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菅野彰, 珂弐之ニカ / ディアプラス文庫 (1件のレビュー)
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総合評価:
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K
このレビューはネタバレを含みます
▼あらすじ NYで恋人・幸也とともに探偵事務所を開業したカイルのもとに舞い込んだ依頼は、愛した女の遺骨を葬る場所を探して欲しいというもので・・・。 *** 表紙の雰囲気とあらすじに惹かれて購入しましたが、期待以上に面白い作品でした。 ただ一つ、非常に吃驚したのは、私はこの作品をあとがきを読むまで海外の作家さんが書いた作品だと思い込んでいたこと!!(笑) 表紙の雰囲気と本の厚さ、そして何よりNYを舞台にした説得力のあるミステリー調のストーリーと翻訳本にありがちな癖のある文章に見事なまでに騙されてしまいました…(作者の部分を良く見ろよっていう…笑) そして更にこの作品が20年前に作られたお話だと知って更に吃驚。 でも古さは殆ど感じないので、そう言う意味で言ったら読みやすいです。 ただ、文章自体は先述した通り多少、癖があるので読み辛さを感じる部分もある事にはあるのですが、それでも翻訳本と間違えてたくらいなので、海外を舞台にしたBL作品の中ではかなりレベルが高い方だと思います。 登場人物の心理描写も丁寧に描かれている為、感情移入しやすいですし、エロはあっさりめですが、それでもストーリーがしっかりしているので不満に思う事もなく個人的にはかなり楽しめた作品の一つです。 でも、唯一不満を挙げるとすればカイル(攻め)と幸也(受け)が恋人なのに最後の最後まで「好き」とか「愛してる」といった言葉を交わさなかった事かな。 二人とも闇を抱えた臆病者(特に幸也)なので、騙し騙し付き合っているというか、いつ二人の関係が終わりになっても不思議じゃない危うさが常に漂ってて見ていて非常に不安になるんですね。お互い好きなのに本心を隠して付き合うもんだから何ともじれったく、カイルなんて何度も「愛してる」と言いかけては言葉を飲み込むんです。それがもう堪らない。 作者さんがあとがきで「今ならカイルは幸也にプロポーズして、その瞬間に幸也はカイルの前からいなくなる」と仰っているように、幸也はそういうやつなんです。それこそ「ちょっと飲み物買ってくる」とか言ってひっそりと姿を消す、そういう男なんです幸也は…!!(笑) 好きなのに好きと言えない、踏み込みたいのに踏み込めない、この攻めと受けの微妙な関係がこの作品の良さであるとも思いますし、これはこれでバランスが取れていて良い気もするのですが、やっぱり最後にもう少し分かりやすい形のラブがあって欲しかったな〜というのが本音です。 焦れったかったり辛気臭かったりする作品が苦手な方にはあまりお勧め出来ませんが、海外を舞台にした作品や心理描写やストーリーに重きを置いた作品が好きな方には凄くお勧めしたい作品。 しかも作者さんがこの二人をもう少し幸せにしてあげたいとの事で来年辺りに続編(!)を書いてくださるようなので今からとても楽しみです。(因みにSSペーパーでは少しだけ素直な幸也が見られます♡) 評価は★4.5と迷いましたが、続編への期待を込めて★5で!
投稿日:2016.12.21
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