【感想】最澄と空海(小学館文庫)

梅原猛 / 小学館文庫
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Mkengar

    Mkengar

    梅原氏が書かれた天台宗の本覚思想についての本や、空海の思想に関する本は別々に読んでいたのですが、本書は、最澄と空海を対比している本、ということでとても興味深く拝読しました。最澄と空海は平安時代に生きた日本仏教の二大巨頭で、この二人の交流関係自体もドラマになりそうな波乱の展開を見せます。

    私自身、それぞれの教え(天台宗、真言宗)についての基礎知識はあったのですが、梅原氏の明快な解説で理解がさらに深まった気がします。そして本書の最大の特徴は、題名にもあるように両者の対比です。本書を通じて感じたのは、当たり前かもしれませんが、両者には共通点もあれば相違点もあること。共通点は、例えば山岳への想い(梅原氏によれば山にこもる動機は異なりますが、いずれにせよ山岳仏教を切り開いたこと)。これによって日本古来の神様と外来の仏教が融合し、山川草木悉皆成仏のような思想が生まれたことです。また何より二人の共通点は、衆生済度、つまりいかにしてより多くの人を救いたいかという強烈な想いではないでしょうか。空海という人は、まさに大日如来と合一された存在のようで、見方によっては非人間的(非感情的)な印象も受けるのですが、こと衆生済度については最澄と同じくらいの純粋で強烈な想いを抱いていた気がします。

    他方、相違点はかなり多いといえるかもしれません。梅原氏は最澄を円(中心点が1つ)、空海を楕円(中心点が2つ)というメタファーで表現されていますが、これは面白かったですし納得できました。1200年も前の日本にかくも偉大な思想家が2人同時に存在していたこと、しかもその記録についても、豊富とは言えませんが十分残っていることは日本の凄さではないかと感じました。
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    投稿日:2023.05.02

  •  arata

    arata

    仏教哲学に興味があったので、あとはコテンラジオで「最澄空海」編が面白かったので、もっと勉強したいと思って読んでみました。漫画『阿吽』も少し読んでいたので、その相関図を参考にしながら読みました。

    コテンラジオのおかげで基礎知識があったせいか、理解しやすいと感じました。書物の原文は読み飛ばしましたがちゃんと解説がされており、そもそも著者の語り口調がやわらかく読みやすかったと思います。日本の仏教の起源や聖徳太子との関係などもわかりやすく勉強になりました。

    学生の時に勉強していた時にはぼんやりしていた最澄と空海それぞれの人物像が、この本でわりと強調されていたので理解できました。印象に残ったのが最澄の教育者としての考え方で、現代にて見直す部分があってもいいと思いました。国宝を持つことで国の値打ちが決まるが、それ以外の人も適材適所で必ず役に立つという理論が大胆かつ安定感があって面白く感じました。

    本の中では前と同じ内容が繰り返し語られているのが、多少くどく感じるかもしれません。私は一気に本を読了できないのでちょこちょこ分けて読んでいたのですが、「あれ、ここ前に読んだな?ページ間違えた?」というような錯覚を何度か体験しました。
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    投稿日:2022.06.08

  • かばお

    かばお

    哲学者である筆者が、最澄と空海について自身の視点から人物像を描いている。鈴木大拙のイメージで読み始めたけど、予想よりカジュアルで読みやすい。

    投稿日:2021.12.22

  • イチキューゴ

    イチキューゴ

    最澄と空海、同じ時代に行きた僧でここまで差異がかるのが面白い。
    とても分かりやすく書かれていて読みやすかったが、真言宗はやはり難解だな...と。
    高野山は行ったことあるので、今度は比叡山、神護寺に是非行きたい!
    また、徳一という人間も凄く気になった。謎だらけのようだが、彼の資料が今後出てきてくれるといいな...。

    重複して説明してあるところが多かったので☆マイナス1にした。
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    投稿日:2020.05.06

  • おかこう

    おかこう

    ○最澄と空海の人物学と思想を分かりやすく理解出来る一冊


    過去に梅原さんの他の書を読んで、最澄と空海についてもっと知りたいと思い購入しました。

    本書では二人の生い立ちと天台宗、真言宗の成り立ち、お互いの確執などを梅原さんの考えを交えて解説しています。(もともと解説は難しいと思いますが、現代の私達にも分かる様に易しく解説していると感じます。)

    この後に続く鎌倉仏教はこの本を読んだあとだと良く理解出来るのではないかと思います。

    私も仏教学についてはまだ勉強不足で理解しづらい所が多かったですが、彼らが日本仏教にもたらした物と今日まで続く日本人の神仏習合の心の一つを創造していったのだと勉強になりました。

    この本を読んだうえで、比叡山と高野山に行って二人の考えに更に触れてみたいと思いました。
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    投稿日:2020.03.22

  • takeshishimizu

    takeshishimizu

    どうしてこんな本を手にしたかというと、以前から空海という人には興味があった。安田喜憲という環境考古学者が空海のような人が今の世には必要だと言っていた。そして梅原先生の「道徳」や「仏教」(洛南高校付属中学での授業)がとてもわかりやすかったから。さて、最澄は付け足しだったのだけど、人間最澄の方が少し弱い部分も見えて、ドラマとしては好感が持てた。比叡山はその後の鎌倉仏教の通過点のようなものであった。最澄の教えが今なお続く日本仏教の大元になっている。それに対して、空海の真言密教は高野山で閉じてしまっているように感じる。そして、空海はそこに今も生き続けているのだろうか・・・仏教の理論的なことはよくわからないし、かなり読み飛ばしたところもあるけれど、2人の人間関係、生き様、政治とのからみなどは読んでいて興味をおぼえた。少し難しいけど、日本人のこころの大元をそこに見つけ出せるかもしれない。続きを読む

    投稿日:2015.05.28

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