【感想】白い牙

ジャック・ロンドン, 白石佑光 / 新潮文庫
(26件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • アマネ

    アマネ

    長年の積読だったが旅行を機に一気に読了。狼じゃないのによくここまで狼視点で書けるものだと感心しました。ジャックロンドン結構好きかもしれない

    投稿日:2023.12.30

  • bukurose

    bukurose

    犬が4分の1混じった狼犬「白い牙」。最初は自然の中に暮らしていたが、やがて橇犬に、そして闘犬にさせられてしまう。その苦難がなんとも激烈で息苦しくなってくる。「野生の呼び声」がやはり橇犬からやがて大自然へと回帰していくのとは対照的だ、解放感と収束感ともとれる。

    同じカナダ北部を舞台にしながら、ちょっとした運命の岐路で大きく違ってくる人生(犬生!) 犬ではあるが犬それ自体を見る時は擬人化してみて、がんばれ、と応援している。ただやっぱり、人間は「神」、犬は命令する者が必要、といった記述からは、やっぱり我々は人間であって、いくら犬が主人公であれ、人間を通した犬人生しか描けないよなあ、という気がした。犬から見た橇引人や金鉱掘り人や、酒場に集うよたものたち、先住民たち、といった人間描写が鋭い。

    また犬橇の犬の引き方が扇形と直線型があり、扇形の先頭犬は後の犬から追われるという立場、直線型の先頭犬は後の犬をコントロールする役目があり主導犬。「白い牙」はとちらも経験するのだが、この違いがおもしろかった。「荒野の呼び声」では直線型しか出てこない。先頭の先導犬になることが、犬集団のリーダーになることで犬のプライドをここで描いていた。

    この「白い牙」も「荒野の呼び声」と同時期に読んだ気がしていたのだが、まったく内容は覚えていなかった。「白い牙」の方が人間社会への皮肉を感じた。「荒野の呼び声」は大自然へ帰る、と言う解放感の気持ちよさが勝っている。


    1906年発表
    1958.11.10発行 1982.9.20第31刷 図書館
    続きを読む

    投稿日:2021.10.01

  • flounder532002

    flounder532002

    小学生で読んだ本。最後の方で内容を思い出した。犬との混血のオオカミの一生。生まれて以来の厳しい環境とオオカミの本能がキャラクターを築いていった。一部の人より厚い義。飼い主に左右される運命。人に関わる動物の悲哀。2020.9.6続きを読む

    投稿日:2020.09.06

  • 酒井高太郎sakaikotaro

    酒井高太郎sakaikotaro

    (01)
    野生と人間との間にはいつも葛藤があって,それがこじれたり決裂したりすれば,殺し合いにもなる.人間が狼を見続けてきたように,狼もまた人間を見続けてきた.人が狼に畏敬の念を抱く可能性があるとすれば,狼もまた,人を神のように感じとる可能性も同時にありうる.
    しかし,本書は人間が書いたものであって,狼や犬が書いたものではない.よって,狼の眼を通して,異種の人間と神と同族の狼や犬を見て,その体験を綴った小説といえる.そこに描かれているのは,狼でありつつ,狼的な人間や,人間のうちにある野生であり,神は,人間でありつつ,人間のうちにある神とその世界(*02)でもある.
    白い牙,ことホワイト・ファングには野生が宿っているが,遠い犬の性質を通して,既に理性の芽生えがあり,その理性がいかに人間の手によって育成され,神に近づきうるかを,その半生と出生譚を通じて体現している.
    暴力もあり,恐怖もある.心の寛さがあり,魂の飢えもある.狼は言葉をもたないが,持たないがゆえの豊潤で野生的な感覚と応対がある.
    人間の魂が入ったような白い牙には,狼がのりうつったかのような著者の入魂を読み取ることができる.

    (02)
    狼はひたすらに純粋でもある.そのため,人間社会が奇妙に,さもしく,汚れた精神に彩られていることの対比が美しい.冒頭のヘンリの物語が,ぎりぎりの人間を,つまりは動物になり,肉になりつつある純粋な人間を現し,エピローグともいえる終盤の章では,それでも人間社会の希望を描こうとしている.
    続きを読む

    投稿日:2019.12.01

  • embooks

    embooks

    white fang

    生きる力強さ、過酷さ、美しを狼を通して感じることができた。
    初めて神の優しさに触れる場面は鳥肌ものだった。

    投稿日:2018.09.29

  • icesugar

    icesugar

     犬が主人公であるこの作品を取った時、犬がしゃべるのかな、と何故だが思って読み始めました。そんなことはありませんでした。
     印象に残ったのは、日々生きるために獲物を追い続ける狼たちの日々。人間にしてみると死なないために生きる時間の多くを食料探しに追われ、食料にありついてもまた次の食料を……、何て人生は辛すぎますが、野生の動物にとっては当たり前のことだと気づかされたことです。続きを読む

    投稿日:2017.04.09

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