【感想】ヒカルの卵

森沢明夫 / 徳間文庫
(61件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • こてつ

    こてつ

    ずーっと気になっていて積読本が何冊もある初読み作家さん!
    とても良かった!面白かった!
    自称ツイてる養鶏農家のムーさんが周りの反対を押し切り村に世界初の卵かけご飯専門店をオープン!
    村の皆を笑顔にする為に、過疎の村を元気にする為に動き出したムーさんの計画は当初反対していた村民達の協力のもと飛躍、奇跡を起こす!

    なによりムーさんの人柄が良い!
    これがこの本の最大の魅力と勝手に思っている。
    何か手を貸さずにはいられないムーさんの人間力が成功の元であろう。
    どこか少し鈍感にも思えるムーさんだけど計画に抜かりはなく(大吉と直ちゃんに乗せられた感はあるが…笑)しっかりと軌道に乗せられたのはムーさんの卵と計画の力も大きい!
    「裕福」と「幸福」は違う!…も、印象に残る言葉だった!
    「誰かを笑顔に」…誰かを幸せにする為に自分も笑顔で生きる!
    ムーさんはまさに幸せの象徴だなぁ

    心が温かくなりながら元気のエネルギーに満ちた森沢さんの小説、読んで良かった!
    これからもっとたくさん読んでいこう!

    最近、好きだなぁと思う作家さんと次々出逢えてツイてるなぁー笑
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    投稿日:2024.04.06

  • ちかりん

    ちかりん

    登場人物は優しい人々で、誠実。今を大切に生きるという事が伝わってくるお話。タイトルから想像していた内容よりももっと深い内容だった。心が温かくなった。

    投稿日:2024.03.31

  • 四季子

    四季子

    森沢明夫さんの作品。
    今回もとても良かったです。
    人の捉え方、優しさを見つけるのがとても上手いなと他の作品を読んでも思います。
    後は人の弱さ、許す事も、学ばせてもらいます。
    その本の世界で生きてみたいと思える作品ばかりです。
    モデルとなった場所も行った事があり卵を使った美味しいプリンを購入しました。また行きたいと思っていたお店がモデルとは!確かに美味しかったから納得です。
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    投稿日:2024.03.05

  • きゆか

    きゆか

    ラストで裏切られないと信じて安心して読める。 
    話は期待どおりで面白い。
    田舎を思い出して懐かしさにつつまれる。
    ほっこりしたいならお勧め。

    投稿日:2024.02.19

  • わーーーーー

    わーーーーー

    2023.12.6 読了 ☆9.7/10.0



    森沢明夫さん7作目の本作
    蛍原川の流れる田舎の限界集落が舞台で、毎日、父から継いだ養鶏場のニワトリを”姫”と呼びながら世話をして暮らすムーミンのような男、ムーさんこと村田二郎が、村おこしのためにその集落の山奥の森の中に、卵かけご飯専門店を出すという、一見無謀で夢を叶えようとする話です。


    アユやヤマメなどが住む透き通ったきれいな沢が流れてる。
    初夏にあたり一面の蛍が飛び交う。
    いまにも降ってきそうな星で埋め尽くされた夜空がある。
    田舎ゆえに時に窮屈な、だけど支え合う心の通った人々の繋がりがある。

    …などなど、物語ではそんなたくさんの小さな幸福が、美しい自然の数々が、ともすれば当たり前すぎて忘れがちな幸せが、随所にちりばめられています。



    また、日本が抱える地方の過疎化の問題や、中山間地の農業の現状を、負のスパイラルを深刻なのに深刻になりすぎずにユーモラスにあぶり出していることも魅力の一つです。


    ”無名は、無力と等しい。
    たとえそこがどんなにいい場所であっても、無名では人は来ないし、人が来なければ寂れていく。そして、寂れた集落からは若者が消え、若者が消えれば、過疎が一気に進んでしまうのだ。過疎が進めば、資金不足で宣伝力がいっそう弱まり、さらに加速度的に過疎が進んでいく”



    ひたすら無欲で無垢な主人公と、彼を助ける幼馴染たち。さらに、そんな彼らを温かく見守る村の人たち。
    ど田舎の過疎が進む限界集落で、そんな村を活性化させようと卵かけご飯の専門店を開業し、奮闘するこの物語は、地域活性化小説とでも、分類できそうです。



    主人公のムーさんや愉快な登場人物たちが知恵を出し合い、力を合わせる姿に心があたたかくなります。作品を包み込む雰囲気がなんともいえずよいです。




    作中あちこちに、心に書き留めておきたい言葉が語られるのも、森沢明夫作品の魅力のひとつです。
    本作も、”珠玉の森沢語録”で溢れていました。




    〜〜〜〜〜心に響いた言葉〜〜〜〜〜





    ”「いつだって雄鶏みてえに胸張って、頭を今より五度上に向けて歩けえ。たったそんだけで、未来はきっといい方向に変わっからよぉ」

    言われた通り、顔を五度上げて歩いてみると、不思議なことに、凹んでいたはずの気分が少しずつ明るくなっていく気がするのだった。
    もしかすると、人間という生き物の脳は、ただ少し顔を上向けるだけで「落ち込めないような仕組み」になっているのではないか”



    ”転がした卵とおんなじで、 自分のやったことは、いつかくるりと回って自分に返ってくるんだって。それが自然の摂理。 だから人に優しくすれば、いつか誰かに優しくされる し、暴力を振るえば、いつか痛い目にあうんだぁ”




    ”人間の心ってな、絶対に傷つかねんだってさ。
    自分では傷ついたと思っても、それはただ磨かれてるだけなんだって。人生いろいろって言ったけどもよ、そのいろいろってのは全部ヤスリなんだ。ヤスリってよ、ザラザラしてっ から、心をこすられれば痛てえべ?でもよ、それをぐっと我慢して、痛みを乗り越えれば、ヤスリで磨かれた心は、前よりもピッカピカになって、珠みてえに光り輝くんだって”




    ”何気なく道端に視線を落とすと、タンポポやホトケノザなどの雑草たちが花を咲かせていた。人々が当たり前に踏みつけている雑草たちも、よく見てやれば、一つひとつの形はとても神秘的で美しい。そもそも動物も植物も、それぞれが個性的かつ深淵な美をまとっているものだ。この世の全ての生き物は「命の器」として最適な形をしているのだから、美しくないわけがない。そして田舎は、そんな「美」の宝庫なのだ”




    ”財産を失うのは小さな痛手だけれど、勇気を失うのは人生を失うのと同じだってよ”



    ”失敗ってのは、道半ばで諦めた瞬間に、本当の失敗になっちまうもんだべ。成功するまで諦めなかったら、失敗は失敗でなくて、成功への階段なんだから”




    ”商売とは、お客様から大切なお金を頂く代わりに、その代金以上のサービスをして喜んで頂くことです。お客様に、ありがとうございました、と言うのは、お金をくれたことと、 サービスを喜んでくれたことの両方に対して言うのです。売る方も、買う方も、互いに幸せになる。それが商売の神髄です。神髄を無視した店では、私は働けません”




    ”仕事の内容などは瑣末なことであって、大切なのは、その仕事でどれだけ人に喜んでもらえるか、だということだ。そして常にそう考えてさえいれば、たとえ卵かけご飯の料理人であっても、お客さんからの「ごちそうさま」という言葉が沁みるし、自分の口から自然に出る「ありがとうございました」の本当の意味するところも噛み締められる。「ありがとうございました」という感謝の言葉は、「喜んでくれて、私も嬉しいです。ありがとうございます」なのだ。お客さんと自分は、喜びのキャッチボールを楽しむ間柄なのである”




    ”人間ってのはね、過去も未来も生きらんねえの。生きられんのは、一瞬のいまだけ。だから、いまこの瞬間を感謝の 気持ちで生きて、それを、ひたすらずっと続けていくだけ。 だって、それが幸せな人生を送るってことなんだから。
    それとね、いまこの瞬間にできることを精一杯やること。未来をよくする方法なんて、それしかねえんだからね。生きているうちに、やれることはぜーんぶやっておくんだよ。人間ってのはね、やって失敗したことよりも、やらなかったことに後悔するんだから”




    ”努力をした結果、それが実る人と実らない人がいるんではなくて、実るまで努力を続けた人と、実る前に努力を止めた人がいるだけなんだって”



    ”裕福と幸福ってのは、別もんだべ”




    ”都会と比べると、田舎は「なにもない」なんて言われるけど、でも、都会にないものならいくらでもあるのだ。都会と田舎、どちらがよくて、どちらが悪いのではなくて、どちらにあるものが、自分にとって心地いいか − 人は、その感覚を素直な心で感じ取って、あとは自由に選択して生きればいいのだ”



    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




    お仕事小説、地方再生小説、起業物語、田舎純情物語…

    本作には、そんな、ひとつのフレーズだけでは形容しきれない、さまざまな要素がふんだんに盛り込まれた、ハラハラドキドキとさせられながらも自然や人々の美しさ、たくましさ、愛おしさに心がとても温まります。

    大切な命をいただいているという実感。それを、「いただきます」という言葉が思い出させてくれる。毎日の食事は当たり前ではない。命の結晶をいただいているということを胸に大切に抱いて、今日も生きていこうと思える、そんな温かい物語でした。これからも何度も読み返したい一冊です。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.08

  • やんやん

    やんやん

    モノの考え方が人とちょっとズレてて、しかも、それがいつもハッピーな方にズレてる愛すべき主人公。そして、まわりのこれまた愛すべき人々の視点で、次々と話が進んでいくこ気味良さ。
    裕福と幸福は違う。あったかくなる作品。続きを読む

    投稿日:2023.11.09

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