【感想】なでし子物語

伊吹有喜, 関美穂子 / ポプラ社
(104件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
46
37
12
2
0

ブクログレビュー

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  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「父を亡くし母に捨てられ、祖父に引き取られたものの、学校ではいじめに遭っている耀子。夫を若くして亡くした後、舅や息子と心が添わず、過去の思い出の中にだけ生きている照子。そして、照子の舅が愛人に生ませた男の子、立海。彼もまた、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しんでいる。時は一九八〇年、撫子の咲く地での三人の出会いが、それぞれの人生を少しずつ動かしはじめる-『四十九日のレシピ』の著者が放つ、あたたかな感動に満ちた物語。」

    「家庭教師の青井が耀子に教えた言葉「自立と自律」。「自立」自分の力で立つ。顔を上げて生きること。「自律」美しく生きる。新しい自分をつくること。閉じていた目を開いて、新しい自分になると決めた耀子の未来が見てみたい。」(『小泉今日子書評集』より)
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    投稿日:2023.09.27

  • カティ

    カティ

    どこか、現代の話ではないような、あるような、不思議な作品だと思います。没落していく資産家の田舎の豪邸で生活しているゆかりの人々を中心に、不幸な境遇の少女と当主の次男の少年の出会い、成長。続編もあるので、今後どのように物語が進むのか、楽しみです。続きを読む

    投稿日:2023.06.25

  • サマー

    サマー

    とても良い!
    後半は涙を止められなかった。

    舞台は林業を営む遠藤家の別宅、常夏荘。
    父が亡くなり、母からは放棄された少女耀子は、遠藤家の林で働く祖父の元で暮らすことになる。
    遠藤家の当主の息子立海は、体が弱く、療養もかねて家庭教師青井とともに常夏荘に預けられる。
    遠藤家当主の息子の妻照子は、夫を亡くし、人付き合いが好きではないため、常夏荘で夫の思い出を抱きながら暮らしており、おあんさんと呼ばれ、常夏荘の周辺の人たちからは慕われている。

    まず、照子と夫との思い出がとても美しい。
    背が高い照子に対して、背が低く体の弱い夫。
    セミの夫婦と呼ばれ、大木(照子)にとまるセミ(夫)と嘲笑されたふたり。
    小さくちぢこまるように歩く照子に、ヒールのある美しい靴を履いて、堂々としていてくれと言う夫。
    そんな夫に心を開いていく中で、セミは長く生きられない、と新婚旅行で告げられた照子の絶望を思う。撫子組の話にも涙。
    夫の異母兄弟である立海に、夫のおもかげを見て、でも立海を救ってあげられない、これも悲しい。
    この時代、この遠藤家で、決定権のないものたちの絶望を思った。

    燿子が学校に行かなくなり、立海とともにお勉強をするようになってからの物語に、特に引き込まれる。
    耀子は、その生育歴から、どうして嫌われるのだろう、どうして私のもとからいなくなるのだろう、という絶望を抱いている。
    そんな耀子に、大人たちが伝える言葉たち。
    自立(かおをあげて生きること)と自律(うつくしく生きること)。
    どうして、ではなく、どうすれば、と考えること。

    自分をきらいなら、好きな自分になるのだと、自分を律して自分が好きな自分、こうありたい自分でいるのだというのが、自律。
    わたしは大人になっても、自分のことはまだよく分からない。わたしの中に、すごく嫌な自分がいる。
    子どもの時、わがままなことをすると、大人たちからは呆れられ、怒鳴られ、無視されたりしていて、こういうことを教えてくれる人はいなかった。
    当たり前のようなことだけど、恥ずかしながら初めて教えてもらえた気がした。
    大人になったからこそ、青井の言葉を理解できるようになったけど、子どもの時ならわからなかったと思う。耀子も、全部は理解できてない。でも、変わりたい、理解したいと頑張っている。

    そして立海の話し方が可愛い。
    日系アメリカ人のシッターに育てられたために、立海は「〜なのよ」などの、小学生男子は使わないであろう妙に女性的に言葉を使う。
    文章だけなのに、立海がとても可愛くて、愛しくなる。

    立海と耀子の交流、友情。
    ずっと孤独だったふたり、ずっと色んなことを諦めていたふたりが、はじめて互いを「この子に嫌われたくない、離れたくない」と思ったこと。
    耀子のお誕生日をやらまいかと、約束した翌日に、立海は東京の親父様の元に連れ帰られ、引き離されてしまった運命。
    これから先の2人の人生がどうなるのか気になるけど、きっとこの子たちなら逞しく生きていくはずだと思える。
    著者の伊吹さんが、誰よりもこの登場人物たちを大切に、愛しているとわかるから、きっと不幸にはならないはずだと思えるのだ。
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    投稿日:2023.06.04

  • まき

    まき

    このレビューはネタバレを含みます

    いじめに遭っている少女・耀子、居所がなく過去の思い出の中にだけ生きている未亡人・照子、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しむ少年、立海。
    三人の出会いが、それぞれの人生を少しずつ動かし始める。
    (アマゾンより引用)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.05.06

  • 海と青硝子

    海と青硝子

    耀子と立海の「やらまいか」、勇気をもらえました。二人の成長を応援したいです。「星の天女」のお話、龍一郎と照子のロマンス、あと装画は大好きな関美穂子さん、素敵です。

    投稿日:2023.04.10

  • ナッツ

    ナッツ

    感情を揺さぶられる作品。子供の気持ち、それを見守る大人たち。伊吹さんの切なくも温かい作風が大好きです。

    投稿日:2023.01.25

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