ペスト

カミュ, 宮崎嶺雄 / 新潮文庫
(258件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
63
80
60
13
2
  • 2011年4月の読書メモより

    震災後の状況をこの作品になぞらえた文章をたまたま2つも別々に見つけた。そこで読んでみる事に。

    日常をむさぼっていた都市が、徐々に不条理な事態に直面する(徐々に、というのが地震と異なるが、原発や電力の問題が当初の予想を超えてエスカレートしていく様は少し似ていないか)様子を淡々と描く前半から、そのペストと言う事態の只中で、確たる希望もないまま闘う人物の姿が描きこまれていく後半へと盛り上がっていく。主人公のリウーやともに保健隊で働く仲間たちは、彼らを動かす原動力こそ違えど、ヒロイズムでなく平凡に自分の職務と思うところを果たしていく。世界は圧倒的な力で人間を打ち負かすことがあるが、それでも抗うことに人間の人間たる所以があるのだろう。

    しかし、フランス人が書いたせいか、60年の隔たりのせいか、翻訳と言うフィルターのせいか、単に趣味の問題か、どうもセリフや叙述がまだるっこしく思える(これでも簡潔な文体と訳者は言うが)。それに主題も、ボクにとってスッと腹に落ちるものなのだが、スっと落ちすぎて引っ掛かりが足りない感じ。読みきれていない部分もあるのだろうけれど。
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    投稿日:2017.03.12

ブクログレビュー

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  • samwo360

    samwo360

    新型コロナ下での閉塞した生活と重ね合わせて、カミュの代表作の一つを手に取った人が多いと思います。私もその一人ですが、若き日に「異邦人」を読んだ時とはまた違った印象で、何というか、「ペスト」が象徴しているものが何なのか、色々と問いの残る読後感でした。続きを読む

    投稿日:2021.02.15

  • 宇佐美毅

    宇佐美毅

    読むのに疲れたが、いろいろな人間心理が書いてあり、読み進めていくうちに一人一人のことが気になり、社会の様子描写もわかりやすく読み進められた。

    投稿日:2021.02.14

  • kimikokumiken

    kimikokumiken

    本箱から、取り出して来た1冊。
    平成21年6月20日 71刷の文庫本である。
    このコロナ禍で、この本の読者が、増えているとか・・・

    もう、数十年前に斜め読みしていたのだが、再度読み返してみて、カミュの不条理の哲学というものに触れた。

    ベルナール・ルウーが、階段口で、1匹の鼠に躓いたことから、発端である。
    小さな出来事が、大きな禍となって、町を覆っていく姿は、今、この世界の国々で、起こっている状態であろうと、思うと、今まで読んでいた時よりも、凄みが、強い。

    58頁の広東で、4万の鼠が、住民よりも先にペストで、死んだ。と書かれている。
    その1匹のネズミの長さが、30㎝として・・・四万匹を並べると、どれ位の長さになるか・・・迄考えている所なんて、悠長に書かれていると、思う。

    グランが、リウーに、ぎりぎりの場合、《しかし》と《そして》とどちらかを選ぶかという事は容易だが、《そして》と《それから》をどちらからすると難しくなり、《それから》《次に》になると、ますます難しくなる、と言う。
    ちょっとした、言葉の言い方なのだが、なるほど・・・と、思いながら、文章を印刷して発表するには、騒ぎが、終息した後では、何もならないのだけど。

    子供の病死の場面は、なんとも読みづらい。
    昔、斜め読みしたのも、この部分である。
    そして、書かれた時に、戦争の体験によって、死に対して考えが、違っている。
    この伝染病ペストは、殺戮のない戦いであると、そして、敵対的人物は、誰もいない。

    最後のペスト菌は決して死ぬことも消滅することも無いものであり・・・と書かれており、どこかの幸福な都市にかれらを死なせに差し向ける日が来るであろう。と・・・
    予言者の様な言葉で、締めくくられている所が、なんとも今の現代の様な気がしてならない。
    続きを読む

    投稿日:2021.02.10

  • bookaholic

    bookaholic

    去年のこのコロナ禍で人気が再燃した20世紀半ばに書かれたクラシック小説。遅ればせながらようやく読了。

    やっと読み終わった!いや〜大変だった。。
    けして読みやすくはない文体。回りくどいというか、10ページ読み進めるのも眠くなってなかなか時間がかかる。しかもその10ページ、読み飛ばしても内容を追うのに支障があまりなさそうなくらい物語の進展が遅い。遅いというか、すごく密に書き込まれてる。
    とにかくこれはすごく訓練になる読書体験だった。

    書かれてる内容は非常にリアルで読み応えがある。人々の不安や諦め、死への無気力、無関心、そして連帯感。まさに今このコロナ禍で僕たちが経験している心理とそう変わらないものが繰り広げられている。

    キャラクターも豊富で誰もが独立した人間として動いていて、舞台装置として配置されたようなキャラクターがほとんどいない。リウー、タルー、グラン、ランベール、パヌルー、コタール、オトン、、、皆それぞれ人間的な魅力がある。
    特に魅力的に思ったのはランベール。一番人間的な気がした。

    最終章で、舞台となったオラン市がペストに打ち勝った姿が描かれていた。現在の私達の世界も、早くこんな日が迎えられますように。
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    投稿日:2021.02.10

  • 関根雅泰

    関根雅泰

    ・ペストが、わが市民にもたらした最初のものは、つまり追放の状態であった。
    ・「ペストがあなた(リウー医師)にとって果たしてどういうものになるのか」「際限なく続く敗北です」
    ・「ここがずっと居心地が良くなったんです。ペストと一緒に暮らすようになってから」
    ・「ペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです」
    ・絶望に慣れることは、絶望そのものよりも、さらに悪いのである。
    ・「ペストが終わったらこうしよう、ペストが終わったらああしようなんて。彼らは自分でわざわざ生活を暗くしているんですよ。黙って平気でいればいいのに。」
    ・「現に見た通りのものを見てしまった今では、もう確かに僕はこの町の人間です、自分でそれを望もうと望むまいと。この事件は、われわれみんなに関係のあることなんです。」
    ・「誰でもめいめい自分のうちにペストを持っているんだ。なぜかと言えば誰一人、まったくこの世に誰一人、その病毒を免れているものはないからだ。」
    ・ペストと生のかけにおいて、およそ人間がかちうることのできたものは、それは知識と記憶であった。
    ・ペストが、その語の深い意味において、追放と別離であったことを物語っていたのである。
    ・ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり・・・
    ○最初、本を開くのが怖かったけど、読み終えてみたら、さわやかな読後感。人間賛歌の本なのかも。
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    投稿日:2021.02.08

  • fuyuu26

    fuyuu26

    医師リウーがペストと向き合う日常を淡々と、色鮮やかに描いた作品。友人のタルーと海に行くシーンが1番好きだ。

    リウーは仰向けになり、いちめん月と星影ばかりの空に逆さまに相対して、じっと身を動かさずにいた。彼はゆっくりと息を吸った。次いで、次第にますます明瞭に、夜の静寂と寂寥のなかで異様にはっきりした、水を打つ音を聞きとった。

    非日常に塗りつぶされていく中で、日常の美しさを感じとることができるのはどうしてだろう。忘れがちな大切なものを昔の本の中から見つけ出すことができた。
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    投稿日:2021.02.06

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