【感想】骨董・怪談

小泉八雲, 平川祐弘 / 河出書房新社
(4件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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ブクログレビュー

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  • なの

    なの

    誰もが知っている雪女や耳なし芳一などが収録されている本。
    有名は話のほかに昆虫にまつわる話や餓鬼などにまつわる話もあり、個人的にはそちらのほうが情緒溢れる魅力的な話だった。
    外人である小泉八雲がよくここまで日本人の心に訴えかける切なくも美しい文章を書けたと驚くばかりだ。
    日本人よりも日本人らしい方だったのではないだろうか。
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    投稿日:2021.08.18

  • inarix

    inarix

    『骨董』は1902年、『怪談』は1904年、それぞれ日本各地に伝わる伝説や、古い怪談集などから再話された怪奇文学作品集。この個人完訳版では一冊に纏めている。
    『骨董』に収録されている「病理的なるもの」が読みたくて、この本を手に取った。

    “玉というのは英語でJewelという意味である”

    それは八雲の椅子の横で眠る一匹の三毛猫について綴られる、わずか4ページの掌編。愛猫玉が眠りながらも立てる、牝猫が子猫に対してのみ発する特別な鳴き声。それが八雲の胸の琴線にふれるという。その理由は――。

    猫好きな八雲のもとに届けられた三毛猫の“玉”。来たばかりの頃は小さかった玉は今2歳。成猫となり、はじめて子猫を生み育てた時の、玉の献身的な母親ぶり。そして2度目に妊娠した時の悲劇。玉は不幸にも死産してしまう。
    動物は短期的な記憶力は弱いという。そして長期の記憶――本能に従って生きていく。玉は自分のおなかの中に確かに育っていた子猫たちをはっきりと覚えてはいられなかった。けれど子猫たちの姿を探し続ける。子猫たちの不在を愚痴がましく猫友達に訴え、八雲に戸棚や押入れの戸を開けさせては、そこに子猫たちが隠れていないかを確かめずにはいられない。
    やがて、子猫たちはもういないのだと悟る。悟っても玉は、眠りの合間に子猫たちを育てている夢を見ているのだろう。八雲はそう推測する。

    “だがそれでも玉は夢の中で子猫と遊んでいる。そして愛撫するような鳴き声を立てている。そして子猫たちのために小さな影を捕らえようとしている。――おそらくは、記憶のぼんやりした窓を通して、夢幻(ゆめまぼろし)の藁でできた草履を子猫たちに持ってきてやろうとさえしているのである”

    たった4ページの作品。それで涙がとまらなくなる。猫好きな人は気をつけて。「草ひばり」もひっそりと切なく、この2篇は隠れた名作だと思う。
    他に収録されている多くの作品にも、恐ろしく、寂しく、愛おしい空気感が行間に漂う。静謐な小泉八雲の翻訳書。ぜひ少しずつ読み進めてほしい。
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    投稿日:2021.07.25

  • うさぎ堂

    うさぎ堂

    図書館では海外文学の棚にあった。
    そうか、そうだな、翻訳ものか。

    訳者がよかったのか、八雲がうまいのか、とても読みやすく美しい怪談でした。

    昆虫や仏教や哲学と、不思議な世界。
    ハーンこそ「霊の日本」の最初の西洋人発見者、と解説。なるほど。

    骨董から「茶碗の中」「ある女の日記」、怪談から「青柳の話」「安藝之介の夢」「蓬莱」が好き。

    これは恐怖だ。おそろしい。だが、
    「私が実際に存在すると私は信ぜねばならないのだろうか?」
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    投稿日:2014.08.07

  • 河出書房新社

    河出書房新社

    「耳なし芳一」「雪女」等あまりに有名な怪談も収める、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の二大作品集『怪談』『骨董』を、ハーン研究の第一人者が個人完訳。ハーン没後110年記念出版。

    投稿日:2014.06.26

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