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ジーン・ウェブスター, 畔柳和代 / 新潮文庫 (24件のレビュー)
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加糖 紅茶
この本のタイトルが『続あしながおじさん』でなければおそらく私は最後まで読まなかったしなんだったらパラパラとめくってすぐに図書館の本棚に戻しただろう。そのくらい、私にはこの本が合わなかった。 私が合わな…いなと感じた理由に「私の視線が誰にも憑依されないこと」があると私は考える。『あしながおじさん』では私の視線は手紙を本来読んでいる人間とリンクしており、次はどんな内容のものがくるのか・自分だったらどう返信しようかと自分が物語に入り込んでその世界観を味わうことが出来る。これは手紙形式の作品に共通する魅力であり、この効果を上手く使えるかどうかが作品の良し悪しを大きく分けるのではと私は思うのだ。 一方で、この本では宛先が複数おり私が本来の読み手と永続的にリンクしないため私の視線は書き手のサリーに戻ってきてしてしまう。それは手紙形式の醍醐味を失っておりサリーの独りよがりにしか見えなくなってしまう。だから、私はこの作品が楽しむことが出来なかったのだろうと今のところ考えている。この作品がもしサリーの日記という形式をとっていたならばサリーの書いた日記を閲覧しながら「こんな感じだったのだろうな...」と想像を膨らませるという楽しみ方が出来たかもしれない。 もちろん、良いところもある。孤児院という世間から最低限のものとしてしか見られない施設をその施設で暮らす子ども達にとって良いものにしようと斬新なアイデアで変えていこうとする姿は素敵だと思うし前作のジュディがその後どのように暮らしているのかも断片的にだが知ることが出来る。 だが、前作の良さを上手く活かしきれていないという点であまり他人にオススメはしないだろう。続きを読む
投稿日:2024.03.30
こしあん
このレビューはネタバレを含みます
あしながおじさんの続編。 ジュディの友人サリーが孤児院の院長として奮闘する物語。 あしながおじさん同様、サリーの書く手紙で物語が進んでいく。イラストがとっても可愛い。 サリーが新米院長として不満タラタラに(!)けれどガッツを持って働く姿、どんな困難にもユーモアを持って立ち向かう姿がかっこいい。 私は「先生」宛の手紙が一番好き。じれったいなあ、もう!とソワソワしながら読んだ。 そしてとびきりのハッピーエンドに、にっこりしながら本を閉じた。 正直、古い偏見に時代を感じる部分もあるけれど、(しっかりあとがきでフォローされていた)やっぱり心躍るハッピーなお話だった。 ただ、孤児院の子供にあてがわれたギンガムチェックの服が不満で、「ギンガムチェックの終焉!」とまで太字で手紙を書くサリー。 なんで!ギンガムチェック可愛いじゃないか…!!とそこだけ物申したい。
投稿日:2024.02.22
フレフレ
この作品は、続あしながおじさん、と銘打ってあるけど該当する人物が話しに関わってるのはほんの一部だけで、原書のタイトルはあくまで『Dear Enemy』であり、そこが最大の焦点ってとこは間違ったらいけな…いな、と、読後の今に改めて感じる。 無印では著者のウェブスターが実際に孤児・感化院で観察した人物のあくまでも理想形がジュディというキャラクターに投影されているように見え、続では集団そのものをまとめあげている人物サリーに加えて、その環境を包みこんでいるもう少し大きな社会を映し出そうとする著者の目線として描かれたもの、という意図のように思う。 これは前作と同じ世界線で書簡体形式というスタイルが同じなものの、1作品を通して読者へ語りかけてくるメッセージ性が大きく違っていて、無印があくまでも単純な『個人の想い』なら、続は『個人を殺して人に尽くす想い』に集約されている。 学生気分が抜けず社交界に染まりかけた、いい階級の女性が孤児院の院長として社会貢献をしながら自覚が芽生え、自己犠牲の精神を育んでいく成長過程が印象に残る。 余談ですが、この作品内で、エレン・ケイの名前がでてきた辺りで、話の雰囲気が山本有三っぽく感じる部分があって、お互いにどっちが先か後かはわからないけど影響を受けあっていたのかな?って邪推してました。個人的にはそうだとちょっとニヤッとする。そんな感じ。 続きを読む
投稿日:2024.01.31
あまねってぃ
「なるほど前作はジュディの手紙がメインで、本作ではジュディの親友のサリーの手紙がメインなのだな。」と読みながら感じました。
投稿日:2024.01.30
まる
名作「あしながおじさん」の続編。 ジュディの親友サリーが、ジョン・グリア孤児院の院長として奮闘する日々を手紙に綴っています。 裕福な家庭で大切に育てられたサリーですが、子どもの成長に必要なものは何か…、はっきりと知っています。そのほとんどが、ジョン・グリア孤児院にはありません。必要なものを子どもたちに与えるために、サリーは多くの人を上手に巻き込んでいきます。 100年前の作品であり、現代の医学では否定されているという学説についても、訳者の方が注釈やあとがきで丁寧にフォローされていて、冷静に読むことができました。続きを読む
投稿日:2023.08.18
アラエッサ
DEAR ENEMY、敵へ、つまりマクレイ先生へ。 今作では、前作の主人公ジュディ宛(他)に、今度は友人のサリーが主人公として手紙を綴ることになる。 ジュディらのすすめで孤児院の院長となり取り仕切ることになったサリーの日々。マクレイ先生とは馬が合わず、本人を目の前にして"敵"というニックネームで呼ぶなど、これはいかにも特別な関係になるのだろうなと期待した。 時折登場する、特別愛嬌のあるアレグラを巡る話題が特に面白かった。孤児院に来た経緯から、彼女を引き取りたいと申し出されたものの、彼女を引き取るならその兄2人も一緒でないと、両親を失った家族がさらにバラバラになってしまう、という話、家事で先生が助け、結果的に兄2人も含めて貰われた話。色んな人に愛されやすく、ジュディのように、只者じゃない笑 p329で、恋人のゴードンへの手紙に、ドーデ「ヌマ・ルーメスタン」主題は"街の喜び、家の悲しみ"という、世の中では誰もが崇める素晴らしい政治家だが、家にいる彼女のもとへ戻ると不機嫌でむっつりしていて元気がない、という男の話題を書き、自分の思いを仄めかしている。 p334で、夜中に起こされてアルコール中毒の少年を診察治療し顔色の悪い先生を見ていて、先生の陰鬱な家など先生の人生の背景にある恐ろしい悲劇を思い、同情の波に包まれた。 ーー何かがーー何か電撃的なことが起こったの。気がつくと抱き合っていたのです。先生は私の手をゆるめ、大きな肘掛け椅子に座らせました。「まったく!サリー、ぼくが鉄でできていると思っているのかね?」そういって出ていきました。 良い感じじゃない〜とニヤニヤしながら読み笑 p364でゴードンと別れる。 p367で先生はなぜ私とは面会してくれないのか手紙で訴える。 マクレイ先生〜〜〜どうか今度お見舞いにうかがうときは面会してください。そして二人で〈時間〉に外科手術をほどこして、五か月を切除しましょう。二人で脱走して大いに楽しんだ日曜の午後を覚えていますか?今日はその翌日です。サリー・マクブライド 別日・敵殿〜〜ご覧のとおり、いまは先生に対して友好的な気持ちです。「マクレイ」というときは好きではなくて、「敵」と呼ぶときは好きなのです。〜 作中は前作と比べて退屈な場面も多かったが、最後の最後は、作品名から答えは分かっていても、ああ〜ときめきました笑 相変わらず終わり方が素敵です。作中の退屈だった場面も、後半の先生とのやりとりで吹き飛びました。
投稿日:2023.08.16
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