【感想】想像ラジオ

いとうせいこう / 河出文庫
(192件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
34
60
50
21
10
  • 想い続けることが成す事は?

     題名で軽いと思って読んだら、相当、真摯なテーマ。
     東日本大震災をきっかけとした、死と生に真正面から向き合います。でも悲しみや苦しみを前面に出したり、生きている人が死んだ人を無理に振り切るのような内容ではありません。
    「忘れないこと」・・・というか「想い続ける」こと(それが想像ラジオ)により、「人の思いがあふれる社会」ができるのではないかという、一つの側面を考えさせてくれます。もちろんアンチテーゼ的な意見も示されますので一方的な話ではありません。 しっかりと体勢を整えてから読むとよいと思います。
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    投稿日:2015.04.22

  • 僕も 内容を知らないまま「想像」しながら読んでほしい。

     ネタバレしないように、人に勧めるのは非常に難しいけれど、
    多くの視点、意見が、混ざっていて、その多く混ざった中から自分たちの意見を出そう。
    とする、そんな内容なのかもしれない。
    意見を言い切りにくい、議論をしても答えがなかなかみつからない事なんだけど、ホントはなるべく先送りにしてはいけない、そんな内容のこと。自分なりに考えて、自分なりに意見をいえるようになる本です。
    皆に読んでもらいたい大事な本です。
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    投稿日:2013.10.05

  • 固くなった心をじんわり溶かしてくれるような感覚

    「想ー像ーラジオー」と始めは軽快な気持ちで読み進めていたが、
    章を追うごとに胸の奥が締め付けられることに気が付いた。
    震災のことをどこか遠くに感じていた自分、逆に震災があったからこそ神経質になっていた自分、そういう自分の気持ちをじんわりと和らげてくれるような作品だった。
    いろんな人の代弁作品であることは間違いない。忘れてはならない。
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    投稿日:2014.02.03

  • いとうせいこうのまなざし

    その昔、いとうせいこうが『ノーライフキング』という小説を書いた時、そしてその小説を読んだ時の衝撃は今も色褪せず僕の中に残っている。
    めったに再読などしない僕が再読した小説のひとつだったが、そのいとうせいこうも小説を書かなくなって久しい。ちょっと残念な気もしつつも、小説を書くということだけが本業の人ではないので、小説を書かないのもしかたないなあと思っていた。
    そしたら、この本がいきなり出た。
    僕は3.11という風に書くのが嫌いなので日付で書くけれども、2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震に触発されたらしい。
    五章で構成された物語で、最初は想像を通して聞こえるラジオ放送という形でDJの語りから始まる。
    放送局があるわけでもなく、DJ自身もいきなり想像を通して伝わるラジオ放送を始めるうえに、彼自身も身動きがとれない状況にあるらしい。そんな状況が徐々に判明し始めるのだが、何が起こったのかは早い段階で想像がつくし、またその答えも早い段階で明らかにされる。
    DJアークは地震によって起こった津波に巻き込まれ亡くなり、そして彼の遺体は高い高い杉の木の上に引っかかったまま。そして彼が放送する想像ラジオを聴くことのできる人たちもまた、すでに亡くなった人たちなのだ。もちろんわずかな例外もあるのだけれども、これは死者の死者による死者のためのラジオ放送だ。
    『ノーライフキング』でいとうせいこうが見せた先進性というものはここには無いのだけれども、でも、いとうせいこうのまなざしはあの時と全然変わっていない。
    満足できたかといえば、満足できなかったのだけれども、それでもあの時と変わっていなかった部分に対しては満足することができた。
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    投稿日:2013.09.27

  • 事前に内容を聞かずに読んでください

    想像するだけで聴こえてくるラジオ、このシチュエーションを理解できないまま、どこかユーモラスなDJアークに引き込まれ、少しずつ全体像が見えてき、最後は見事な着地を見せる。
    帰結の部分で共感できるかどうかは意見の分かれるところ。
    作中出てくるアントニオ・カルロス・ジョビンの「三月の水」を想像で聞きながら読んでみては?
    続きを読む

    投稿日:2013.09.25

  • 芥川賞の候補にもなった作品です

    いとうせいこうさんはきびしい人だと思います。でも、とても優しい。

    投稿日:2013.11.25

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ブクログレビュー

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  • ブイ友

    ブイ友

    読む前は、ささくれ立っていた心が、どことなく落ち着いた。落ち着いたというか、整理整頓がなされて、次の目的地へ向かう準備ができた。

    投稿日:2024.03.17

  • summer

    summer

    文体が独特で、抽象的な設定にも正直かなり苦戦しました。センシティブなテーマなだけに、解釈も慎重になりますます時間がかかる。最後の解説まで読んでから振り返ってみたら、情緒的な深さはあったのかな…。純文っぽさがあるわけでもないし、どう読もうか定まらないまま進んでいってる感が強かったです。
    星野さんの解説に助けてもらって、なんとか著者の伝えたかったことを理解しました。
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    投稿日:2024.02.15

  • アラエッサ

    アラエッサ

    このレビューはネタバレを含みます

    導入はとても良く、すんなりDJアークのラジオとして話に入り込めてラジオトークも面白かったのだが、ボランティアに来た人間が私にもラジオっぽいものが聞こえる〜というその人達のやりとりだったか、テンポが悪く感じた。後書きを読むに、現代の人が過去の被災者らにもっと寄り添っても良いんだよ、というメッセージを込めたらしいが、少し分かりにくかった。
    その後、リスナー達との中継や、DJアークの家族とのやりとりなど、重い内容ではあるもののユーモアがあり面白かった。


    「そうそう、ふたつでひとつ。だから生きている僕は亡くなった君のことをしじゅう思いながら人生を送っていくし、亡くなっている君は生きている僕からの呼びかけをもとに存在して、僕を通して考える。そして一緒に未来を作る。死者を抱きしめるどころか、死者と生者が抱きしめあっていくんだ。さて、僕は狂っているのかな?〜」p147

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.12.23

  • モトネド

    モトネド

    いとうせいこうさんとタイトルからカブカルチャー的な不思議なラジオの話かと思いきや、ある意味不思議な話なんですが、根底にあるのは生と死、東日本大震災についてのヘビーなネタでした
    ストーリーも特にあるわけでもなく、よく分からない設定の仮想ラジオで死者が語り続けて、途中に震災ボランティアの話がこれまたよく分からない感じで差し込まれて語られるので、深く入り込む様な小説では無いと思います

    特に感動も興奮も感じられず、もしかすると実は深い哲学的な話かもしれないのですが、理解はできませんでした
    おそらく芥川賞系なんでしょうね
    続きを読む

    投稿日:2023.12.04

  • 霙

    まるで本当にDJアークの語りが聞こえるかのように、作中の音楽を実際に流しながら、自由に読ませてもらいました。

    想像することで死者との時間は流れる。
    最後は湧き上がるような興奮と寂しさが感じられた。

    投稿日:2023.09.26

  • redking

    redking

    設定は素晴らしい。にも関わらず、没頭出来ないまま読み切った。文体を好まない?シチュエーションを理解し切れていない?
    読み手の問題だが、はまらなかったとしか言えない。

    投稿日:2023.06.25

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