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ヤーコプ・ブルクハルト, 新井靖一 / ちくま学芸文庫 (2件のレビュー)
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obanyan0109
著者がバーゼル大学で行った講義を元に、甥のエーリがそれを編集しなおしたもの。講義録というせいか、非常に読みにくく、読了するのにもかなり時間がかかってしまった。 ブルクハルトは歴史を推進させる三つの潜…在力(ポテンツ)を国家・文化・宗教とし、それぞれがそれぞれに影響を与える状態というものを考察する。(例えば国家によって制約を受ける文化、文化によって制約を受ける国家…)その後、歴史における危機(4章)についてや歴史上の偉大さ(5章)などの考察を行っている。「長期にわたる平和は無気力を生み出すだけでなく、見るも哀れな、不安に満ちた多数の窮迫した人たちの発生を許す」(281貢)として歴史上の危機を賛美する節も見受けられる。 個人的に印象に残ったのは、ブルクハルトの権力観、すなわち「権力はそれ自体悪である」としながらも、文化の成長には権力によって保障された地盤が必要不可欠である、という考え方である。権力が内包するこの2つの相反する要素が歴史を推進させる活力になる、というのは非常に印象的であった。続きを読む
投稿日:2011.03.27
zimazima
スイスの美術史家・文化史家であるブルクハルトが1868‐1872年の間に行ったバーゼル大学での講義を纏めた一書。普仏戦争などが起きナショナリズムが台頭する時代背景の中にてヨーロッパの国家、宗教、伝統文…化についての考察を展開する。 「世界精神の理性的で必然的な歩み」に代表される歴史が一つの理念によって動かされるというヘーゲル的な歴史観、歴史哲学を批判し「知覚されたもの」「歴史を横切る横断面」を中心とした多元性を教示する。 さらに歴史を変転させるのは潜在力となる国家と宗教と文化による相互作用であり、発展における新しい節としての「危機」だと説く。 産業革命による資本経済の形成と台頭するナショナリズムの芽生えの中で歴史考察を成したものではこれ以上ないものだと思う。続きを読む
投稿日:2010.07.09
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