【感想】ドゥームズデイ・ブック(上)

コニー・ウィリス, 大森望 / ハヤカワ文庫SF
(41件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
18
8
11
3
0
  • 最後の審判あるいは土地台帳

    時間ものです。タイトルや受賞歴から考えられる難しい敷居のようなものは、最初のフランス語交じりの中期英語なる場面を過ぎればありません。翻訳機万歳。登場人物の才能に乾杯。13世紀のイギリスと未来のイギリスが舞台です。現代ではウィルスがパンデミックを予感させ、過去では時間の位置がずれ、ここでもパンデミックの予感がします。丁寧に描いてあるので登場人物たちの動きにくぎ付けにされます。面白い作品です。続きを読む

    投稿日:2015.06.25

  • 調査のために中世にタイムトラベルしたら同時多発のパンデミック?!

    過去へのタイムトラベル可能になり、オックスフィード大学では中世の研究のために史学生キヴリンを1320年に送り出す。
    しかし、キブリンもなぞの病気になり病に倒れる、降下位置情報をチェックしていた技術者も謎の病気で高熱をだし意識がはっきりしない。オックスフォード大学の町には未知の伝染病を疑い隔離地域を設定する騒ぎになる。
    そして初の死亡者まで出た。下巻に向けて一気に緊張感が増していく。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.23

  • 2度目

    以前図書館で読んで読み返したいとおもい購入しました。期待通りでした。

    投稿日:2015.04.04

  • 何度読んでも・・・

    ん~年前にハードカバー本を腕がだるくなりながら、一気に朝まで読みました。
    どうしても、ゆっくり・味わいながら・どこでも・読むために購入しました。
    ぜひ、主人公と一緒にハラハラ・ドキドキ・・・して下さい続きを読む

    投稿日:2015.09.03

ブクログレビュー

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  • じゅう

    じゅう

    アメリカの作家「コニー・ウィリス」の長篇SF作品『ドゥームズデイ・ブック(原題:Doomsday Book)』を読みました。

    「ヒュー・ハウイー」の『ダスト』に続きSF作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    歴史研究者の長年の夢がついに実現した。
    過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代を直接観察することができるようになったのだ。
    オックスフォード大学史学部の女子学生「キヴリン」は、実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。
    だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった…はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか?
    ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞した、タイムトラベルSF。

    〈下〉
    21世紀のオックスフォードから14世紀へと時をさかのぼっていった女子学生「キヴリン」。
    だが、彼女が無事に目的地にたどりついたかどうか確認する前に、時間遡行を担当した技術者が正体不明のウイルスに感染し、人事不省の重体に陥ってしまった。
    彼女の非公式の指導教授「ジェイムズ・ダンワージー」は、「キヴリン」のために、新たな技術者を探そうと東奔西走するが!?
    英語圏SFの三大タイトルを独占した「コニー・ウィリス」の感動作。
    -----------------------

    本作品は、近未来(21世紀中盤)のオックスフォード大学が舞台で、若き女性歴史家「キヴリン・エングル」がイギリスの最も危険な時代と思われている14世紀にタイムトラベルするというSF小説、、、

    作者の「コニー・ウィリス」は、これまでにヒューゴー賞を11回、ネビュラ賞を7回、ローカス賞を11回受賞しており、1980年代から1990年代における最も優れたSF作家の一人と呼ばれている女流作家… 彼女の作品は初めて読んだのですが、本作品も、その3賞を受賞しているので期待して読みました。

     
    物語は2054年のオックスフォードから幕を開ける… 過去へ向かうタイムトラベル技術が確立され、歴史研究のために利用されており、ブレイズノーズ・カレッジ中世史科の女子学生「キヴリン・エングル」は本人の強い希望もあり、前人未踏の14世紀に送り出される、、、

    しかし、彼女が無事目的地に着いたかどうかを判定するデータが出る前に、時間遡行の実務面を担当した技術者「バードリ・チャウドゥーリー」が正体不明のウィルスに感染して突如、意識不明の重体に陥り、「キヴリン」が計画通り1320年に到着したかどうかの確認が取れないが、町はクリスマス・シーズンで、かわりの技術者は見つからない… 「キヴリン」の非公式の指導教授でベイリアル・カレッジの教授「ジェイムズ・ダンワージー」は、なんとか教え子の安否をたしかめようと孤軍奮闘するが、ウィルス感染が拡大し、オックスフォードは他の地域から隔離されてしまい、自身も未知のウィルスに感染して倒れてしまう。

    一方、14世紀にやってきた「キヴリン」も、到着と同時に病に倒れ、やはり意識不明に陥る… たまたま通りかかった現地の人間に助けられ、かろうじて一命はとりとめたものの、意識不明の状態で村まで運ばれてしまったことから、未来世界に帰還するためのゲートとなる出現地点の場所がわからなくなる、、、

    果たして「キヴリン」は元の世界に帰り着けるのか… 「レイディ・エリウィス」等の献身的な介護もあり、なんとか体調が回復した「キヴリン」だが、追い打ちをかけるように、思っても見なかった危難が発生する。

    周囲の人物が次々と病に倒れ、その症状は、当時、ヨーロッパを恐怖に陥れた黒死病(ペスト)に酷似していた… ペストがイギリスに辿り着いたのは1348年なので、「キヴリン」が到着した1320年には、まだペストはイギリスに存在していなかったはずなのだが、、、

    実は、「キヴリン」が到着したのは1348年で、まさにペストが猛威をふるっていた時代だった… 「キヴリン」は、伝染病について無知な村人を少しでも多く助けようと懸命な介護を続けるが、村人は次々と命を落とし、彼女の命の恩人で献身的に村人の介護にあたっていた「ローシュ神父」まで発病していまう。

    一方、謎のウィルス感染により発病し、なんとか一命を取り留めた「ダンワージー」は、友人の医師「メアリ」の姪の息子「コリン」とともに、「キヴリン」の迷い込んだ時代に遡り、彼女の救出を試みる… 彼らは限られた時間の中で、「キヴリン」を捜索するが、そこはペストによる夥しい死体が山積みに放置され、見捨てられた村だった、、、

    あっと驚く展開はなく、予想通りのエンディングで、期待通りの内容でしたね… 面白くないわけではないのですが、ちょっと物足らない感じかな。


    14世紀のパートは、シリアスな歴史小説風な展開で、その時代に生きる人々の息遣いや生活の匂いまで含めて、中世イングランドの日常を鮮やかに描き出されているのに比べ、、、

    21世紀のパートは、コメディ風で、交互に描かれる700年の時を隔てたふたつの時代が、巧く書き分けられていることが印象的でした… そのふたつの時代の展開が、ひとつになってクライマックスに向かう終盤の展開は集中して読めましたね。

    でも、上下巻で1,000ページを超えるボリュームは、ちょっと冗長な感じ、、、

    途中で少し飽きそうになりましたね… シンプルな物語なので、もう少しコンパクトな方が良かったな。


    21世紀のパートで、

    いつもトイレットペーパーの残量を心配している「フィンチ」、

    いつもずぶ濡れになっていて、色の変わるキャンディを舐めている「コリン」、

    いつも新しい女性といちゃついている「ウィリアム・ギャドスン」、

    いつも行方不明で一度も登場しない史学部の学部長「ベイジンゲーム」、

    等々、同じシチュエーションを繰り返すキャラクター達の行動が印象的でしたが… 映像化されることを想定した仕込みのような気がしましたね。



    以下、主な登場人物です。

    <21世紀(オックスフォード大学)>

    「キヴリン・エングル」
     ブレイズノーズ・カレッジ中世史科史学生

    「ジェイムズ・ダンワージー」
     ベイリアル・カレッジの教授

    「フィンチ」
     ダンワージーの秘書

    「ベイジンゲーム」
     史学部の学部長

    「ギルクリスト」
     史学部の学部長代理。ブレイズノーズ・カレッジの中世史科教授

    「バードリ・チャウドゥーリー」
     ベイリアル・カレッジのネット技術者

    「ラティマー」
     ブレイズノーズ・カレッジの教授

    「ループ・モントーヤ」
     ブレイズノーズ・カレッジの考古学者

    「メアリ・アーレンス」
     付属病院の医師

    「コリン・テンプラー」
     メアリの姪の息子

    「ウィリアム・ギャドスン」
     ベイリアル・カレッジの学生

    「テイラー」
     アメリカ人の鳴鐘者

    「ヘレン・ピアンティーニ」
     アメリカ人の鳴鐘者


    <14世紀>

    「レイディ・イメイン」
     ギョーム卿の母

    「レイディ・エリウィス」
     ギョーム卿の妻

    「ロズムンド」
     ギョーム卿の長女

    「アグネス」
     ギョーム卿の次女

    「ガーウィン」
     ギョーム卿の家臣

    「メイリス」
     召使

    「ローシュ」
     神父

    「サー・ブロート」
     ロズムンドの婚約者
    続きを読む

    投稿日:2022.11.04

  • やすお

    やすお

    史学部シリーズ。学生が中世の英国にタイムトラベルする。事前にある程度の安全確認をしているので、学生は安全だというが、まあそこは何か起こらないと小説にはならないわけで、もう元の時代に戻れないのではないかと思わせる事態が発生する。一方で学生を送り出した現代(読者から見たら未来)でも謎の感染症で、ダンワージー教授らは隔離を余儀なくされる。

    とにかく上巻は謎だらけ。だらだらした感じを受けるが、それでも舞台の緊張感を醸し出すコニー・ウィリスの筆力には驚く。読んでいて、なんとなく陰謀のようなものを感じ、そいつを疑いながら下巻に進むこととする。
    続きを読む

    投稿日:2019.04.22

  • Stray bookworm

    Stray bookworm

    中世史科の学生キヴリン。好奇心旺盛で小柄の女性が研究のために1320年へタイムトラベル。しかしキヴリンは飛んだ先で倒れ、過去へ送りだしたほうのダンワージー教授のところではパンデミックの事態。どちらも原因がわからぬまま話は進む。
    出だしで話に入りこむのにいくぶん時間がかかったが(いくつかの普通名詞がどの意味で使われているのか理解するのに手間取った)、わかってしまえばページを繰る手が止まらない系の小説でした。下巻へつづく。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.30

  • うろたんけらむの

    うろたんけらむの

    オックスフォード大学の歴史学科が舞台の話。
    熱血的歴女のキヴリンは周囲の反対をものともせず、魔女狩りとペストが猛威をふるう中世イギリスに行きたがっていた。
    そして、彼女の指導教官である中性史学科の教授(無知で無能で傲慢)はロクな予備調査もせずにキヴリンを中世へ送り出してしまう。
    キヴリンを送り出した直後、現代に謎の伝染病が広まる。
    そして中世に降り立ったキヴリンも体調を崩して現代に戻るための降下点が分からなくなり…的な。

    はい。
    コニー・ウィリスのタイムトラベルシリーズです。
    今書いたあらすじだけで上巻をまるまる使い切りました。
    下巻になって話は進むのか!?
    乞うご期待。
    続きを読む

    投稿日:2018.06.02

  • ottersho

    ottersho

    学術的な目的で過去に時間旅行が可能な世界の話。
    21世紀のオックスフォード大学と、過去にいったギブリン(女学生)との話が並行して進む。
    21世紀の話には、冒頭から登場人物が入り乱れて、彼らの関係や立ち位置などがほとんど頭に入らないまま、がまんして読み進めると、なんとかメインのストーリーが見えてくれる。そうなるとだんだん面白くなる。

    それにしても、個人と連絡を取るのに固定電話に画面がついた装置を利用するという時点で、書かれた時期が相当前なのだろうと思った。確認したところ、1992年に出版ということが判明。1980年代には自動車電話が利用されていたらしいことを考えると、携帯電話などの発想があってもよかったかも。

    技術者バードリの病状は?ギブリンは21世紀に戻れるのか?下巻が楽しみである。
    続きを読む

    投稿日:2018.05.23

  • paraparayomu

    paraparayomu

    ウィリスの感動作 読むべき一冊である
    表紙   6点田口 順子(旧作) 大森 望訳
    展開   7点1972年著作
    文章   7点
    内容 800点
    合計 820点

    投稿日:2017.06.08

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