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香山リカ / SB新書 (21件のレビュー)
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城田逸
『発達障害と言いたがる人たち』 著者 香山リカ SB新書 2018年 この本のおおまかな内容は精神科医の香山リカさんが発達障害を取り巻く医療やその周りの人々を扱ったいわば発達障害社会論である。 本…書は基本的に発達障害社会論としての内容で進んでいくが、もちろん基本的な発達障害に関する知識もちゃんと解説している。それを踏まえた上で、「最近発達障害と診断されたがっているひとがいる。これは一体どういうことなのだろう?」というのが本書の大きなテーマである。 そして、これを明らかにするために、本書は以下3つの流れを歩んでいる。 1そもそも発達障害とは? 2発達障害の激増の要因とは? 3発達障害と診断されたがっている人は何を望んでいるのか? 私なりにだいぶ要約させてもらったが、上記の3つが個人的には重要であると思えた。 1は他の本でも書かれていることなので、2から説明している 著者は発達障害激増の要因として2つのことを挙げている。 1つ目が発達障害そのものが周知されたことにより、診断を受ける人が増えたこと。つまり母数が増えたということである。2つ目がその母数がふえたところに医師の過剰診断という問題も加わったということであるそうだ。過剰診断とは発達障害と診断する必要がないケースまで発達障害と診断してしまっているということである。なぜこのようなことが起こるのか? 著者は精神科医特有の診断の問題を指摘している。どういうことかというと、精神科医の診断では他の分野に比べるとどうしても客観性を重視することが難しくなるようである。心を扱う分野であるので、どうしてもデータが少なく、主観的な判断が入り込まざるおえないということである。今は「操作的診断」と言って、患者の訴えからなるべく客観的な問題を記述、整理していき、ある程度絞り込むというようなことが主流になっているそうであるが、それでも、完全に主観をなくすのが難しいというのが筆者の意見だ。 この2つが主に増加の要因であるそうだ。 では最後に、3を見ていく。 発達障害と診断されたがっている人は何を望んでいるのか?であるが、これには筆者は2つあると考えている。 1つ目が自尊感情の低さ 2つ目が何者かになりたいという病である 1つ目は日常生活で困ったことが起こり、それに逐一対処することができる人はいいが、中にはそれらに対処できず悩みを抱えてしまい、「私には何にもできないんだ」と自尊感情を低くしてしまうということが起こる。そのような人が発達障害という免罪符を手に入れることにより、自分自身を正当化してしまうということだそうだ。 2つ目がなんらかの個性が欲しいと思っている人が発達障害というラベリングをして欲しいと思っているということだ。発達障害の当事者からすれば迷惑極まりない話かもしれないが、ある意味ではこちらは現代を象徴する病の一つであると言える。 この本は「発達障害を取り巻く医療の問題と世間の問題」に関して書いたものであるが、発達障害そのものよりもこちらの方が深刻なのかもしれない。なぜなら、彼らは自分が定型であることを否認し続け、挙げ句の果てには自分自身が存在していることすらも否定するのだろうから 続きを読む
投稿日:2024.03.18
あや
生きにくさや周りと上手く行かないことに発達障害という診断を付けてもらいたがる人と、漠然とした診断基準で安易に診断を付けてしまう精神科医がいることに驚く。確かに、何もかもうまくいかない人にとって、それが…発達障害のせいであると分かれば気持ちが楽になることも多いのだろうが、その診断を求めて、ドクターショッピングをするのは違うのではないかと思う。友人にも一人、この診断を受けた人がいるが、その人の診断に関しても疑問を持っていたので、この本で少し腑に落ちた部分があったのは収穫だった。続きを読む
投稿日:2023.04.16
利根川うなぎ
発達障害の基本的なこと、精神科の診断の難しさがわかった。 「発達障害と言いたがる人」は、 「あの人発達障害なんじゃない?とレッテル貼りたがる人 」 「自分はたぶん発達障害だろうと思う人」 の2通りが…考えられますが、 後者について描かれたものです。 続きを読む
投稿日:2023.03.05
aya
◆「発達障害」と言いたがる人たち 香山リカ 2/19読了 まぁ色んな経緯(私もあんまり覚えてない)があって香山リカさんにたどりついて、この人が書いた本を読んでみようと思って読んでみた。 書いてあること…はタイトルの通り、近年「私ってグレーゾーンじゃない?」と思う人が増加していることについて、背景や課題意識について書かれていた。 これは難しい問題だなというのが、自分が終始思っていたことだった。 発達というのはグラデーションのように現れるものだから診断の基準が曖昧になる場合があるというのも理解できたし、大事なのは診断名(正式名称でないかもしれないがこの後も多用する)がつくことではなく、発達障害でなくても大丈夫。あなたはかけがえのない1人の人間だから。と伝えることだと締めくくっていた。 そうなんだと思った。色んな意見や受け入れるべき事実があることを知った。 たしかに診断名がつくことは重要ではないし、診断名がついたからといって、その人自身の問題が解決するわけでは決してないんだろうと思う。 それでも、なにか、すがるような思いで「〇〇チェックリスト」にチェックをつけてみたり、精神科を訪れたりするのもまた、私は理解できるし、この行動の裏にその人なりの勇気が必要なことも分かる。 正直読んでいてつらかったけど、もっとちゃんと知りたいことがたくさんあるなと感じた。 ただ、タイトルやあらすじから期待していた内容とは少しズレていたかなという気がした。もう少し読むべき本を見極められるようになれるといいな。続きを読む
投稿日:2022.08.24
ドラソル
文字通り、「発達障害」と診断されたがる人のメンタルについて精神科医の香山リカが分析した一冊。 精神病の診断はウイルス性疾患などと違い、明確な境界線がないので難しいと感じた。 また逆に、病気と認定され…て安心したい側の気持ちも理解できるので、より対処が難しいと感じた。続きを読む
投稿日:2022.04.11
極東の子
このレビューはネタバレを含みます
※若干流し読み。 香山リカ氏の著作は、過去に『就活がこわい』(講談社)を読んだことがある。『就活~』とこの著書をみると、現代(当時)の人々が持っている不安に焦点を当てることが得意なのかな?と思った。 「大人の発達障害」「うつ」という言葉が頻繁に耳にする時代になり、著者は、軽度または障害出ない患者が多く診察に来るようになったこと。そしてその仕組み(ビジネス)について指摘する。 そこに関しては新たな知識が得られた気がする。これが作品のはじめに書かれた「社会的な現象」なのだろう。 しかしながら、医療関係者ではない一般読者の私としてとしては、発達障害になれなかった「平凡恐怖」についてもっとページをさいてほしかった。 なぜ彼女らは「平凡」を恐れるのか、障害のような症状をなぜ許せないのか。そして苦しいのか。その社会的背景と解決?を知りたかった。…それは著者の書きたいことではなかったのかもしれないが…。この、あと一歩…二歩踏み込んでほしい気持ちは、『就職~』でも感じた。
投稿日:2022.01.27
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