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ロマノ・ヴルピッタ / ちくま学芸文庫 (3件のレビュー)
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総合評価:
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オカフクロウモドキ
このレビューはネタバレを含みます
面白いがこれ一冊で全てを知ったと考えるのは危険に思う。とりわけ隠された真実のように思うのは適当でない。
投稿日:2021.07.19
kto1906
どうしてもヒトラー の添え物として扱われがちなムッソリーニの生涯を丁寧に語る。変遷した思想、変わらなかった民族への思い、優柔不断な一面。 もしもドイツと組んでいなければ、資本主義・社会主義に対抗する第…三軸として大活躍したのでは、と妄想。続きを読む
投稿日:2020.05.03
nt
ナチス/ヒトラーのことばかり色々聞かされるが、同時期のイタリアのファシズムについては、実はよく知らない。中学校の時に「ファシズム」という言葉を教えられたが、漠然と「何か悪いコトらしい」というイメージ…しか無く、その実像は学ぶことがなかった。 今では、「ファシズム」「ファシスト」という言葉は、イタリアのそれを超えて広く「強権的な独裁主義」くらいに捉えられて、意味も不明確なまま世間で濫用されている。 イタリアのファシズムについて詳しく知りたかったが、本書はムッソリーニの伝記である。日本に30年暮らしたイタリア人が、日本語で書いた本だ。 本書を読むと、ムッソリーニはそんなに「悪いヒト」ではない。全般に冷静な判断ができる人物で、ヒトラーなどとは全く違う。ファシズム運動はマッチョな愛国運動だが、人種差別の意図は無かったし、政権を勝ち取る前段階で殺人などもあったようだが、どうもナチスほど残虐とは言えず、ファシズムなるものは実に微妙であり、定義しにくいものであるようだ。 ムッソリーニを非常に尊敬していたらしいヒトラーは、本書を読んでみると、どうもムッソリーニの真似をしていた面もあったようだ。 本書には、細君がありながらも情欲旺盛な、ムッソリーニのドン・ジョヴァンニ的相貌の一面を強調しているが、読む限り、ムッソリーニはまさに男根的存在である。この男根性が、イタリアを強固な統一体としてまとめあげ、その点が多くの大衆を熱狂させたのだろう。そしてその意志は戦争(大戦)へと流れ込む。 「戦争のみがあらゆる人類の精力を緊張の極度に達せしめ、これに対抗する力のある国民に尊貴の印を捺すのである。すべてのその他の試練は代用物であって、生か死か何れという中に於いて、人間を自己自身に面せしめないのである。」(P272、村松正俊訳『ファシズモの原理』からの引用) ちょっと「戦争は魂の最高の宗教的行事」だのと妙なことを言っていた、我が国の前防衛大臣と似た言葉ではある。 ムッソリーニ自身はもとはマルクス系社会主義者であったのだが、やがて社会主義・共産主義とは完全に袂を分かち、当時の「保守」に対すると同様に反発するようになる。右でも左でもなければ「中道」なのかというと、全然そうではない。それはむしろ「新たな右翼」に近いだろう。 また、ムッソリーニは「武士道」を尊敬した親日家でもあった。特攻隊のようなものも、彼は誉めていたらしい。 この難しく微妙な「ファシズム」、ムッソリーニの人物像は複雑であり、ストラヴィンスキーなども尊敬をあらわにしていたそうで、やはり本書だけでは実態を掴みきれないように思う。 これとは別の文献で、イタリアファシズムの詳細を学んでみたいと思っている。続きを読む
投稿日:2017.09.12
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