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ブレント・シュレンダー, リック・テッツェリ, 井口耕二 / 日本経済新聞出版 (4件のレビュー)
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総合評価:
ABAKAHEMP
シェークスピア作品を地で行くドラマチックな人生
ゲイツは、"ジョブズ式経営"などというものは絶対にまねすべきではなく、彼のようになりたいという人は大抵、「半分天才・半分くそ野郎」の後者の方だけまねて終わるんだと語っている。 元フォーチュン記者で、…友人として家族ぐるみのつきあいのあった著者は、すでに公式伝記本を含め語り尽くされた感のある人物像に異を唱え、シェークスピア作品を地で行くドラマチックな人生をいま一度掘り下げ、読む者の心を打つ作品に仕上げている。 とにかく矛盾の塊のような男で、著者はまずジョブズがもつ二つの側面に注目している。 すさまじばかりの自信家で、人を見下す傲岸不遜な態度をとる一方で、向上心が強く、自らの足らざる部分への内省を欠かさない男。 人の役に立ちたいと思いつつも、周りの人間をバカにする。 「慈善事業を支援したいという気持ちはあるが、そのような活動につきものの非効率性は大嫌い。仏教に帰依しつつ、資本主義に傾倒している。かたくなだが学びの意欲は強い。席を蹴って出ていったかと思えば戻って謝罪したりする」。 アップルを率いた初期の頃は、文字通りの「半分天才で半分くそ野郎」だった時代で、信奉者と同時に多くの敵を作り、会社を追い出される。 その後の見事な返り咲きとアップルの驚くべき再生の影には、彼が抱えていた矛盾を、追放後のいわゆる「荒野の時代」と呼ばれる時期に獲得した術で、押さえ込んだことにあると著者は語る。 「欠点はなくならなかったし、優れた別の気質に変化したわけでもない。ただ、自分をコントロールする術を学んだ。自分の才能に混じる毒気をコントロールし、人当たりの悪さをコントロールする術を学んだのだ」。 私は、最後まで彼の欠点はなくならなかったというのは同意だが、必ずしもそのコントロールが自発的なものだったかは疑問だというのが、本書を読んだ感想だ。 負の部分のコントロールは、内発的に行なわれたというより、周りの人たちや環境によって半ば強制的に行われたのではないか。 その証拠に復活のきっかけとなった荒野の時代のNextでも、ジョブズはまだ自分の弱みに気づくことができていない。 優先順位付けが苦手で、本質と本質でないことの区別ができず、CEO失格の烙印を押される。 変化のきっかけは、ローリーンという伴侶を得たこと、技術を搾りとってNextに持っていこうとしたピクサーで大いなる学びを手にしたこと、アップルの部下たちの方が彼をうまく御したこと、そして癌になったことが大きい。 ピクサーにおける学びが本書の後半の読みどころの一つ。そこで出会ったキャットムルらとの親交を深め、『トイ・ストーリー』の制作過程ではスタッフの面々に刺激を受け、他の人の才能を認めるようになった。 「ここはまた、スティーブが消費者技術の事業について学ぶ場所、アップルやNeXTよりも多くを学ぶ場所になっていく。そして、スティーブは、強みをふたつ手に入れる。逼迫から反撃する力と、イノベーションを目いっぱい活用し、そうすることである分野において先頭に立つ力だ。追いつめられたときにがまんして反撃する力と、ひらけたところを全速力で駆けぬける力といってもいいだろう。ピクサーは、また、経営という意味では、マイクロマネージメントをやめ、才能ある人々に裁量権を与えたほうがいい場合もあると学ぶ場所にもなる。もちろん、ゆっくりとだったし、不承不承だったし、みずからの衝動に反して学んだわけだが」。続きを読む
投稿日:2017.12.07
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だいち
ジョブズのアップル立ち上げから再復活までが記載されていた。初めから超一流の人物であったわけではなく、人との関わりの中から時間をかけてリーダーとしての自分の道を見つけて行った。初めから一流?ではあったわ…けだけど。 突然成功がやってくるわけではなく、リーダーとしての素養が元々備わっているわけではなく、模索しながら生きていく中で多く失敗も経験、成功を掴み成長していくとわかった。 自分にはそこまでやれそうにはない。成功を求めず、できる範囲で何ができるか、謙虚に取り組んででいきたい。成功や地位や栄誉を求めるのはやめよう。彼らのように時代を築く人は限られている。責任感と溢れ出る意欲が必要だ。いずれ、自分もそれがやりたいと思うことがあれば、その時だと思って引き受けていきたい。今はとりあえず、何もない。幸せに生きよう。続きを読む
投稿日:2018.11.29
nagaramaru
今まで書かれなかったジョブスの伝記という触れ込みだが、そうか?と思う。当たり前だがあまりり本筋は変わらない。ただデティール小話は知らないことが多く、サイドストーリーとして面白い。ビル・ゲイツとは意外な…仲が良かったとか。 なんにしても私のようにコンピューターとともに育ち、ITを生業にするものには英雄伝説のひとつ。面白くないわけがない続きを読む
投稿日:2017.03.05
すぎもったん
フォーチュン誌の記者である著者が長年の取材等の付き合いからのスティーブ・ジョブズについて描いた作品の前編。 本書ではジョブズの出生からアップルの創設と解任、NeXTとピクサーでの日々とアップル復帰ま…でが描かれています。 公式自伝にはない著者目線でのジョブズ像からの考察が多くあり、新たな発見も多くありました。 著者を交えてのマイクロソフト社のビル・ゲイツとのやり取りの場面は刺激的な印象を受けました。 経営者のカリスマとして、イノベーターとして世間から評価されているジョブズですが、NeXT社での失敗やピクサーでのジョン・ラセターやエド・キャットムルとの出会いがその後のアップルでの活躍に大きく貢献したところも印象に残りました。 また、本書を読んでジョブズがNeXT社で目指したオープンコーポレーションの難しさやアップルの元CEOのアメリオの穴の話なども印象に残りました。 公式自伝や映画など様々な形で生前や死後描かれてきたジョブズのイメージにまた新しい一面が加わった一冊でした。続きを読む
投稿日:2017.01.26
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