ペスト

カミュ, 宮崎嶺雄 / 新潮文庫
(90件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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28
19
3
0
  • 2011年4月の読書メモより

    震災後の状況をこの作品になぞらえた文章をたまたま2つも別々に見つけた。そこで読んでみる事に。

    日常をむさぼっていた都市が、徐々に不条理な事態に直面する(徐々に、というのが地震と異なるが、原発や電力の問題が当初の予想を超えてエスカレートしていく様は少し似ていないか)様子を淡々と描く前半から、そのペストと言う事態の只中で、確たる希望もないまま闘う人物の姿が描きこまれていく後半へと盛り上がっていく。主人公のリウーやともに保健隊で働く仲間たちは、彼らを動かす原動力こそ違えど、ヒロイズムでなく平凡に自分の職務と思うところを果たしていく。世界は圧倒的な力で人間を打ち負かすことがあるが、それでも抗うことに人間の人間たる所以があるのだろう。

    しかし、フランス人が書いたせいか、60年の隔たりのせいか、翻訳と言うフィルターのせいか、単に趣味の問題か、どうもセリフや叙述がまだるっこしく思える(これでも簡潔な文体と訳者は言うが)。それに主題も、ボクにとってスッと腹に落ちるものなのだが、スっと落ちすぎて引っ掛かりが足りない感じ。読みきれていない部分もあるのだろうけれど。
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    投稿日:2017.03.12

ブクログレビュー

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  • NFCC図書館

    NFCC図書館

    アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。(e-honより)続きを読む

    投稿日:2019.07.08

  • 水琴桜花

    水琴桜花

    Q.あなたにとってペストとはなにか?

    A.際限なく続く敗北です。


    それでも治療を続けるリウーさん。かっこいい!

    投稿日:2019.07.07

  • きり

    きり

    このレビューはネタバレを含みます

    やっと読んだ。異邦人どまりのカミュ読者だとこんな文章の人だったっけと思うけど抑制を効かせつつ後半にかけて感情の昂まりが見事に表された筆致だった。閉鎖された街にはゲットーを思うし、バタバタ人が死んでいく状況を機械的に処理する毎日はナチス強制収容所から着想を得ているのだろう。

    ペスト蔓延、毎日の医師の奮闘、友が斃れていく日々、無垢な子供の無意味な苦しみ、その極限状態の果てに見出したもの、得たものがただ「知識と経験」のみだったというのはあまりに不条理で、それを今後も受け入れていくのはまた一種の地獄かもしれない。知らなかった頃には戻れないのだ。

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    投稿日:2019.06.15

  • nuhuaueo0

    nuhuaueo0

    読書会の課題本。ペストのパンデミックを描くことで、限界状況に置かれた人々を丹念に綴られている小説。世界滅亡をテーマにしたSFなどにも大きな影響を与えたことで有名。「自分が同じ状況に置かれたら、どうするだろう?」と想像しながら楽しめた。著者の戦争体験から想起された本作だが、近年に起きた災害の被災者に重ねて読むことも出来ると思う。続きを読む

    投稿日:2019.05.22

  • D-Rinn

    D-Rinn

    読むのに1ヶ月かけてしまったけど、読後感は充実。
    不条理の文学と言われる所以が感じられたし、想像よりも前向きな雰囲気の作品だった。
    一番共感できるのは、ランベールかな。

    投稿日:2019.04.29

  • okamegane

    okamegane

    今年は名作を読んでみよう(毎年思っているような気がする。。。)と思い、図書館で借りてみた。

    ペストが流行して隔離された市の中で、医者のリウーをはじめとした登場人物たちが格闘する。

    中盤、リウーやタルーが対ぺストのための医療・衛生組織を立ち上げた際に、それを当たり前のものと捉える事によって、人間の良性・可能性を肯定しようとする著者の記述を読んだ時、それまでは人間のネガティブな面をクローズアップし、それを肯定して弱者に寄り添うような小説を読む事が多かった気がするので、「おや?なんか真面目だぞ?」と少し違和感を覚えたものの、特にそれで集中力が途切れるような事もなかった。

    最後まで読んでみて、個人の幸福を追い求めるのではなく、医者としての職務を全うし、最終的には極度に理不尽で過酷な状況下での知識とは、死んでしまった大切な者たちの記憶と、今は存在する愛するものたちもいつかはいなくなってしまうという事を認識する事だととらえ、かつそれはペシミズムではないリウーや、死刑執行を見てしまった時から究極の理想を追い求めるタルーには、今の私とはかけ離れすぎている崇高さがあり、読んでいて情けなる思いだった。
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    投稿日:2019.03.06

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