【感想】知の武装―救国のインテリジェンス―

手嶋龍一, 佐藤優 / 新潮新書
(68件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
15
23
19
4
0
  • インテリジェンス

    本書はインテリジェンスについて語られています。本文中でも触れられていますが、日本語にはインテリジェンスの適切な訳語がありません。このことが日本国内でインテリジェンスに関する意識やこれを扱う組織の発展が遅れている原因ではとさえ思われました。インテリジェンスと外交などで必要なことである一方、インテリジェンスに関する知識感性を身についていると、企業間、その他組織間でのやり取りにも役立つものだと思いました。続きを読む

    投稿日:2014.09.02

  • 2年間ですでに忘れられた話題も多いんだ

    前回対談の動乱のインテリジェンスから約1年、その間に起こった事件としてアメリカのシリア侵攻のちゃぶ台返し、飯島勲の訪朝、スノーデン事件から麻生太郎のナチスのワイマール憲法発言、そして東京オリンピック開催の意味などなど。そうかわずか1年の出来事なんだなあと、この対談の後になりそうなのがタイの反政府デモとクーデター、中国の防空識別圏設定、ウクライナ騒乱、台湾学生の立法院占拠など次回は何が取り上げられるのか。

    こうやってみるとプーチン大統領の影響力が強い。シリアで阿部首相がシリア問題でロシア支持したことでプーチンが阿部首相を見直したとか。プーチンの「美しい誤解」とまで言うのは辛辣だが2月にはソチで首脳会談を行いここまではいい感じだったのがウクライナ情勢で秋のプーチン訪日は流動的になりその間に5月のアジア信頼醸成会議で中ロが急接近。ウクライナ危機のために天然ガスの販売先を失ったロシアに中国が恩を売った形になっている。

    アメリカがシリア問題で拳を挙げながら結局降ろし様がなかったことは、善悪はともかくアメリカといえどももはや簡単に他国に手をだせないと例えば中国はみるだろうということです。それでも東京オリンピックを開催すると言うのは「中国とは戦争を起こさない、韓国ともこれ以上関係を悪化させない。そして、福島原発事故の集束をはかる」というのが日本の使命と言うか枠組みになっていると。逆にオリンピックまでは中国も尖閣には手を出しにくくなっているのでーオリンピックは誰にとっても人質になっているーその間に日本はロシアや韓国との関係改善を図った方がいいだろうということ。

    麻生太郎の「ナチスの手口」発言については「ヒトラーは民主主義によってきちんと議会で多数を握って出てきた」との弁解を歴史の事実からかけ離れているとばっさり一刀両断。ナチス党は1932年11月の選挙では得票率33%で196/656議席のところを年が明けた1/31に首相に任命されたヒトラーが議会を解散し、国会議事堂の放火事件を契機に共産党議員や共産主義者の大量逮捕に踏切り3月の選挙で得票率44%で288議席をとり、その後2/3が必要な全権委任法案をなんとかとうしワイマール憲法を修正したとのことで、これを民主主義といって擁護してしまうと欧米からは日本に軍国主義勢力が増していると見られてしまうだろうと。

    アメリカから日本を見た場合には橋下徹が従軍慰安婦問題に絡めて「沖縄の米海兵隊基地の軍人も風俗施設を利用すれば良い」の発言のさなかに飯島訪朝があり「日本は本当に価値観を共有できる国なのか?」との疑念を抱かせてしまっている。麻生太郎や橋下徹が実際にどういう意図で発言しようが、日米関係に隙をつくることには間違いない。阿部首相自身も歴史問題を掘り起こすなというアメリカの警告は無視しているようですしね。慰安婦問題や中国が南京事件をことさら持ち出すのは「自由と民主主義」というアメリカの価値観にあわないからでしょうし。

    日中関係で言えば二人とも基本的に中国が隙あらば尖閣を奪いにくるという認識では一致しつつも、単純に軍事的に対抗するのではなく「中国と友好関係を築いていく」と国際社会に訴えていく必要が有るとの意見。中国が真の脅威であるからこそ日本攻撃の口実を与えず、民主主義国家として日本に国際世論を引きつけておくべきだという話です。次回対談までにどれだけの事件が起こるのか・・・
    続きを読む

    投稿日:2015.11.02

ブクログレビュー

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  • さってぃ

    さってぃ

    ある程度知識がないとついていけなかった。。情報を見たままに受け取るのではなく、そこから何を読み取るかが大事だと思った

    投稿日:2024.02.04

  • yoshi1004

    yoshi1004

    ほぼ10年前の出版。当時の外交、政治を手嶋、佐藤両氏がインテリジェンスをメインに語っている。縺れた糸をほどいてまた紡ぎ直すような的確な視点に驚くと共に、今だに弱腰外交を続ける官僚達にガッカリする。

    投稿日:2023.09.23

  • chocococoa

    chocococoa

    このレビューはネタバレを含みます

    この本の発刊された当時のニュースの裏側が描かれており、今までと違った視点でニュースが捉える事ができる。

    普段、何気なく読み飛ばしてしまう政治の小さなニュースでも、後世に与える影響が大きいものだったりする事がある。

    ニュースでも仕事でも、インテリジェンスを意識して、もう一段文脈を深く考え、行動して行く必要があると感じた。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.04.05

  • くろもも

    くろもも

    主に外交・政治に関する2人の考えの披露の場である。

    情報分析を担う者はこのように考えるのかという点で新鮮だった。

    ニュースで見る一面だけでなくその背景、流れを踏まえた紹介は面白い。ロシアの紹介が中心となるのは、佐藤氏の経験によるところであるが、プーチン大統領や国のあり方はこうした人にしかわからないだろう。

    インテリジェンスとは、経験・学習により身に着く部分が多いが、ある種のセンス・アートによる部分こそが昇華させうる。
    外交・政治に関する見方の視点を増やすにはおすすめ。
    続きを読む

    投稿日:2020.03.30

  • smatoga

    smatoga

    なかなか自分自身のモノの見方とは離れているので、こうした見方もあるのかと新鮮な気持ちになる。
    反知性主義についての記載や、インテリジェンス、トップのあり方など、外交に留まらない知見が多く面白く読み進めた。続きを読む

    投稿日:2020.01.10

  • quazism

    quazism

    この二人の対談はインテリジェンスネタだけで簡単に一冊の本ができてしまう。時事ネタ、国際ネタに直結するだけに、一般のメディアで報道するものとは角度が異なる。首脳同士で会談している一枚の写真からでも数多くの情報が得られると言う。普通の人にはなかなかここまでできない。続きを読む

    投稿日:2019.08.12

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