【感想】心理学の名著30

サトウタツヤ / ちくま新書
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • キじばと。。

    キじばと。。

    心理学の重要著作30冊を紹介している本です。

    ジェイムズの『心理学について』やフロイトの『精神分析入門』などの古典的な著作から、ダマシオの『デカルトの誤り』やトマセロの『コミュニケーションの起源を探る』などのあたらしい本まで紹介されています。ただし、それらの本がただ羅列されているのではなく、「あとがき」で「それぞれの本の著者である心理学者の研究の背景がわかるように心理学史的な叙述を行った」と著者が述べているように、心理学の展開についての説明が比較的ていねいになされているところに、心理学史についての著作もある著者ならではの手腕が発揮されているように感じました。

    著者は「はじめに」で、「動物界の一員としての「ヒト」の心理」「発達・成長する存在としての「ひと」の心理」「社会を作り、社会で生きていく「人」の心理」という、心理学があつかう三つの側面を区別し、それぞれが「認知・行動」「発達」「社会」という領域をかたちづくっていると述べています。さらにこの三つの領域にくわえて、「経済、文化、法への展開」を示す「展開」の領域を設けて、それぞれの代表的な著作を紹介することで、心理学の全体像を示そうとしています。

    著者自身の心理学の見かたが反映された見取り図ではあるものの、心理学の全体像を概観することができるという意味で、本書は優れた心理学の入門書といってよいのではないかと思います。
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    投稿日:2023.03.26

  • 仲嶺真

    仲嶺真



    心理学には名著が少ない(p.282)。そのなかでの30冊は以下の観点で選ばれている。
    
    ・本当の名著
    ・講演録や論文集
    ・心理学の学説史上,重要な論点を提出した心理学者の著書
    
    この基準を用いると100冊弱は紹介することになってしまうらしいので,「ヒト」「ひと」「人」という3側面の心理についてそれぞれ10冊ずつ選定されている。
    
    ヒトの心理とは動物界の一員としてのヒトの心理,ひとの心理とは発達・成長する存在としてのひとの心理,人の心理とは社会を作り,社会で生きていく人の心理である。
    
    以上の方針に基づき30冊が選ばれた。ただし,本書は著書そのものを紹介するというよりも,著書(あるいは著者)にまつわる心理学の観点からみた歴史を紹介している。そのため,心理学についてある程度知識がないと楽しく読めないであろうと思われる。心理学についてある程度知っている人(大学生で言えば3年生〜4年生くらい)向けの本であろう。
    
    ただ,まえがきで記される心理学の分類については初学者でも参考になる。その分類とは簡単に言えば,上記の3側面(「ヒト」「ひと」「人」)に,心理学の3つの志向性を掛け合わせた9分類で心理学を捉えようとするものである。詳細は本書にて確認してほしい。
    
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    投稿日:2020.01.27

  • starkirari

    starkirari

    無駄な文も多いが、フランクで読みやすい。心理学の各領域の分類、関連については、教科書よりも分かりやすい。

    投稿日:2018.06.10

  • asovicocoro

    asovicocoro

    去年読んだときはかなり難しく感じ、意図的に難しく書いているのでは?とさえ思ったが、今読むとそれが勘違いだったと分かる。これは心理学中級者向けの本だと思う。去年の秋に心理学検定1級を取得し、基本的な用語を理解した今では難なく読むことができ、さらにキーワード間の論理や物語を保管できたという点で有用だった。今後も読み返すと思う。続きを読む

    投稿日:2017.04.01

  • mi832005

    mi832005

    3(領域:認知・行動,発達,社会)×3(基本・臨床・発展)の9カテゴリで30冊を紹介。名前は知っているけど通読したことない本もたくさん。臨床のあたりは教科書のさらっとした記述だけ読んで上っ面しか見てなかったんだなーと気付かされること多々あり。専門の人間としては30冊ちゃんと全部読むべきところか。せめて社会領域は読んでおかないといかんかな。続きを読む

    投稿日:2015.12.16

  • kurodama

    kurodama

     人のこころ。心理学のなかでも、議論となる名著を厳選して解説。動物界の一員としてのヒトの研究、ひとの心理学は意味を構成しながら人生を歩んでいくひとの研究、人の心理学は社会を作り、そのあり方を問う。
     音や数字に色がついて見える。認知の多様性。デカルトの我思う故に我あり、心身二元論。
    正義は断じるもの、倫理は抱え続けるもの、道徳はしつけられたもの。正義の反対はもう1つの正義となる。悪では無い点には注意。逆から見たらすぐに分かる。主体として考え、行動することが大切だ。
    ブルーナーのコインの実験。裕福な子と貧困の子で同じコインを見ても、貧困の子の方がコインが大きく見えているという。価値、意味がひとによって異なるという実証である。
    そして、マズローの心理学。生理的、安全、所属と愛、承認、自己実現という五段階の欲求があり、高い精神的な欲求に進んでいく過程をピラミッドで表した。
     カルトについてはフィスティンガーの研究、ノストラダムスの予言は外れたが、むしろのめり込んだ人の多くは財をつぎ込んでいて、都合よく解釈する。カルト入信もまた、犠牲を伴う分都合よく解釈していった結果と。宗教なんて、まさにそれよと心理学では分析している。問題になるから、暗にだけど。
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    投稿日:2015.11.29

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