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古川日出男 / 河出書房新社 (24件のレビュー)
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総合評価:
パドラッパ
2022年1月から始まるアニメの底本です
私にとって、授業で読まされたイントロ当てクイズの対象でしかなかった長い物語を1冊にまとめた現代語訳。方々で聞きかじっていたエピソードが連なった末の「灌頂の巻」で感極まった。 あぁ、祇園精舎の鐘の声 …諸行無常の響きあり 佐伯真一氏の解題・安田登氏の月報も良かった。 この作品をあの山田尚子監督がどう料理されたのか、とても楽しみです。続きを読む
投稿日:2021.12.29
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akizomickey
古川日出男さんのリズミカルな短いフレーズがなんとも心地良い。古典を全文読むのは初めてで感動。 2924-007
投稿日:2024.02.23
kaonio
「平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集)」(古川日出男 訳)を読んだ。 ええ読みましたとも。 訳者あとがきまで含めて880頁。 原文は『祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の…色、云々』のところぐらいしか知らないけれど、この古川日出男さんの訳文は見事だと思うな。 まさに琵琶の音に合わせて歌うような語りかけるようなリズムだものな。 畳みかける饒舌さが良いです。 単なる英雄譚ではなく人の弱さを余さず語るところが平家物語の真髄か。 しかしまあ誰も彼もよく泣くのね。 『赤地の錦の直垂に紫裾濃の鎧を着て』とか『赤地の錦の直垂にに唐綾威 の鎧を着て』とか『朽葉色の綾の直垂。その上に赤革威の鎧』とか誰も彼もオシャレだしね。 あー面白かった。 今このときの『安◯派』の凋落ぶりを見るにつけてもまさにまさにおごれる人も久しからずということでございますでしょうか。嗚呼!続きを読む
投稿日:2023.12.14
scaramouche
このレビューはネタバレを含みます
古川日出男による『平家物語』の完訳。 そもそも平家は原文自体が美しく、リズミカルだが、現代から見ると説明が必要だったり冗長だったりする部分も多い。訳者はそこに複数の「語り手たち」を、しかも無常観や仏の功徳について深く知っている「語り手たち」(彼らの正体は平家滅亡時の語りで明かされる)を登場させることによって、物語の主題がより明らかになるようにしている。「前語り」にて、訳者が書いた「物語の中味に改変の手を入れず、どうやって『構成』を付す? 私は、平家が語り物だったという一点に賭けた」という文に示されているように、「語り手たち」の登場によって、物語に新たな構造が生まれている、ということなのだろうと思う。 平家そのものの美しさと訳者の特徴的な文体の迫力とが相まって、始まりから終わりまで、活劇の場面も陰鬱な場面も、飽きさせられずに読み終えることができた。
投稿日:2023.11.09
aya
230725*読了 いやぁ、壮大だった。 平家物語ってこんな話だったのかっていうのと、ものすごい長編なのだなというのと。 読み応えたっぷり。早く早くと次が読みたくなるおもしろさ。 平清盛の傍若無人ぽ…さは、ご存命の頃にはそれはそれは際立つのだけれど(その最期も衝撃)、清盛が没して、平家がだんだんと衰退し、源氏が台頭してくるところが印象的で、清盛だけではないすべての平氏の物語なのだとありありと分かる。 あくまでも源氏が最後に天下を取る話ではなく、平氏がいかに興隆し、没していったかのストーリーなわけで。その物悲しさ…。 戦いだけでなく、それぞれの立場から抱く思いであったり、子や夫を失う悲しみだったりもたくさん。 戦の場面は大迫力。斬った斬られた。自害した。 こんなにもあっけなく命が散っていく。この時代には生まれてこなくてよかった…。怖すぎる。 でも、この時代から命が繋がれて今があるわけで。 こんなにも戦の多い時代から、よくもまぁここまで落ち着いたな、と。 うん、本当におもしろかった。続きを読む
投稿日:2023.07.25
へびのルーカス
2022年1月からアニメ「平家物語」と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まらなければ、私はこの本を読もうと思わなかったかもしれない。とはいえ抄訳版の『平家物語』(角川ソフィア文庫)を持っているくらいに…は好きで、だが本書の情感の深さは抄訳版とは比べものにならないほど違った。 小松殿こと平重盛の清廉でどっしりとしたたたずまいへの敬意がそこかしこから感じられる。その嫡男で富士川の戦いや俱利伽羅峠の戦いに敗れ、断ちがたい妻子への思いに苦しみながら入水する維盛への温かい眼差し。その訃報を聞いた弟・資盛の嘆き。世を儚んで兄より先に逝った清経の絶望。アニメはこの本を原作としているが、重盛の子どもたちを軸に描いた理由がよくわかる。 文体は「琵琶法師による語り聞かせ」であることを重視し、短く、わかりやすい。だから圧倒的に読みやすい。合戦の場面では琵琶の数を増やし、合いの手を入れ、躍動感に溢れていて、まるで演芸場で実際に琵琶語りを聞いているような臨場感さえある。武士の直垂や甲冑の色まで細やかに描写されているから、情景が鮮やかに浮かぶ。その背景となる平安時代の自然もさぞ美しかっただろう。 特に一の谷の戦いから壇ノ浦にかけて、平家の武将が次々と討ち死に・自害していく様は圧巻で、哀切極まりない一人一人の死に様が胸に迫り、いつまでも読み終わりたくないと思うほど世界観に浸れた。 殺し、殺される男と生き延びて後世を弔う女という2つの視点が強調され、”男”の物語は維盛の嫡子・六代御前の処刑で終わる。”女”の物語は清盛の娘で安徳天皇の母・建礼門院が最後を担い、この世の栄華も苦難も全て見たと語り静かにその人生を終えていく。「穢土から浄土へ。」その一文に尽きる。一貫して鎮魂と祈りを込めた物語なのだ。 これほど長大な古典文学を飽きずに読ませるすばらしい現代語訳をして下さった古川日出男さん、二段組みにせず読みやすい文字の大きさを保ちながら四六判ハードカバー・厚さ4.5㎝の美しい装丁に仕上げた出版社やブックデザイナー、製本所など関係各所の見事な仕事ぶりにも深く感じ入っている。続きを読む
投稿日:2022.12.31
黒蜜きなこ
「平家物語 犬王の巻」を読んだので、この本も手にとったけど、ボリュームが凄くてなかなかの修行だった! 義仲が登場するまで我慢。 やっと一の谷、やっと屋島、やっと壇ノ浦、とマラソン大会でちょっと先の看板…を目標に頑張るカンジで読み進めました! 巻末に平家の系図があったけど、巻頭に欲しかった。人名が役職だったりで、その時によって異なるのでシンドイ。 読後の達成感はハンパない。 続きを読む
投稿日:2022.08.16
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