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俵万智 / 河出書房新社 (4件のレビュー)
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まこと
天才歌人、俵万智さんの第二歌集。 24歳の早春から28歳の冬の終わりまでの四百七十余首だそうです。 その四年間は俵さんにとってかなり起伏の大きい四年間だったそうです。 まる四年間勤めた橋本高校を退職さ…れたことはあとがき「心が鳴る」に書かれていますが、この歌集で気になるのは第一歌集『サラダ記念日』では、もう幸せいっぱいとしかいえなかった万智さんの恋の行方でした。 なんだか、淋しい方向に進んでいるみたいで胸が痛くなる歌が多かったです。 タイトルの『かぜのてのひら』は ○四万十に光の粒をまきながら川面をなでる風の手のひら からとられています。 この歌集は、恋の歌以外も色々載っていますが、やっぱり気になる恋の歌中心に以下に載せます。 ○「おまえとは結婚できないよ」と言われやっぱり食べている朝ごはん ○かつて我が夫に立候補せし人の婚の知らせを聞く十二月 ○「たすけて」と言えばあなたは会いに来てくれるだろうかくれぬだろうか ○君の子として生まれきしみどりごを花より早く知るこの四月 ○君の子を生める女人のほほえみの眉毛も唇も三日月の夜 ○チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月 ○三度目の春を迎える恋なればシチューを煮こむような火加減 ○今日からは妻と呼ばれる友がいてはにかむような桜のつぼみ ○来年のことは言わない原っぱに菜の花色の時限爆弾 ○さみどりの葉をはがしゆくはつなつのキャベツのしんのしんまでひとり ○六月になれば心をよぎる人夢の中にてすずらんを振る ○花ことば「さびしい」という青い花一輪胸に咲かせて眠る ○「斜陽館」にて更ける夜は思いきり一人よがりの日記を書かん ○はなむけの言葉を生徒に求められ「出会い」と書けり別れてぞゆく ○選択をするなら誰にも憎まれぬ国より一人に愛される国 ○「もし」という言葉のうつろな人生はあなたに一度わたしに一度続きを読む
投稿日:2023.06.06
koshi
「サラダ記念日」のピュアな恋のうたとは少し変わって、教師としての目線や、過去の恋愛を顧みるような目線、本気で相手を想えない葛藤など、時の流れを感じれた 自転車を漕いで初めて会いにゆきし日のスピー…ドを思いつつ漕ぐ続きを読む
投稿日:2021.10.03
ハネケ
特別でない路傍の石がかくも煌めいてみえるなら、忙殺による暗雲は風に攫われる。思考の整理が追いつかなくて不安でも、まだ目が輝いている。まだ心は鳴る。それがどんなに私を。
投稿日:2021.06.12
tnohdomi
一目で、すごくいい! という歌ではなく、ただ、芯と逡巡が見てとれて、心がキュッとなるものが多かった。
投稿日:2019.08.14
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