【感想】狐笛のかなた

上橋菜穂子 / 新潮文庫
(371件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
149
134
52
3
1
  • いっぱいの匂い、香り、臭い、肌に直に感じるくらいに沸き立っています。

    『ふところに飛び込む』って、お互いが相手のことを信頼して守ってあげたいとか、好きだ、なんてことがない限りできるものではありません。
    なのにそれが躊躇なく突然できてしまったのです。それが始まりでした。
    『この子らは、蜘蛛の巣の、細い糸の先でふるえている透きとおった水の玉のようだ。』
    小夜と野火そして小春丸は、怨み、憎しみ、哀しみがもつれてしまっている糸玉の真っ只中に置かれることに。
    丁寧に描かれた情景、木の葉一枚一枚までもが、瑞々しいタッチで伝わってくる大自然の中で、
    四季の移ろいに合わせた人々の生活もまた、生気に満ちていて、この物語の世界観を大きく膨らませることができました。
    ふたたび小夜の懐にいだかれた野火は・・・。
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    投稿日:2016.06.15

  • 人間の業について考えさせられる

    善悪がはっきり別れてはいません。
    ある人にとっては悪人が、見方を変えれば被害者になる。ただ人間の業について深く考えさせられるお話しです。

    最後は悲しい終わりとも幸せな終わりとも取れます。人それぞれ色々な感じ方があるでしょう。私は幸せな終わりだと思いました。

    皆さんも是非、ご自分で読んで感じてみてください。
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    投稿日:2016.03.08

  • 神の使い

    かつては神の使いだったが,今は武家間の政略の道具と成り下がった霊狐。霊狐の住むこの世と神の世の〈あわい〉を幼いときに経験した娘 小夜が運命に飲み込まれて行く。
    ファンタジーではあるのですが,人の世の争いの本質やそれに翻弄される善良な人達が描かれています。ただ,重苦しいばかりでなく,最後は・・・。
    上橋さん特有の世界感や絶望的な中でのかすかな希望が今回も良く描かれています。
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    投稿日:2018.02.26

ブクログレビュー

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  • Mu

    Mu

    再読 
    巨大なファンタジー群を持つ上橋さんには珍しく独立した和風ファンタジー。
    けれどいかにも上橋さんらしい、大きな存在(国家間の争いとか)に翻弄される主人公たちが、なにを選び、どう生きていくかを描いた物語。

    ラノベ脳的には途中、小夜と野火と小春丸との三角関係になるのかなと思うのだけどそんなことはなく(^^)、
    これは小夜と野火の純愛物語なのだ。
    自分を捨ててでも相手を助けたい。その想いは、終始物語の底に佇む暗い死のイメージの中でひと光の輝きを放っている。

    ラストがまたいかにも上橋さんらしい。
    手放しのハッピーエンドでもなく、かと言ってバッドエンドでもない。
    幸せの中にある彼女らを見る時、読者もまた癒やされるのだ。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.15

  • もー

    もー

    このレビューはネタバレを含みます

    何作目かの上橋作品。
    これまでの作品がどれも優しく良質であったので、もうフラットな心では手に取ることが出来ない。どうしても面白い作品を期待してしまう。

    この作品も読み始めからしっかり心を掴んでくる内容になっている。
    多くの上橋作品の根底に共通する世界観(穏やかで自然豊かな非西洋(アジア・オセアニアやアメリカ)の中世風な世界)を持ちながら、それぞれが独特の個性を持ち魅力的な世界。
    優しく、時に強く、親しみやすいのにこちらも個性的で引き込まれる(そしてイライラしない!)キャラクター達。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.02

  • おすし

    おすし

    設定を理解するのに時間がかかってしまった。

    登場人物たちの気持ちの変化が安直だと感じた。
    児童文学として読むのであれば、ある意味わかりやすいのかもしれない。

    投稿日:2024.03.22

  • なそ

    なそ

    和製ファンタジー。随所に日本らしさを感じる世界観で、守り人シリーズと同様にクオリティの高い作品であることに間違いはない。特に人と動物を峻別して考えないという感性には、ノスタルジーを感じて良かった。ただ、やはり好みで言うと、洋物のファンタジーの方が自分は魅力を感じる。理由はまだわからないが、おそらく日本文化と独特のある種の閉鎖的な世界観にワクワクしないのかもしれない。自分はもっとダイナミックで開放的な世界観が、少し抽象的ではあるが、好みである気がする。続きを読む

    投稿日:2024.01.27

  • ひろち

    ひろち

    美しい物語だった。ファンタジーそのもの。
    読み終えて心がきれいになった気がします。、
    一冊完結だけど、もっと知りたい。

    投稿日:2023.12.04

  • makaon

    makaon

    買った覚えがないけど家にあった。
    初めての作家さん。
    児童文学、ファンタジー系の作家さんらしく。
    面白かった!
    霊狐だったり、心が読めたり、中国のフュージョン時代劇な感じ。ドラマ化して欲しい!
    小夜と野火がせつないけど、ハッピーエンドで良かった。
    結末は満足だけど、続編も期待してしまう名残があるし、小春丸ももっと見たい。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.29

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