知りたくありませんか? 天才たちの1日が自分と同じように悩んだり、苦しんだり、そしてそこで生活している姿が書いてあります。とても面白かったです。

    投稿日:2023.09.07

  • 桜色の世界(sakurairoworld)

    桜色の世界(sakurairoworld)

    たくさんの天才たちが、生活の一部で大切にしていることや考え方が記されている。
    ちょっと笑ってしまうものから感慨深いものもあり、日々のささくれた心に灯りが灯るよう。

    投稿日:2023.05.21

  • ある

    ある

    お勧めの日課:朝の有効活用,コーヒー,散歩
    フランクリン:規律の徳だけ身につかず
    J・オースティン:常に凡ゆる邪魔入る
    M・ロビンソン:不眠症,時間を有効活用
    カフカ:"ごまかす技"を駆使
    村上春樹:朝型,ランニング,水泳続きを読む

    投稿日:2023.01.31

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