【感想】革命とパンダ 日本人はなぜ中国のステレオタイプをつくりだすのか

張予思 / イースト・プレス
(2件のレビュー)

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ブクログレビュー

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  • whitesheep11

    whitesheep11

    今年は日中国交正常化50周年だ。




    日中共に冷めた反応だった。




    そんな中で読んだのが今回の本だ。




    「日本人はなぜ中国のステレオタイプをつくりだすのか」と疑問を投げかけているのは、東大大学院に留学して、卒業後、テレビ朝日の報道局に勤務する中国人だ。




    この本は2015年に発行された古本だが、今読んでも興味深い。




    日本のテレビニュースは「中学生が見てもわかる」ようなものを目ざしているのがほとんどだと指摘している。





    どうしても中国を含む外国に対する報道でステレオタイプにならざるを得ない。





    ステレオタイプは、日本でなくてもアメリカの日本に関する報道もステレオタイプなところがあるので、「ステレオタイプフリー」にはならない。





    「革命」と「パンダ」に注目すると、日本人が中国に対して抱く敵対心、好奇心、萌えなどが見えてくる。




    パンダに対する熱狂ぶりがわかるのは、1972年12月10日に行われた衆議院選挙だ。ちょうどこの年パンダの誘致成功が話題になった。




    パンダを各政党が大いにイメージアップに利用した。自民党はパンダバッジを作り、5日間で15万個が売れたそうだ。




    これからの日中関係はどうなっていくのか。「チャイナフリー」は、完全には無理でも距離を徐々に置いて行くのか、それともやっぱり中国だと前のめりになるのか。




    3期目の「くまのプーさん」とその周辺の対日政策に振り回されるのかな。




    日中友好という甘い言葉にだまされないように注意したいものだ。
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    投稿日:2022.12.15

  • qingxiu

    qingxiu

    現在日本と中国の関係は最悪の状態だが、かつて両国の間にはまったく逆の蜜月の時代があった。中国と日本の関係が最悪に向かうようになった2009年に来日した著者は、その蜜月の時代を「革命」と「パンダ」、そして「嫌中」の時代を「脅威」と「成金」ということばで要約する。それはいわゆるステレオタイプである。ステレオタイプということばを人は否定的にとらえるが、なにもなしに対象を認識することも難しい。だから、著者はそのことを否定はしない。しかし、そのステレオタイプで語られるものと実態が一致しているかはつねに検証する必要がある。たしかにぼくたちは1970年代の中国を「革命」ととらえたことがあった。それはいわば日本にないユートピアを中国に求めようとしたのである。「自己」と「他者」という対立の反映である。そして80年代は「パンダ」。パンダは平和の使者であり、みんなが熱狂した。著者はこうしたステレオタイプがどうしてできてきたのかを追究するとともに、そこを越える必要性を強調する。それはなにか。著者もそれについては語っていない。ぼくは、国と国ではなく人と人との地道な交流がその方法の一つだと思う。中国からは人がたくさん来るが、日本から行くのは営業マンばかり。この原因は中国のイメージが悪すぎるからで、中国自身が新たなイメージ、いいイメージ、新たな「ステレオタイプ」を打ち立てる必要がある。続きを読む

    投稿日:2016.02.27

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